Ob-La-Di Oblako 文庫

帝国日本の侵掠戦争と植民地支配、人権蹂躙を記憶し、再現を許さないために、ひたすら文書資料を書き取る。姉妹ブログ「歴史を忘れる民族に未来はない!」https://obladioblako.hateblo.jp/ のデータ·ベースを兼ねる。

横浜港状况報告 萩駆逐艦長提出分 1923.9.2

【供覧】財部大臣花押 【岡田】次官印 軍務局(別) 岡 (船木済)

官房受 九月三日【岩村】 【藤田】【洪】
 
横鎮災機密第四号
  大正十二年九月二日
    横須賀鎮守府司令長官 野間口兼雄

 海軍大臣 財部彪殿

一、横浜港状况報告    一通
    但萩駆逐艦長提出の分
右提出す。
    別紙一通添ふ。
                 (終)

     萩駆逐艦長 鈴木田幸造
第十五駆逐隊司令 及川古志郎殿

午前十一時、横浜港外着。防波堤崩壞し、港内海面に重油溢󠄀出、盛に燃えつつあり。港務部長来艦。直ちに陸上に士官を派遣して状况を視察せしむ。港務部長の談、及び派遣士官の視察せる状况を綜合するに、左の如し。

一、昨一日午前十一時五十八分(東京に遅るること約三分なるが如し)激震、防波堤·税関を破壞し、全市の家屋倒潰し、爆破、諸所に起り、不逞鮮人の放火と相俟て全市火の海と化し、市民は最初、山手に避難を企てたるも、火に阻れて死傷数知れず。辛じて海岸に引き返し、避難せるものも、一部は在泊内外商船に収容せるも、便船足らず。重油は燃へつつ海面に流れ、溺死·燒死、多数を出せり。

二、現在、神奈川方面と磯子、久保山の一部を除くの外、全市全滅せり。

三、現在、船舶に収容せる避難民、大約一万。収容船の淡水·糧食は数日間を支え得るに過ぎず。而も尚、避難を要求するもの続々たる模様なり。

四、昨夜来、鮮人の暴徒約三百名、市内に現はれ、虐殺·放火·掠奪を行ひ、今尚、市内通行は危険にて武装を要すと云ふ。本牧方面の火災は全部、鮮人の放火に依れるものなり。

五 官民の連絡杜絶し、知事·市長等の行衛、全く不明。

六、現在、陸上の避難民は主として左の個所に集り居るものの如し。
 一、山下海岸埋立地
 二、根岸競馬場
 三、磯子海岸
 四、久保山
巡査の言に依れば、糧食等の補給を行ふとすれば、磯子海岸よりするを最も便なりと云ふ。

七、港務部長より海軍に対する要求、左の如し。
 1.糧食清水の給与
 2.横浜·東京間の無線通信連絡
 3.港内にある運転不自由なる商船救助の為

   曳船の派遣

八、港務部長の仮事務所、郵船三島丸。

九、仮無線電信所を設置するものとせば、山下の埋立地付近を適当なりと思考す。
                  (終)f:id:ObladiOblako:20200908231334j:image
【供覧】財部大臣花押 【岡田】次官印 軍務局(別) 岡 (船木済)

官房受 九月三日【岩村】 【藤田】【洪】
 
横鎮災機密第四號
  大正十二年九月二日
    横須賀鎭守府司令長官 野間口兼雄

 海軍大臣 財部彪殿

一、横濱港状况報告    一通
    但萩駆逐艦長提出ノ分
右提出ス
    別紙一通添
                 (終)

     萩駆逐艦長 鈴木田 幸造
第十五駆逐隊司令 及川 古志郎 殿

午前十一時 横浜港外着 防波堤崩壞シ 港内海面ニ重油溢󠄀出 盛ニ燃エツツアリ 港務部長来艦 直チニ陸上ニ士官ヲ派遣シテ状况ヲ視察セシム 港務部長ノ談 及 派遣士官ノ視察セル状况ヲ綜合スルニ左ノ如シ

一、昨一日午前十一時五十八分(東京ニ遲ルルコト約三分ナルカ如シ)激震 防波堤 税関ヲ破壞シ 全市ノ家屋 倒潰シ│爆破 諸所ニ起リ 不逞鮮人ノ放火ト相俟テ全市 火ノ海ト化シ 市民ハ最初 山手ニ避難ヲ企テタルモ 火ニ阻レテ死傷 数知レズ 辛シテ海岸ニ引キ返シ避難セルモノモ 一部ハ在泊内外商船ニ収容セルモ 便舩 足ラス 重油ハ燃ヘツヽ海面ニ流レ 溺死 燒死 多數ヲ出セリ

二、現在 神奈川方面ト磯子 久保山ノ一部ヲ除クノ外 全市全滅セリ

三、現在 船舶ニ収容セル避難民 大約一万 収容舩ノ淡水糧食ハ 数日間ヲ支エ得ルニ過キス 而モ尚 避難ヲ要求スルモノ續々タル模様ナリ

四、昨夜来 鮮人ノ暴徒 約三百名 市内ニ現ハレ虐殺 放火 掠奪ヲ行ヒ 今尚 市内通行ハ危険ニテ武装ヲ要スト云フ 本牧方面ノ火災ハ全部 鮮人ノ放火ニ依レルモノナリ

五 官民ノ連絡 杜絶シ 知事市長等ノ行衛 全ク不明

六、現在 陸上ノ避難民ハ主トシテ左ノ個所ニ集リ居ルモノノ如シ
 一、山下海岸埋立地
 二、根岸競馬場
 三、磯子海岸
 四、久保山
巡査ノ言ニ依レハ糧食等ノ補給ヲ行フトスレハ磯子海岸ヨリスルヲ最モ便ナリト云フ

七、港務部長ヨリ海軍ニ対スル要求 左ノ如シ
 1.糧食清水ノ給與
 2.横浜東京間ノ無線通信連絡
 3.港内ニアル運転不自由ナル商船救助ノ為

   曳船ノ派遣

八、港務部長ノ假事務所 郵船三島丸

九、假無線電信所ヲ設置スルモノトセハ 山下ノ埋立地附近ヲ適当ナリト思考ス
                  (終)

↑大正12年 公文備考 変災災害付属 巻3
防衛研究所 海軍省-公文備考-T12-171-3054
震災関係 横須賀戒厳司令部関係 其の1
一般関係(1) JACAR Ref. C08050996700
https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/C08050996700
第33~37画面