Ob-La-Di Oblako 文庫

帝国日本の侵掠戦争と植民地支配、人権蹂躙を記憶し、再現を許さないために、ひたすら文書資料を書き取る。姉妹ブログ「歴史を忘れる民族に未来はない!」https://obladioblako.hateblo.jp/ のデータ·ベースを兼ねる。

「在郷軍人及びトビ職の輩、鮮人と見れば突きさす状況」 九月二日午前七時半酒匂発、自転車、 同日午後七時喜久□□門着、森山明氏談 1923.9.2

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【軍務局】 花押[財部彪大臣]

海軍省岩村秘書官戻し)

九月二日午后七時着?男明氏報告

酒匂 森山中将報知

(一日午前十一時四十五分頃より)

一、小田原方面

詳細不明。酒匂よりも甚しく概倒家、二三ヶ所より大火災起り、夜九時頃迄、火焔天を焼い足[たり?]。柳病院倒れ、之より発火せりと。

二、酒匂方面

酒匂旧橋倒れ、新橋落ち、辛ふじて通行す。川辺氏の分家も滅茶滅茶、本家は傾斜甚しく、文化村(杉傳?岡?門)の既築?二戸は其侭、新築中の一戸は倒る。

杉村邸は内部大破損、酒匂小学校倒れ全焼、女教師一死。

杉傳?岡?の本家倒る。別荘無事。

松?良子邸の二階の方潰る。中山旧樋口邸、堀越、山本等、略倒る。

箱根方面不明。

九月二日午前七時半酒匂発、自轉車、 同日午後七時 㐂久□□門着、森山明氏談

国府津方面 町家は二三を除き悉く倒れあり。火災なし。

停車場無事。国府津小田原間汽車軌道、堤防崩れ、レイレは飛び上り、道路所々皺曲、断層(軽い)あり。

ツナミなし。

 二ノ宮方面 倒壊家屋は十家を上らず少し。火災なし。

ステイシヨン少しく倒れ居れり。道路はよし。

[上余白]下り列車、二ノ宮駅停車中、地震あり、目下停車中。乗客無事。

比附近通過の時(海)のマークある平塚発、小田原波野警察所長に使ひせるものの言(帰り途)によれば、波多野氏及瓜生間無事、火災もなしと。

平塚火薬庫は爆発せりと云へり。

大磯 殆んど人家の倒壊なし。

平塚 二三の倒家あるのみ。別段、火災を認めず。 □□会は倒れ、一家焼く。

人の話。紡績会社の七百人の女工と共に倒れて圧死、交代七百人不明。学校建設中のもの倒る。

[上余白]此間に上り(小田原発)列車顚覆しあり、前三輌畑中に倒れあり。三等車二、二等車一、死者十三、重傷多数。 

茅ヶ崎 大したことなし。小家数ヶ所倒れあり。 小火事を見る二三ヶ所。

藤沢 大抵全部、道路側に向け倒れあり。天野氏宅、傾斜甚し。

同氏の話に、鎌倉は殆んど倒壊、全滅せりと。迫氏無事。丹下局長?宅は倒家の下に圧せられあり。森田局?長?宅無事。

田畑はづれて居る。次、道中最惨状を呈す。

比辺より貨車一列車停留、前の二輌倒顚したり。

大舩を通過せざるも、附近の人の談に、汽車顚覆したり。

馬入川の状况 鉄橋落ち、支柱の石崩れあり、橋は中頃より折れあり。

木橋(人道)は所々倒落しあり、所々に荷車三四台、半び落ちかけあり。豕多数、其附近に落ちあり。

目下昼間のみ渡舟にて連絡す。

十塚 ステイシヨンには下り列車停車中(丁度地震ノ時)。死傷なし。

比辺より横須賀方面の火災見ゆ。

人家倒壊甚し。火災なし。立ちて居れ家はなき位なり。

程ヶ谷 通過せざるも、人の談によれば倒壊殆んど全部、全滅せりと云ふ。

横浜 最惨状を極む。通過時刻、午後一時。当時殆んど倒れて焼けあり。

山の手の方は焼け居らず、倒れかかり居る位なり。平沢邸、警察署通りの東海道は全焼。

電線会社は盛に焼けつつあり。酸素会社同上。

其他、石油工場等、濛々と焼けつつありて不明。

東海道沿道の大松樹は上半部揺り落され、為に負傷せるもの多し。

鮮人、監獄を脱走せるもの多く、人心恟々。労動者と合し暴動をはかり居れり。日人数名殺されたり。

横浜市民は殆んど僅少を(東に向ふものを)除き、西に向つて荷物を背負ふものなく、無一物、きのみきの侭にて避難中。血をつけ顔色、焦悴しあり。

比附近の橋梁は人の通過は可能。曲り居る位なり。

卯?田、鶴見、大井、大森 蒲田等は倒壊少数、概して良好。

大森は火災中のものを見受けたり。

郷川 方々倒壊しあるも人は通行可能。鉄橋は遠見する所、無事の様也。

鮮人の跋扈あり。既に竹槍にてつきさされあるもの数人を見受けたり。

横浜附近にても殺されある鮮人、数ヶ所にあり。

在郷軍人及びトビ職の輩、鮮人と見れば突きさす状況。

横浜方面、凡て軍隊の出動を見ず。

凡て沿道、ツナミの形跡なし。

横浜方面此方、一般人、薙刀等を携帯しあり。


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【軍務局】 花押[財部彪大臣]

海軍省岩村秘書官戻シ)

九月二日午后七時着?男明氏報告

酒匂 森山中將報知

(一日午前十一時四十五分頃ヨリ[×状况×])

一、小田原方面

詳細不明、酒匂ヨリモ甚シク槪 倒家 二三ヶ所ヨリ大火災起リ 夜九時頃迠 火焔天ヲ燒イ足 柳病院倒レ 之ヨリ發火セリト

二、酒匂方面

酒匂旧橋倒レ 新橋落チ 辛フシテ通行ス、川辺氏ノ分家モ滅茶/\、本家ハ傾斜甚シク、文化村(杉傳?岡?門)ノ既築?二戸ハ其侭 新築中ノ一戸ハ倒ル

杉村邸ハ内部大破損、酒匂小学校倒レ全燒 女教師一死

杉傳?岡?ノ本家倒ル 別荘無事

松?良子邸ノ二階ノ方潰ル 中山旧樋口邸、堀越、山本䓁畧倒ル

箱根方面不明

          〈藤〉[藤田尚徳副官サイン]f:id:ObladiOblako:20200909134327j:image

 九月二日午前七時半酒匂發 自轉車、 仝日午後七時 㐂久□□門着 森山明氏談

囗府津方面 町家ハ二三ヲ除キ悉ク倒レアリ 火災ナシ

停車場無事 囗府津小田原間 汽車軌道 堤防崩レ レイレハ飛ビ上リ、道路所々皺曲、断層(軽イ)アリ

ツナミ ナシ

二ノ宮方面 倒壊家屋ハ十家ヲ上ラズ 少シ 火災ナシ

ステイシヨン 少シク倒レ居レリ 道路ハヨシ

[上余白]下リ列車 二ノ宮駅停車中 地震アリ 目下停車中 乗客無事

比附近通過ノ時(海)ノ マーク アル平塚發 小田原 波野警察所長二使ヒセルモノノ言(皈リ途)ニヨレハ波夛野氏 及 瓜生間無事、火災モナシト、

平塚火薬庫ハ爆發セリト云ヘリ

大磯 殆ント人家ノ倒壊ナシ
                  〈藤〉f:id:ObladiOblako:20200909134404j:image

平塚 二三ノ倒家アルノミ、別段火災ヲ認メズ、 □□会ハ倒レ一家燒ク

人ノ話 紡績会社ノ七百人ノ女工ト共ニ倒レテ圧死、交代七百人不明 学校建設中ノモノ倒ル

[上余白]此間ニ上リ(小田原發)列車顚覆シアリ 前三輌畑中ニ倒レアリ 三䓁車二、二䓁車一、死者十三、重傷夛数

茅ヶ崎 大シタコトナシ 小家 数ヶ所 倒レアリ 小火事ヲ見ル 二三ヶ所

藤沢 大抵 全部 道路側ニ向ケ 倒レアリ 天野氏宅 傾斜 甚シ

仝氏ノ話ニ 鎌倉ハ殆ント倒壊全滅セリト、迫氏無事、丹下局長?宅ハ倒家ノ下ニ圧セラレアリ、森田局?長?宅無事

田畑ハヅレテ居ル、次 道中最惨状ヲ呈ス、

比ノ辺ヨリ貨車一列車停畄、前ノ二輌倒顚シタリ

大舩ヲ通過セサルモ 附近ノ人ノ談ニ 汽車顚覆シタリ

馬入川ノ状况 鉄橋落チ 支柱ノ石 崩レアリ 橋ハ中頃ヨリ折レアリ

木橋(人道)ハ所々倒落シアリ所々ニ荷車三四台 半ビ落チカケアリ 豕夛数其附近ニ落チアリ

目下 昼間ノミ 渡舟ニテ連絡ス

 十塚 ステイシヨン ニハ下リ列車停車中(丁度地震ノ時)死傷ナシ

比辺ヨリ横須賀方面ノ火災見ユ

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人家倒壊甚シ 火災ナシ、立チテ居レ家ハナキ位ナリ

程ヶ谷 通過セサルモ 人ノ談ニヨレハ 倒壊殆ント全部 全滅セリト云フ

横濵 最惨状ヲ極ム 通過時刻午後一時 当時殆ンド倒レテ燒ケアリ

山ノ手ノ方ハ焼ケ居ラズ 倒レカヽリ居ル位ナリ 平沢邸、警察署通リノ東海道ハ全燒

電線会社ハ盛ニ焼ケツツアリ 酸素会社仝上

其他 石油工場䓁 濛々ト焼ケツツアリテ不明

東海道沿道ノ大松樹ハ上半部搖リ落サレ 為ニ負傷セルモノ夛シ

鮮人 监獄ヲ脱走セルモノ夛ク 人心恟々、労動者ト合シ暴動ヲハカリ居レリ 日人数名 殺サレタリ

横濵市民ハ殆ント僅少ヲ(東ニ向フモノヲ)除キ 西ニ向ツテ荷物ヲ背負フモノナク 無一物 キノミキノ侭ニテ避難中 血ヲツケ顔色

 

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焦悴シアリ

比附近ノ橋梁ハ人ノ通過ハ可能、曲リ居ル位ナリ

卯?田、鶴見、大井、大森 蒲田䓁ハ倒壊少数 槪シテ良好

大森ハ火災中ノモノヲ見受ケタリ

郷川 方々倒壊シアルモ人ハ通行可能 鉄橋ハ遠見スル所 無事ノ様也

鮮人ノ跋コアリ 既ニ竹槍ニテツキササレアルモノ数人ヲ見受ケタリ

横濵附近ニテモ殺サレアル鮮人 数ヶ所ニアリ

在郷軍人 及 トビ職ノ輩 鮮人ト見レバ突キサス状况

横濵方面 凡テ軍隊ノ出動ヲ見ズ

凡テ沿道 ツナミ ノ形跡ナシ

横濵方面此方 一般人 薙刀䓁ヲ携帯シアリ

 

↑大正12年 公文備考 巻154 変災災害 一般(1)
https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/C08050966400 第11~15画面

大正12年 公文備考 巻154 変災災害
防衛省防衛研究所 海軍省-公文備考-T12-156-3039)
紙面No.0474~0478