Ob-La-Di Oblako 文庫

帝国日本の侵掠戦争と植民地支配、人権蹂躙を記憶し、再現を許さないために、ひたすら文書資料を書き取る。姉妹ブログ「歴史を忘れる民族に未来はない!」https://obladioblako.hateblo.jp/ のデータ·ベースを兼ねる。

松井石根 訓示 1937.12.18

    訓示

 湖東会戦に引続き勇猛果敢なる追撃に依り一挙 首都南京を攻略し、茲に歴史的壮挙を完成したるに方り、重て優渥なる聖旨を辱し感激措く所を知らず。
 不肖石根、之を以て克く任務を達成し上聖明に対へ奉るを得たるは、実に参加将士の力戦奮闘に俟つものにして、深く其労を多とするものなり。然ると雖、時局の前途は遼遠にして、軍の任務は愈々重き秋、毫の倦怠を許さず、将兵相戒めて、一層、奉公の誠を竭さんことを期すべきなり。全軍須く統率の真義を確認し、一層、軍紀風紀を振粛し、経験に基く教育訓練に力め、戦力の充実を図り、以て次期作戦準備に遺憾なきを期すると共に、警備を厳密にし、軍機保護を密にし、治安維持を全くし、以て不逞の徒に蠢動の余地なからしむへし。
 若夫れ所在民衆に対しては東亜百年の計に稽へ、皇軍の伝統に則り、悪政に呻吟せる彼等に寧ろ憐愍の情を加へ克く指導啓蒙する等、宣撫 宜しきに恊ふを要す。
抑々皇軍の操守は戦時の繁閑に依り差異あるの理なし。全軍将兵、相戒飭し、戦果の維持拡大に最善努力を傾到し、以て皇軍の威信を顕揚すべきなり。
右 訓示す。

 昭和十二年十二月十八日
     中支那方面軍司令官 松井石根

 

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    訓示

湖東會戰ニ引續キ勇猛果敢ナル追擊ニ依リ一擧 首都南京ヲ攻略シ 茲ニ歴史的壯擧ヲ完成シタルニ方リ 重テ優渥ナル聖旨ヲ辱シ 感激 措ク所ヲ知ラス
不肖石根 之ヲ以テ克ク任務ヲ達成シ上聖明ニ對ヘ奉ルヲ得タルハ 實ニ參加將士ノ力戰奮鬪ニ俟ツモノニシテ 深ク其勞ヲ多トスルモノナリ 然ルト雖 時局ノ前途ハ遼遠ニシテ 軍ノ任務ハ愈々重キ秋 毫ノ倦怠ヲ許サス 將兵 相戒メテ一層 奉公ノ誠ヲ竭サンコトヲ期スヘキナリ 全軍 須ク統率ノ眞義ヲ確認シ 一層 軍紀風紀ヲ振肅シ 經驗ニ基ク教育訓練ニ力メ 戰力ノ充實ヲ圖リ 以テ次期作戰準備ニ遺憾ナキヲ期スルト共ニ 警備ヲ嚴ニシ 軍機保護ヲ密ニシ 治安維持ヲ全クシ 以テ不逞ノ徒ニ蠢動ノ余地ナカラシムヘシ
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若夫レ所在民衆ニ對シテハ東亞百年ノ計ニ稽ヘ皇軍ノ傳統ニ則リ 惡政ニ呻吟セル彼等ニ寧ロ憐愍ノ情ヲ加ヘ 克ク指導啓蒙スル等 宣撫 宜シキニ恊フヲ要ス
抑々皇軍ノ操守ハ戰時ノ繁閑ニ依リ差異アルノ理ナシ 全軍將兵 相戒飭シ 戰果ノ維持擴大ニ最善ノ努力ヲ傾到シ 以テ皇軍ノ威信ヲ顯揚スヘキナリ
右 訓示ス

 昭和十二年十二月十八日
     中支那方面軍司令官 松井石根

 

↑戦時旬報(第15号附録) 自昭和12年10月至昭和12年12月 第6師団司令部
https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/C11111026400 35-36/38