Ob-La-Di Oblako 文庫

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「特種煙は戦闘の進捗を図るため随時随所に局部的に使用するを本則とするも、状況により計画的に大規模の集中使用を実施することあり。」「特種煙攻撃を実施せる地域の敵は勉めて殲滅を期し、これが脱逸を防ぐものとす。」 第11軍命令 岡村寧次司令官 1938.8.21

【軍事極秘】
呂集作命第33号
  呂集団命令 8月21日0920
        於九江

自今、別紙要領に基づき特種煙(特種発煙筒および特種発煙弾)を使用すべし。

   呂集団司令官 岡村寧次

 下達法 印刷交付

 

呂集作命第33号別紙
特種煙(特種発煙筒および特種発煙弾)使用要領

  一、要則

1. 特種煙は戦闘の進捗を図るため随時随所に局部的に使用するを本則とするも、状況により計画的に大規模の集中使用を実施することあり。

2. 局部的使用にあたりても過度の分散に陥るを戒め、所期の効力を発揚し得るに足るべき数量を使用すること特に緊要なり。

3. 特種煙はその効力時間極めて短小なるに鑑み、直ちにその成果を利用して突撃を敢行するを要す。

  二、使用要領

1. 特種発煙筒の使用は主として野戦ガス隊、所要に応じ第一線部隊に於て編成せる臨時発煙隊(班)をもつて実施す。

2. 野戦ガス隊は特種発煙筒を計画的·大規模に使用せんとする場合には集結使用するも、随時随所に局部的成果を収めんとする場合には第一線部隊に配属し、または野戦瓦斯隊の幹部をして第一線の特種煙使用を援助せしむ。

3. 師団長(波田支隊に在りては支隊長、以下同)は第一線部隊をもつて適宜、臨時発煙隊を編成し、特種発煙筒を使用し、またはこれをもつて野戦ガス隊を援助せしむるものとす。

4. 特種発煙弾の使用は主として迫撃隊によるも、所要に応じ砲兵部隊をもつてこれに任ぜしむ。

5. 最前線部隊は特種煙の成果利用にあたり、特に機を失せずこれに膚接して突撃し、通常、装面して迅速·果敢に大なる縦深を突破す。

 残敵掃蕩のためには有力なる掃蕩隊を編成するものとす。

6. 特殊煙使用にあたりては各兵団毎に局地気象を測定し、成果の発揚に遺憾なからしむ。

7. 特種発煙筒使用にあたりては、相当数の発煙筒を使用し、所要に応じ催涙筒を混用するものとす。
 特種発煙弾の使用にあたりても亦、なし得れば発煙弾を混用するものとす。

  三、化学戦部隊の装備

1. 野戦瓦斯隊は作戦地の地形、特に道路の景況不良なるに鑑み、起動力発揮に遺憾なからしむるごとく装備を改編し、防護資材は各中隊(各独立小隊)とも概ね一車両程度を携行するものとす。

2. 迫撃隊の編成に関しては別に示す

  四、資材の配当

資材の配当に関しては別に示す

  五、秘密保持

1. 特種煙は勉めて普通煙に混用し、市街地および第三国人の居住地域の直接攻撃には特種煙を使用せず。

2. 特種資材は特にその痕跡を堙滅し、使用後の特種発煙筒は成るべく原形を破毀し、深く土(水)中に埋没(投入)す。
 点火不良の特種発煙筒はこれを粉砕し、土(水)中に散布·埋填するか、もしくはこれを収集してガス厰もしくは砲兵廠に返納するものとす。

3. 特種煙攻撃を実施せる地域の敵は勉めて殲滅を期し、これが脱逸を防ぐものとす。

4. 特種発煙筒および収容箱等にある「あか筒」「あか弾」の註記あるものは、あらかじめこれを完全抹殺す。

5. 特殊煙に関する事項は師団以下においては勉めて印刷するを避け、やむを得ず印刷もくは筆記せるもの等は、特にこれが取扱を厳重にし、その散逸を戒むるを要す。

  六、報告

1. 特種発煙筒(弾)を大規模(師団長の統制に依る場合)に使用せんとする場合は、速やかにこれが要旨を報告するものとす。

2. 特種発煙筒(弾)を使用したる場合は少なくも左記事項に関し適時これを報告するものとす。
 報告提出部数は5部とす。

左記

(一)戦闘経過の概要

(二)使用時刻、気象状況

(三)使用要領、特に使用部隊、使用数、使用正面、使用時の状況

(四)効力および敵の防護装備の程度(防毒面型式)

(五)成果利用の状況

(六)用法および資材の改善等に関する事項

(七)その他、参考となるべき事項


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【軍事極秘】
呂集作命第三十三號
  呂集團命令 八月二十一日〇九二〇
        於九江

自今 別紙要領ニ基キ 特種煙(特種發煙筒 及 特種發煙彈)ヲ使用スヘシ

   呂集團司令官 岡村寧次

 下達法 印刷交付


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呂集作命第三十三號別紙
特種煙(特種發煙筒 及 特種發煙彈)使用要領

  一、要則

一、特種煙ハ戰鬪ノ進捗ヲ圖ル爲隨時隨所ニ局部的ニ使用スルヲ本則トスルモ狀況ニ依リ計畫的ニ大規模ノ集中使用ヲ實施スルコトアリ

二、局部的使用ニ方リテモ過度ノ分散ニ陷ルヲ戒シメ所期ノ効力ヲ發揚シ得ルニ足ルへキ數量ヲ使用スルコト特ニ緊要ナリ

三、特種煙ハ其効力時間極メテ短小ナルニ鑑ミ直ニ其成果ヲ利用シテ突擊ヲ敢行スルヲ要ス

  二、使用要領

一、特種發煙筒ノ使用ハ主トシテ野戰瓦斯隊所要ニ應シ第一線部隊ニ於テ編成セル臨時發煙隊(班)ヲ以テ實施ス

二、野戰瓦斯隊ハ特種發煙筒ヲ計畫的大規模ニ使用セントスル場合ニハ集結使用スルモ隨時隨所ニ局部的成果ヲ收メントスル場合ニハ第一線部隊ニ配屬シ又ハ野戰瓦斯隊ノ幹部ヲシテ第一線ノ特種煙使用ヲ援助セシム

三、師團長(波田支隊ニ在リテハ支隊長 以下同)ハ第一線部隊ヲ以テ適宜 臨時発煙隊ヲ編成シ 特種発煙筒ヲ使用シ又ハ之ヲ以テ野戰瓦斯隊ヲ援助セシムルモノトス

四、特種發煙彈ノ使用ハ主トシテ迫擊隊ニ依ルモ所要ニ應シ砲兵部隊ヲ以テ之ニ任セシム

五、最前線部隊ハ特種煙ノ成果利用ニ方リ特ニ機ヲ失セス之ニ膚接シテ突擊シ通常裝面シテ迅速果敢ニ大ナル縦深ヲ突破ス

殘敵掃蕩ノ爲ニハ有力ナル掃蕩隊ヲ編成スルモノトス

六、特殊煙使用ニ方リテハ各兵團每ニ局地氣象ヲ測定シ成果ノ發揚ニ遺憾ナカラシム

七、特種發煙筒使用ニ方リテハ相當數ノ發煙筒ヲ使用シ所要ニ應シ催涙筒ヲ混用スルモノトス
特種發煙彈ノ使用ニ方リテモ亦爲シ得レハ發煙彈ヲ混用スルモノトス

  三、化學戰部隊ノ裝備

一、野戰瓦斯隊ハ作戰地ノ地形特ニ道路ノ景況ナルニ鑑ミ起動力發揮ニ遺憾ナカラシムル如ク裝備ヲ改編シ防護資材ハ各中隊(各獨立小隊)共槪ネ一車輛程度ヲ携行スルモノトス

二、迫擊隊ノ編成ニ關シテハ別ニ示ス

  四、資材ノ配當

資材ノ配當ニ關シテハ別ニ示ス

  五、秘密保持

一、特種煙ハ勉メテ普通煙ニ混用シ市街地及第三国人ノ居住地域ノ直接攻撃ニハ特種煙ヲ使用セス

二、特種資材ハ特ニ其痕跡ヲ堙滅シ使用後ノ特種發煙筒ハ成ルヘク原形ヲ破毀シ深ク土(水)中ニ埋没(投入)ス
點火不良ノ特種發煙筒ハ之ヲ粉碎シ土(水)中ニ散布 埋塡スルカ若シクハ之ヲ蒐集シテ瓦斯厰若シクハ砲兵廠ニ返納スルモノトス

三、特種煙攻擊ヲ實施セル地域ノ敵ハ勉メテ殲滅ヲ期シ之カ脱逸ヲ防クモノトス

四、特種發煙筒及收容箱等ニ在ル「あか筒」「あか弾」ノ註記アルモノハ予メ之ヲ完全抹殺ス

五、特殊煙ニ關スル事項ハ師團以下ニ於テハ勉メテ印刷スルヲ避ケ已ムヲ得ス印刷若ハ筆記セルモノ等ハ特ニ之カ取扱ヲ嚴重ニシ其散逸ヲ戒ムルヲ要ス

  六、報告

一、特種發煙筒(彈)ヲ大規模(師團長ノ統制ニ依ル場合)ニ使用セントスル場合ハ速ニ之カ要旨ヲ報告スルモノトス

二、特種發煙筒(彈)ヲ使用シタル場合ハ少ナクモ左記事項ニ關シ適時之ヲ報告スルモノトス
報告提出部數ハ五部トス

左記

(一)戰鬪經過ノ槪要

(二)使用時刻 氣象狀況

(三)使用要領特ニ使用部隊使用数使用正面、使用時ノ狀況

(四)効力及敵ノ防護裝備ノ程度(防毒面型式)

(五)成果利用ノ狀況

(六)用法及資材ノ改善等ニ關スル事項

(七)其他參考トナルヘキ事項

 

呂集作命[第11軍作戦命令]第33号(1938年8月21日)
https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/C11112049100
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