松井司令官投降勧告
上海【一二・九】九日正午、松井最高指揮官は南京防衛司令官唐生智に投降勧告状を飛行機より投下した。
上海【一二・九】(上海軍九日午後七時発表)松井最高指揮官は本日正午、飛行機により南京防衛司令官に対し投降勧告文を投下し、十日正午迄に回答を要求せり。
上海【一二・九】松井最高指揮官より本日正午、南京衛戍司令官唐生智に宛てた投降勧告文の全文、左の如し。
日軍百萬既に江南を席捲せり。南京城は正に包囲の中に在り、戦局の大勢よりみれば今後の交戦はただ百害あつて一利なし。惟ふに江寧の地は中央の旧都にして民國の首都なり。民の孝陵、中山陵等、古蹟各所蝟集し蜿[婉?]然東亞文化の精髄の観あり。日軍は抵抗者に対しては極めて峻烈にして寛恕せざるも、無辜の民衆及び敵意なき中国軍隊に対しては寛大を以つてし、之を犯さず、東亜文化に至りては之を保護保存するの熱意あり。而して貴軍交戦を継続せんとするならば、南京は勢ひ必ずや戦禍を免れ難し。而して千載の文化を灰燼に帰し、十年の経営は全く泡沫とならん。仍つて本司令官は日本軍を代表し貴軍に勧告す。即ち南京城を和平裡に開放し、而して左記の処置に出でよ。
大日本陸軍総司令官
松井 石根
本勧告に対する回答は十二月十日正午、中山路、句容道上の歩哨線に於て受領すべし。若しも貴軍が司令官を代表する責任者を派遣する時は、該所に於て本司令官代表者との間に南京城接収に関する必要の協定を遂行するの準備あり。若しも該指定時間内に何等の回答に接し得ざれば、日本軍は已むを得ず南京城攻略を開始せん。
松井司令官投降勸告
上海【一二・九】九日正午松井最高指揮官は
南京防衞司令官唐生智に投降勸告狀を飛
行機より投下した
上海【一二・九】(上海軍九日午後七時発表)
松井最高指揮官は本日正午飛行機により
南京防衞司令官に對し投降勸告文を投下
し十日正午迄に回答を要求せり
上海【一二・九】松井最高指揮官より本日
正午南京衞戍司令官唐生智に宛てた投
降勸告文の全文左の如し
日軍百萬旣に江南を席捲せり、南京城は
正に包圍の中に在り、戰局の大勢よりみ
れば今後の交戰はたゞ百害あつて一利な
し、惟ふに江寧の地は中央の舊都にして
民國の首都なり民の孝陵、中山陵等古蹟
各所蝟集し蜿然東亞文化の精髓の觀あり
日軍は抵抗者に對しては極めて峻烈にし
て寛恕せざるも無辜の民衆及び敵意なき
中國軍隊に對しては寛大を以つてし之を
犯さず東亞文化に至りては之を保護保存
するの熱意あり、而して貴軍交戰を繼續
せんとするならば南京は勢ひ必ずや戰禍
を免れ難し而して千載の文化を灰燼に歸
し十年の經營は全く泡沫とならん仍つて
本司令官は日本軍を代表し貴軍に勸告す
即ち南京城を和平裡に開放し而して左記
の處置に出でよ
大日本陸軍總司令官
松井 石根
本勸告に對する回答は十二月十日正午
中山路、句容道上の歩哨線に於て受領
すべし若しも貴軍が司令官を代表する
責任者を派遣する時は該所に於て本司
令官代表者との間に南京城接収に關す
る必要の協定を遂行するの準備あり若
しも該指定時間内に何等の回答に接し
得ざれば日本軍は已むを得ず南京城攻
略を開始せん
↑同盟旬報 1937年 第17号より
https://www2.i-repository.net/contents/myc/chosakai/A03_0117_017.pdf