2月7日 曇夜晴
1:30より派遣軍慰霊祭。終つて松井軍司令官より隊長全部に対し次の要旨の訓示あり。南京入城の時は誇らしき気持ちにて、その翌日の慰霊祭またその気分なりしも、本日は悲しみの気持ちのみなり。それはこの50日間に幾多の忌まはしき事件を起こし、戦没将士の樹てたる功を半減するに至りたればなり。何をもつてこの英霊に見えんやと言ふにあり。
[朝香宮]殿下また御列席=殿下に対し奉り誠に申し訳なき気持ちにて帰来、早速、御断りを申し上ぐ(式後、松井司令官の訓示は凱旋気分、相当に横溢しあるは怪しからぬとのこともあり)。
二月七日 曇夜晴
一·三〇ヨリ派遣軍慰霊祭、終テ松井軍司令官ヨリ隊長全部ニ対シ次ノ要旨ノ訓示アリ 南京入城ノ時ハ誇ラシキ気持ニテ其翌日の慰霊祭亦其気分ナリシモ 本日ハ悲シミノ気持ノミナリ 其レハ此五十日間ニ幾多ノ忌ハシキ事件ヲ起シ 戦没将士ノ樹テタル功ヲ半減スルニ至リタレハナリ、何ヲ以テ此英霊ニ見ヘンヤト言フニアリ
殿下亦御列席=殿下ニ対シ奉リ誠ニ申シ訳ナキ気持ニテ帰来 早速 御断ヲ申上ク(式後 松井司令官ノ訓示ハ凱旋気分 相当ニ横溢シアルハし怪シカラヌトノコトモアリ)
南京戦史資料集 Ⅱ(偕行社、1993年)p.168 脚注欄