Ob-La-Di Oblako 文庫

帝国日本の侵掠戦争と植民地支配、人権蹂躙を記憶し、再現を許さないために、ひたすら文書資料を書き取る。姉妹ブログ「歴史を忘れる民族に未来はない!」https://obladioblako.hateblo.jp/ のデータ·ベースを兼ねる。

「共同して経済的に圧迫し来る場合、その兆候を察知せば、これを機会として国内経済機構の戦時態勢化を断行し…」「共同武力をもつて圧迫し来る場合、現戦争指導方針に準拠し、かつ英·仏に対しても我が国防威力圏内において積極的に対応す。この際、資源の獲得をも考慮す」 英、仏、ソ三国共同して強制干渉をなさんとする噂あるに鑑み、之が対策案 五相会議 1938.6.23


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【極秘】

         昭和13年6月23日

         軍務課

   英·仏·ソ3国共同強制干渉をなさんと

   する噂あるに鑑み、これが

   [✕実現を見る場合の✕]対策<案>

    方針

 干渉挫折を策し、成らざれば積極的にこれを排除し、現戦争指導の方針を変更せず。

    対策

1.全般的対策

(1) 干渉に関する3国間提携の内情を精査し、その機微に対応するの策を誤らざるを要す。

(2) 速やかに防共軸の強化を図り、独·伊をして背後より牽制せしむるとともに、我が経済的国防態勢を確立す。

(3) 米国をして共同戦線に加入せしめざるごとく工作す。

(4) 共同結束の度に応じ、なし得れば相互離間、就中、利をもつてする英の離間を策す。

(5) 干渉度濃化を誘発せざる様、慎重なる注意を払ひつつ、輿論を喚起し国民の覚悟を一層強固ならしむ。

2.共同して抗議し来る場合

 毅然としてこれを排撃し我が決意を示すとともに、主として英·仏に対し集結において我に抗することの不利なる所以を自覚せしむ。

3.共同して経済的に圧迫し来たる場合

 その兆候を察知せば、これを機会として国内経済機構の戦時態勢化を断行し、日·満·北支の産業拡充、海外貿易の振興等、予定の経済戦対策を強化·促進す。

4.共同武力をもつて圧迫し来たる場合

 現戦争指導方針に準拠し、かつ英·仏に対しても我が国防威力圏内において積極的に対応す。この際、資源の獲得をも考慮す。


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【極秘】
         昭和十三年六月二十三日

         軍務課

   英、仏、蘇 三國共同シテ强制干渉ヲ

   ナサントスル噂アルニ鑑ミ 之カ

   [✕實現ヲ見ル場合ノ✕]對策<案>

    方針

干渉挫折ヲ策シ 成ラサレハ積極的ニ之ヲ排除シ 現戰爭指導ノ方針ヲ変更セス

    對策

一、全般的對策

(1) 干渉ニ關スル三國間提携ノ内情ヲ精査シ 其機微ニ對応スルノ策ヲ誤ラサルヲ要ス

(2) 速ニ防共軸ノ强化ヲ圖リ 獨、伊ヲシテ背後ヨリ牽制セシムルト共ニ我經濟的國防態勢ヲ確立ス

(3) 米國ヲシテ共同戰線ニ加入セシメサル如ク工作ス

(4) 共同結束ノ度ニ応シ 爲シ得レハ相互離間 就中 利ヲ以テスル英ノ離間ヲ策ス

(5) 干渉度濃化ヲ誘發セサル樣 愼重ナル注意ヲ拂ヒツツ 輿論ヲ喚起シ 國民ノ覺悟ヲ一層鞏固ナラシム

二、共同シテ抗議シ来ル場合

毅然トシテ之ヲ排擊シ 我決意ヲ示スト共ニ 主トシテ英、仏ニ對シ 集結ニ於テ我ニ抗スルコトノ不利ナル所以ヲ自覚セシム

三、共同シテ經濟的ニ壓迫使来ル場合

其兆候ヲ察知セハ 之ヲ機会トシテ國内經濟機構ノ戰時態勢化ヲ斷行シ、日、滿、北支ノ產業拡充、海外貿易ノ振興等 予定ノ經濟戰對策ヲ强化促進ス

四、共同武力ヲ以テ壓迫シ來ル場合

現戰争指導方針ニ準據シ 且 英、仏ニ對シテモ我國防威力圏内ニ於テ積極的ニ對応ス 此際 資源ノ獲得ヲモ考慮ス

 

支那事変関係一件 第十四巻
10.英、仏、ソ三国共同して強制干渉をなさんとする噂あるに鑑み、之が対策案
https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/B02030538500