秘書官 昭和十五年六月廿五日 接受
官情報 第二一九四号
昭和十五年六月二十四日 警視庁情報課長
近衛公の声明発表に関する件
近衛文麿公は本日 枢密院議長拝辞に際し 午後零時三十分 荻窪の自邸に於て 談話の形式を以て声明を発表せり
声明
内外 未曽有の変局に対処する為め 強力なる挙国政治体制を確立する必要は 何人も之れを認める処である 自分は今回 枢密院議長を拝辞し 専心 新体制の確立の為 微力を捧げたい 最近活溌になつた所謂 新党運動は 斯る体制の意味なら 誠に結構である 然し単に既成政党の離合集散や 眼前の政権のみ目標とするが如き策動であるならば 自分は之と事を共にすることは出来ない
挙国体制の具体的問題や 之れを具現すべき方策に就ては 今後 各方面の意見を聴き 慎重なる考究を遂げた上 之れが実現に努力しやうと思ふ
以上
↑戦前期外務省記録 本邦内政関係雑纂 第三巻
４ 昭和１５年６月２１日から昭和１５年７月４日
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