内閣情報部12·12 情報第2号
長沙放送(11日) (熊本逓信局聴取)
1. 南京、9日、ロイテル電
南京の支那軍隊は今日、城外で砲声殷々たる中にゲンカン一帯の防備を固めつつあり。避難者は続々押し寄せ、日本軍飛行機は同避難民を爆撃し、支那軍は郊外に逃走した一方、支那軍当局は南京在留外人に避難勧告を発したため、英米独3国人は昨夜、英米軍艦に避難した。目下残留しているのは外国人新聞記者で、安全区域委員会の中に約20名いる。英艦2隻、米艦1隻はゲンカンの上流20マイルの地点に去った。聞くところによれば支那非戦闘員二千余は城外貧民区域に留まっている。
2. 漢口、10日、ロイテル電
(イ) 敵軍総司令松井大将は9日、敵の飛行機より南京総司令に宛て最後の通牒を発した。
内容は極めてデマ的のもので、
日本軍は南京を包囲し近く総攻撃を開始せん。したがって莫大なる損害あり。もし支那軍にして飽くまで抗戦せば、南京は破壊されん。
と敵のこの通牒は我が軍に対し、非戦闘員たる南京住民を屠殺する申し分であると言える。
わが唐生智長官は断乎通牒を一蹴した
(ロ) 当地某軍事機関は10日、南京からの情報に接した。
敵軍が9日、南千鳥山を包囲攻撃する。わが某軍は金華山の要地で激戦、既に敵を撃退した。敵の死傷三千余、わが方も一千余の死傷者を出した。また光華門外の戦闘においては、わが某総指揮は自ら前線に立ち策戦、士気大いに振るい、敵六千余を倒し、戦況すこぶる有利である。
(ハ) 中華委員党部は今日、蒋介石に宛て「敵は南京を攻撃す。特殊の時期ならざれば放棄せず、頑抗せんことを希望す。本党は八九万の会員を率いて後楯となすと打電して来た。
[以下略]
内閣情報部一二·一二 情報第二号
長沙放送(十一日) (熊本遞信局聽取)
一、南京九日ロイテル電
南京ノ支那軍隊ハ今日城外デ砲聲殷々タル中ニゲンカン一帶ノ防備ヲ固メツツアリ、避難者ハ續々押シ寄セ日本軍飛行機ハ同避難民ヲ爆擊シ、支那軍ハ郊外ニ逃走シタ一方、支那軍当局ハ南京在留外人ニ避難勸告ヲ發シタ爲英米獨三國人ハ昨夜英米軍艦ニ避難シタ、目下殘留シテ居ルノハ外國人新聞記者デ安全區域委員會ノ中ニ約二十名居ル、英艦二隻米艦一隻ハゲンカンノ上流二十哩ノ地點ニ去ツタ、聞ク所ニ依レバ支那非戰鬪員二千餘ハ城外貧民區域ニ留マツテ居ル、
二、漢口十日ロイテル電
(イ) 敵軍總司令松井大將ハ九日敵ノ飛行機ヨリ南京總司令ニ宛テ最後ノ通牒ヲ發シタ
内容ハ極メテデマ的ノモノデ
日本軍ハ南京ヲ包圍シ近ク總攻擊ヲ開始セン從ツテ莫大ナル損害アリ、若シ支那軍ニシテ飽ク迄抗戰セバ南京ハ破壞サレン
ト敵ノコノ通牒ハ我軍ニ對シ非戰鬪員タル南京住民ヲ屠殺スル申分デアルト言ヘル、
我唐生智長官ハ斷乎通牒ヲ一蹴シタ
(ロ) 當地某軍事機関ハ十日南京カラノ情報ニ接シタ
敵軍ガ九日南千鳥山ヲ包圍攻擊スル我某軍ハ金華山ノ要地デ激戦旣ニ敵ヲ擊退シタ、敵ノ死傷三千餘、我方モ一千余ノ死傷者ヲ出シタ、又光華門外ノ戰鬪ニ於テハ我某總指揮ハ自ラ前線ニ立チ策戰士気大イニ振ヒ敵六千餘ヲ倒シ戰況頗ル有利デアル
(ハ) 中華委員黨部ハ今日蔣介石ニ宛テ敵ハ南京ヲ攻擊ス、特殊ノ時期ナラザレバ抛棄セズ頑抗センコトヲ希望ス本黨ハ八九萬ノ會員ヲ率イテ後楯トナスト打電シテ來タ
各種情報資料・支那事変ニ関スル情報綴
長沙放送(十一日)
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