Ob-La-Di Oblako 文庫

帝国日本の侵掠戦争と植民地支配、人権蹂躙を記憶し、再現を許さないために、ひたすら文書資料を書き取る。姉妹ブログ「歴史を忘れる民族に未来はない!」https://obladioblako.hateblo.jp/ のデータ·ベースを兼ねる。

団体等規正令 天皇裕仁署名原本 昭和24年政令第64号 1949.4.4


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 團体等規正令をここに公布する。
裕仁天皇御璽】
 昭和二十四年四月四日


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              内閣総理大臣 吉田 茂


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政令第六十四号

   團体等規正令

 内閣は、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件(昭和二十年勅令第五百四十二号)に基き、同令に基く政党、協会その他の團体の結成の禁止等に関する件(昭和二十一年勅令第百一号)を改正するこの政令を制定する。

 

 (この政令の目的)

第一條 この政令は、平和主義及び民主主義のな育成発展を期するため、政治團体の内容を一般に公開し、秘密的、軍國主義的、極端な國家主義的、暴力主義的及び反民主主義的な團体の結成及び指導並びに團体の及び個人のそのような行為を禁止することを目的とする。

2 この政令は、この政令に定められた目的及び行爲に関する場合を除き、集会、言論又は信敎の自由を阻害するように解釈し、又は適


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用してはならない。

 

 (團体の結成及び指導の禁止)

第二條 その目的又は行爲が左の各号に該当する政党、協会その他の團体は、結成し、又は指揮してはならない。

一 占領軍に対して反抗し、若しくは反対し、又は日本國政府が連合國最高司令官の要求に基いて発した命令に対して反抗し、若しくは反対すること。

二 日本國の侵略的対外軍事行動を支持し、又は正当化すること。

三 日本國が他のアジア、インドネシア又はマレー人種の指導者であることをせん称すること。

四 日本國内において外國人を貿易、商業又は職業從事から排除すること。

五 日本國と諸外國との間の自由な文化及び学術の交流に対して反対すること。


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六 日本國内において、軍事的若しくは準軍事的訓練を実施し、陸海軍人であつた者に対して民間人に與えられる以上の恩典を供與し、若しくは特殊の発言権を附與し、又は軍國主義若しくは軍人的精神を存続すること。

七 暗殺その他の暴力主義的企圖によつて政策を変更し、又は暴力主義的方法を是認するような傾向を助長し、若しくは正当化すること。

 

 (禁止行爲)

第三條 前條各号の一に該当する行爲は、してはならない。

 

 (團体の解散)

第四條 左の各号の一に該当する團体で法務総裁の指定するものは、その指定によつて解散する。

一 第二條に該当する團体(第五條の規定により第二條の團体とみなされたものを含む。)


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二 第二條各号の一に該当する行爲をした團体

三 第六條の届出をしない團体

2 法務総裁は、前項各号の一に該当する團体で同項の指定によらないですでに解散したもの(この政令施行前に解散したものを含む。)に対しても、同項の指定をすることができる。この場合において、その團体は、その指定によつて解散したものとみなす。

 第二項の法務総裁の指定は、官報に公示して行う。

 

 (第二條の團体とみなされる團体)

第五條 左の各号の一に該当する團体は、法務総裁の特に指定するものを除くほか、第二條の團体とみなす。

一 その主要役員のいずれかが左の一に該当するもの

イ 前條の規定により解散した團体の構成員であつた者

ロ 昭和五年一月一日以後現役にあつた正規の陸海軍の將校又は特別志願予備將校であつた者


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ハ 憲兵隊、特務機関、海軍特務部又はその他の陸海軍警察機関の特殊若しくは秘密諜報機関に勤務した者又はこれに協力した者

二 その構成員の四分の一を越える者が前條の規定により解散した團体の構成員であつたもの

 

(團体の届出)

第六條 その目的又は行爲が左の各号の一に該当する政党、協会その他の團体については、当該團体の代表者又は主幹者は、第七條の規定によつて届出をしなければならない。

一 公職の候補者を推薦し、又は支持すること。

二 政府又は地方公共團体の政策に影響を與える行為をすること。

三 日本國と諸外國との関係に関し論議すること。

第七條 前條の届出は、新たに同條の團体を結成し、又は既存の團体を同條の團体に変更したときは、その日から三日以内にその團体に


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ついて左の各号に掲げる事項を、その届出事項に変更があつたとき、又はその團体が解散したときは、その日から二十日以内にその旨を、その主たる事務所の市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)に対して行うものとする。

一 名称

二 目的

三 主たる事務所の所在地

四 役員の住所、氏名、現に所属し、及び所属したことのある一切の團体の名称並びに軍隊又は警察に勤務したことのある者については、その旨

五 有力な財政的援助者の住所、氏名及びその援助の金額

六 構成員の住所、氏名及び從來所属したことのある一切の政治的又は思想的団体の名称

2 前項第六号の規定は、労働組合及びこれに準ずべき労働者又は被傭者の團体には適用しない。


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3 前二項に定めるものを除くほか、前條の届出に関し必要な事項は、法務廳令で定める。

 

 (届出の通達及び公開)

第八條 第六條の届出を受理した市町村長は、法務廳令の定めるところにより、これを都道府縣知事及び法務総裁に通達しなければならない。

2 市町村長、都道府縣知事及び法務総裁は、法務廳令の定めるところにより、それぞれ前項の届出を一般に公開しなければならない。

 

 (機関誌紙の提出)

第九條 第六條の團体が機関誌紙を発行したときは、その代表者又は主幹者は、刊行の日から二十日以内にその一部を主たる事務所の所在地の都道府県知事に、その二部を都道府県知事を経て法務総裁に提出しなければならない。


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 (法務総裁の調査)

第十條 法務総裁は、この政令の條項が遵守さるているかどうかを確めるため、必要な調査を行うものとする。

2 法務総裁は、前項の規定による事務の一部を都道府縣知事をして行わせることができる。

3 法務総裁又は都道府県知事は、第一項の調査をするについて必要があるときは、関係者の出頭を求め、又は当該官吏もしくは吏員をしてその説明を聽取し、若しくは資料その他の物件の提出を求めさせることができる。

4 前項に規定する当該官吏及び吏員は、その身分を示す証票を携帶し、関係者の請求のあるときは、これを提示しなければならない。

 

 (團体解散に伴う公職からの除去)

第十一條 昭和二十三年五月十一日以後第四條の規定により解散した團体の本部又は支部その他の下部組織のいずれかに対し、時期の如


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何を問わず、左の各号の一に該当する関係にあつた者で、法務総裁の指定するものは、公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令(昭和二十二年勅令第一号。以下勅令第一号という。)の規定による覚書該当者に準じて、公職からこれを除去する。

一 創立者、役員又は理事であつた者
二 要職を占めた者

三 一切の刊行物又は機関誌紙の編集者

四 自発的に多額の寄附をした者

2 前項の法務総裁の指定は、官報に公示して行う。

第十二條 前條第一号の規定に該当する者は、同項の指定によつて、勅令第一号による覚書該当者としての指定を受けたものとみなし、その者が現に同令にいう公職にあるときは、同令第三條の規定に從い退職しなければならない。その他その者に関しては同令が適用されるものとする。但し、同令第三條第二項但書の権限は、法務総裁が行うものとする。


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 (罰則)

第十三條 左に掲げる者は、十年以下の懲役又は禁錮に処する。但し、情状によらり、七万五千円以下の罰金に処することができる。

一 第二條又は第三條の規定に違反した者

二 第六條の届出をせず、又は虚偽の届出をした者

三 第十條第三項の規定により出頭、説明又は資料その他の物件の提出を求められて、これに應じない者

四 第十一條第一項の規定に該当する者で前條の規定により辭職の措置をとらず、又はその該当の事実を秘して勅令第一号にいう公職に就いたもの。

第十四條 第四條の規定により解散した團体の主要役員若しくは有力な財政的援助者であった者又は勅令第一号にいう覚書該当者であつてこれらの團体の顧問、参與、(これらと同種及び同等の権限を有する類似の職を含む。以下同じ。)若しくは構成員であつた者が新たに第二條の團体を結成し、若しくはその結成を援助し、又は指導し、


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若しくはその指導を援助したときは、前條に規定する刑の二倍を越えない刑に処する。

2 前項に揭げる者が同項に揭げる新たな團体の主要役員、顧問、参與、構成員又は有力な財政的援助者となつたときは、その者は、同項に揭げる新たな團体を結成し、若しくはその結成を援助し、又は指導し、若しくは

その指導を援助したものと推定する。
第十五條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務に関し第十三條の違反行爲をしたときは、行爲者を罰するほか、その法人又は人に対し同條の罰金刑を科する。

 

   附則

1 この政令は、公布の日から施行する。

2 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く政党、協会その他の團体の結成の禁止等に関


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する件(昭和二十一年勅令第百一号。以下旧令という。)及び第四條第一号(イ)の規定による從前の指定は、この政令第四條の規定による指定とみなす。

3 旧令第五條の規定に基く届出は、この政令第六條に基く届出とみなす。

4 旧令第五條ノ三の規定による指定は、この政令第十一條の規定による指定とみなす。

5 この政令施行後になした違反行為の処罰については、なお旧令による。

6  解散團体の財產の管理及び処分に関する政令(昭和二十三年政令第二百三十八号)の一部を次のように改正する。

 第一条を次のように改める。
第一條 この政令において「解散團体」とは、團体等規正令(昭和二十四年政令第六十四号)第四條の規定により解散した團体をいう。


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 第四條第一項、第六條及び第十五條第一項中「昭和二十一年勅令第百一号第二條又は同令第四條第一号(イ)」を「團体等規正令第四條」に、第二十三條第一項中「昭和二十一年勅令第百一号第二條」を「團体等規正令第四條」に改める。

7 法務廳設置法(昭和二十二年法律第百九十三)の一部を次のように改正する。

 第一條第三項中「昭和二十一年勅令第百一号の規定による政党、協会その他の團体の結成の禁止等に関する事項、」を「團体等規正令(昭和二十四年政令第六十四号)の規定による政党、協会その他の團体の結成の禁止等に関する事項、解散團体の財産の管理及び処理等に関する政令(昭和二十三年政令第二百三十八号)の規定による國庫に帰属した財產の管理等に関する事項、」に改める。

 第六條第二項第一号及び第十條第一項第九号中「昭和二十一年勅令第百一号」を「團体等規正令」に改め、第十條第一項第十号を次のように改める。


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十 解散團体の財產の管理及び処分等に関する政令の規定による國庫に帰属した財產の管理並びに処分等に関する事項

8 公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令の規定による覚書該当者の指定の特免に関する政令(昭和二十四年政令第三十九号)の一部を次のように改正する。

 第一條中「政党、協会その他の團体の結成の禁止等に関する件(昭和二十一年勅令第百一号)第五條の四の規定により、」を「團体等規正令(昭和二十四年政令第六十四号)第十二條の規定により、」に改める。

           内閣総理大臣 吉田 茂

           法務総裁   殖田俊吉

 

国立公文書館デジタルアーカイブ

団体等規正令 天皇裕仁署名原本 昭和24年政令第64号

https://www.digital.archives.go.jp/file/132753