Ob-La-Di Oblako 文庫

帝国日本の侵掠戦争と植民地支配、人権蹂躙を記憶し、再現を許さないために、ひたすら文書資料を書き取る。姉妹ブログ「歴史を忘れる民族に未来はない!」https://obladioblako.hateblo.jp/ のデータ·ベースを兼ねる。

情勢の進展に伴ふ当面の施策に関する件 1942. 1. 10

軍事機密    【決定】 昭和十七年一月十日
             連絡会議決定

   情勢の進展に伴ふ当面の施策に関する件

 情勢の進展に伴ひ、昭和十六年十一月十三日決定「対米英蘭蔣戦争終末促進に関する腹案」に基き、差当り左記施策を強化す。

一、英米等の敵国

 米英等の敵国に対しては、国内に厭戦気分を醞醸し、もつて継戦意志を喪失せしむるに努む。

 これがため特に作戦と呼応し各種宣伝を強化す。

二、インド

 英米との交通遮断ならびに対英協力の拒否および反英運動の積極化を目標とし、作戦の進展に伴ひ逐次施策を強化す。

 本施策は大本営これに任じ、関係各機関これに協力す。

三、豪州(ニユージーランドを含む)

 南方作戦の進展、英米との交通遮断等、対豪重圧の態勢を強化しつつ、豪州を英米の羈絆より離脱せしむるに努む。

 本施策は大本営これに任じ、関係各機関これに協力す。

四、南米諸国

 南米諸国に対しては、これら諸国をして実質的に中立を維持せしめ、なし得れば枢軸国側に接近せしむるを目標とし、工作の重点をアルゼンチン、ブラジルおよびチリの三国に置く。これがためスペイン、ポルトガルおよびローマ法皇庁をも利用す。

五、ソ連

 日ソ間の静謐を保持するとともに、ソ連英米との連繋の強化を阻止し、なし得ればこれを離間するに努む。

六、タイ国

 日タイ両国軍の共同作戦を必要とする時期に至らば、米英に対し宣戦セしむ。
註 

 (一) 第一項および第四項に関しては、特に独伊と密に提携施策するものとす。

 (二) 本施策は現下の作戦に即応せしむるものとし、これが実施に関する大綱は連絡会議の了解を経るものとす。

 (三) インドおよび豪州に対する最後的処理に関しては別に定む。

 

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軍事機密    【決定】 昭和十七年一月十日
             連絡會議決定

  情勢ノ進展ニ伴フ當面ノ施策ニ關スル件

情勢ノ進展ニ伴ヒ昭和十六年十一月十三日決定「對米英蘭蔣戰爭終末促進ニ關スル腹案」ニ基キ差當リ左記施策ヲ强化ス

一、英米等ノ敵國

米英等ノ敵國ニ對シテハ國内ニ厭戰氣分ヲ醞醸シ以テ繼戰意志ヲ喪失セシムルニ努ム

之カ爲特ニ作戰ト呼應シ各種宣傳ヲ强化ス

二、印度

英米トノ交通遮斷竝ニ對英協力ノ拒否及反英運動ノ積極化ヲ目標トシ作戰ノ進展ニ伴ヒ逐次施策ヲ强化ス

本施策ハ大本營之ニ任シ關係各機關之ニ協力ス

三、濠洲(「ニユージーランド」ヲ含ム)

南方作戰ノ進展、英米トノ交通遮斷等對濠重壓ノ態勢ヲ强化シツ

 

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ツ濠洲ヲ英米ノ羈絆ヨリ離脱セシムルニ努ム

本施策ハ大本營之ニ任シ關係各機關之ニ協力ス

四、南米諸國

南米諸國ニ對シテハ此等諸國ヲシテ實質的ニ中立ヲ維持セシメ、爲シ得レハ樞軸國側ニ接近セシムルニヲ目標トシ工作ノ重點ヲ「アルゼンチン」、「ブラジル」及「チリ」ノ三國ニ置ク之カ爲「スペイン」、「ポルトガル」及羅馬法皇廳ヲモ利用ス

五、蘇聯

日蘇間ノ靜謐ヲ保持スルト共ニ蘇聯ト英米トノ連繫ノ强化ヲ阻止シ爲シ得レハ之ヲ離間スルニ努ム

六、泰国

日泰兩國軍ノ共同作戰ヲ必要トスル時期ニ至ラハ米英ニ對シ宣戰セシム

 

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註 

(一) 第一項及第四項ニ關シテハ特ニ獨伊ト密ニ提携施策スルモノトス

(二) 本施策ハ現下ノ作戰ニ卽應セシムルモノトシ之カ實施ニ關スル大綱ハ連絡會議ノ了解ヲ經ルモノトス

(三) 印度及濠洲ニ對スル最後的處理ニ關シテハ別ニ定ム

 

https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/C12120211100 昭和17年1月10日 情勢の進展に伴ふ当面の施策に関する件 JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C12120211100、
重要国策決定綴 其2 昭和16年12月10日~17年7月29日(防衛省防衛研究所 中央-戦争指導重要国策文書-1101)
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