Ob-La-Di Oblako 文庫

帝国日本の侵掠戦争と植民地支配、人権蹂躙を記憶し、再現を許さないために、ひたすら文書資料を書き取る。姉妹ブログ「歴史を忘れる民族に未来はない!」https://obladioblako.hateblo.jp/ のデータ·ベースを兼ねる。

暴行清兵を斬首する図 1894. 10

http://www.wul.waseda.ac.jp/kosho/imaspdf/pdf2/nishigakib10_8357.pdf

暴行清兵斬首スル図   楳堂小国政

 我が軍隊の正義慈仁なるは、欧米各文明国に対して慙 (は) ぢざるのみならず、却ってこれに優るものあるは世間既に公評あり、これに反して清兵の残忍暴虐なる、彼の赤十字病院に乱入して手足自由ならざる負傷病者を殺害するが如きは、天人ともに怒る所なり。

 今回の俘虜 (いけどり) に対しても我が軍隊は極めてこれを優待 (あつくもてな) し、決して苛酷の取扱を為さざるは勿論なるに、彼れ清兵は残虐なる己れが国風の脳裏に浸染しあるを以って、捕はるれば殺さるるものと思ひ、警護の巡査に向ひ暴行を働き、その帯剣を奪ひて切り付けなどするものありしにより、いかに寛仁太度を以ってこれに処するも、此の暴兵に対しては止むを得ず軍律処せざるべからざるにより、暴行を為せしもの三十八名を引出し、数多 (あまた) の俘虜 (いけどり) の面前 (めのまえ) に於て其の頭 (こうべ) を刎ね、他の俘虜に向ひ諭して曰く、

 我が軍隊は決して汝等を故なく殺戮するものにあらず、戦ひ終らば厚く遇して本国に送り還すべきも、我に対し暴行を為すに於ては已むを得ず斯くの如く罰せざるべからず。汝等恭順、よく我が命に従へと、

 俘虜等一同、感泣して我が帝国軍隊の仁義慈愛なるに心服せりといふ。恩威ならび行はるるものと謂ふべきならむ。   

 甲午冬十月

            櫻花生識

 

暴行清兵ヲ斬首スル圖   楳堂小國政

 

我軍隊の正義慈仁なるは
歐米各文明國尓 [=に] 對して慙 (者 [=は] ) ぢ
ざる能 [=の] 三 [=み] なら須" [=ず] 却てこ連 [=れ] 尓 [に]
優るものあるは世間既に公評
あり これ尓 [=に] 反して清兵の残
忍暴虐なる 彼の赤十字
病院に乱入して手足自由なら
ざる負傷病者を殺害する

 

が如きハ天人ともに怒る所也
今回の俘虜 (いけどり) 尓 [=に] 對しても我
軍隊ハ極てこ連 [=れ] を優待 (あつくもてな) し
決して苛酷の取扱を為さゞ
る者 [=は] 勿論なる尓 [=に] 彼連 [=れ] 清兵ハ残
虐なる己連 [=れ] が國風の脳裏尓 [=に]
浸染しあるを以て捕 (とらハ) る連 [=れ] 者" [=ば]
殺さるゝも能 [=の] と思ひ警護の

 

巡査尓 [=に] 向ひ暴行を働きそ乃 [=の]
帯剣を奪ひて切り付けなど
するも能 [=の] ありしによりい可 [=か] に寛仁
太度を以てこれ尓 [=に]處するも此
暴兵尓 [=に] 對し天 [=て] ハ止 (やむ) を得須" [=ず] 軍律
處せざるべ可 [=か] らざるにより暴行を
為せしもの三十八名を引出し数
多 (阿 [=あ] また) の俘虜 (いけどり) の靣前 (めのまへ) に於て其頭 (そのこうべ) を

 

刎 (者 [=は] ) ね他の俘虜尓 [=に] 向ひ諭して曰 (いはく)
我軍隊ハ決して汝等を故なく
殺戮するもの尓 =[に] 阿 [=あ] ら須" [=ず] 戦ひ終らバ
厚く遇して本国尓 [=に] 送り還す
へきも我尓 [=に ] 對し暴行を為須 [=す]
尓 [=に] 於天 [=て] は已むを得須" [=ず] 斯の如
く罰せざるべ可 [=か] ら須" [=ず] 汝等恭順
よく我命尓 [=に] 従へと、俘虜等

 

一同感泣して我帝國軍隊
の仁義慈愛なる尓 [=に] 心服せ
里 [=り] といふ 恩威ならび行ハる
るヽも乃 [=の] と謂フ偏" [=べ] きならむ
 甲午冬十月
         櫻花生識

 

暴行清兵ヲ斬首スル図 / 桜花生 [撰] ; 楳堂小国政 [画] https://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/bunko10/bunko10_08357/index.html

暴行清兵ヲ斬首スル図 https://www.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko10/b10_8357/ 

詳細画像(PDF) http://www.wul.waseda.ac.jp/kosho/imaspdf/pdf2/nishigakib10_8357.pdf