Ob-La-Di Oblako 文庫

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【工事中】歩兵第二百二十四連隊第二大隊 晋中第一期作戦 戦闘詳報 1940. 8. 23 ~ 9. 15

 

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軍事極秘
  戦詳第拾八号
   自 昭和十五年八月二十三日
   至 昭和十五年九月  十 五 日

 晋中第一期作戦 戦闘詳報

        歩兵第二百二十四連隊
        第  二  大  隊

 

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 晋  中  第 一 期 作 戦(自八月三十日
           至九月  八  日)

 晋中第一期復行作戦(自九月  九  日
           至九月十五日)

 

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   目  次

第一節、戦闘前に於ける彼我形勢の概要

 其の一、敵情
  附図第一、石太線南方地区敵情要図

 其の二、普中第一期作戦指導要領
  附図第二、普中第一期作戦指導要領

 其の三、晋中第一期復行作戦指導要領
  附図第三、晋中第一期復行作戦指導要領要図

第二節、作戦準備[略]

 

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第一節 戦闘前に於ける彼我形勢の概要(独立混成第旧九旅団長より指示せられたる処に依る)

   其一、敵情

一、我が数次に亘る作戦行動に依り敵八路軍百二十九師は相当大なる損傷を蒙りたるものゝ如きも今尚其の主力は石太線南方地区一帯に分散駐留し在りて我が攻撃を逃避しつゝ鋭意戦力の補備増強に努力しつゝあり

二、七月下旬以来敵は我が守備兵力の寡少なるを知り常に我が周辺を窺ひつゝあるものゝ如く八月上旬に至り正太線及同蒲鉄路に進出して鉄路の破壊橋梁の爆破等を企図し八路軍としては稀に見る執拗なる反復攻撃を企図せり

 

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三、敵八路軍は晋南地区ニ蟠踞しある中央諸軍と連繋し後方主要なる兵站交通路線を破壊して晋南地区に進駐しある我が軍の広報撹乱を行ひ以て該地に於ける日本軍の駐兵駐留を困難ならしむる意図をゆうしあるものゝ如く判断せらる

四、軍は山西省の治安確立の為め敵策謀の根拠を剿滅して敵をして将来生存し能はざるに至らしめ以て其の禍根を一掃し其の行動を完封すべく晋南作戦を実施して敵を大岳山脈中に包囲殲滅するに決す

五、敵情附図第一の如し

 

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附図第一
正太線南方地区敵情要図
 (於八月二十七日)

 

一部拡大

晋察冀辺区軍 兵力を集結しつゝあり

 

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   其二、晋中第一期作戦指導要綱

一、作戦指導方針

独立混成第九旅団は独混第四旅団と密に協力し八月中旬以来石太線全線に亘り攻撃を執りつゝある八路軍第一二九師主力を其の退却の好機を制し之を捕捉殲滅す

各支隊の作戦行動開始を規正するも石太線沿線近く蠢動しある敵の退却動揺の色あるときは其の機を逸することなく神速を第一とし逐次に戦闘に加入す

二、作戦指導要領

1.  作戦一般の目標線は松塔鎮 ー 馬抗鎮を連ぬる線とす

 

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2. 各支隊は努めて進路両側地区所在の敵を撃破し執拗に之を追撃すると共に迅速に其の退路を遮断して敵を随所に捕捉撃滅することに努む

3. 目標線進出後の反転して行ふ作戦に於ては徹底的に敵根拠地を燼滅掃討し敵をして将来生存し能はざるに至らしむ

4. 軍の進撃に方りては進路の両側に退避し帰路を掩撃せんとする共産軍戦法の特性に鑑み特に各支隊の戦闘地峡を設定せず各支隊は進路両側に退避せる敵に対しては徹底的に索出して之を剿滅す

之が為め一時進路を変更し或は各支隊行進交差をなすも妨げなし

 

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5. 共産軍戦法の特性に鑑み吉野支隊は高家山に到着せば駐留討伐し其の他は所要に応じ一時一地に駐兵し広く附近一帯の剿滅を敢行することあり

その細部に関しては臨機別に示す

三、軍隊区分

本作線に直接参加する兵力は旅団の一部 及

1.  吉野支隊

長 独歩三六長 吉野中佐
独歩三六の保歩兵約二中隊(各中隊機関銃一小隊含む)
独歩三六の歩兵砲一分隊
三号無線一分隊

 

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独立輜重兵第一連隊第一中隊の半小隊
第一患者収容隊(独歩三六に於 て編成)

2.  白方支隊

長 白方歩兵少佐
第四十一師団集成歩兵一大隊
 (平射一小(一分欠)MG一中、一小欠)
同 山砲兵一中隊(一分隊欠)
同 三号無線一分隊
同 衛生隊の一部
同輜重兵中隊

3.  鳴海支隊

長 鳴海歩兵少佐
第三十六師団歩兵半大隊
第三十六師団山砲兵一中隊
三号無線一分隊

 

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独立輜重兵第一連隊第一中隊半小隊
第三十六師団衛生隊の一部

4.  永野支隊

長 長野歩兵中佐
第三十六師団歩兵一大隊
第三十六師団山砲兵一大隊(二中隊一小隊欠)
三号無線一分隊
独立輜重兵第一連隊第一中隊(二小隊欠)
第三十六師団戦闘救護群一

5.  旅団直轄部隊

独歩三八堤中隊(機関銃一分隊含む)
独混九通信隊
兵站自動車第八十八中隊の一小隊
独混九臨時編成衛生機関

 

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四、各支隊の行動予定

1.  各支隊の集合及行動を予定すること附図第三の如し

右は図上に於ける予想作戦経過にして実際作戦に方りては素より本予想と異る結果をしょうずべく特に進路の両側に退避せる敵を徹底的に索出撃滅する場合に於て然りとす

各支隊は現地の状況及敵情に適応し本作戦全般の構図に大変化せしめざる範囲に於て適宜独断処置するを要す
然れども作戦全般の関係上作戦目標には必ず一度は進出するものとす

2.  反転作戦に方りて将来敵の生存し能はざら

 

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しむる為燼滅掃蕩を要する敵根拠地区は松塔鎮 ー 馬坑鎮 ー 油房溝 ー 慶城村 ― 潤郊鎮 ー 西草生(盧家庄当方約八粁) ― 松塔鎮を連ぬる線内とす
其の他の地区に於ては止むを得ざるものゝ外燼滅掃蕩を実施せざるものとす

3.  各部隊の集合に関し附図に示さざるものは適時別に各支隊に指示す

4.  各支隊の翌日の行動要旨は旅団命令を以て無電に依り日々電命するも電命を受け得ざる場合は別命を待たず行動予定に基き独断行動すふものとす

各支隊は行動戦果を適時夕刻迄に戦

 

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闘指令所に無電報告すると共に敵情其の他行動予定に影響を及ぼす自己並に友軍の状況は密に連絡し且翌日に関する電命を受領する如く積極的連絡に努むるものとす

無電普通の場合は飛行機の通信投下に依り命令を伝達することあるべきを予想するを以て空地連絡特に注意するを要す

5.  戦闘経過中爆撃の必要を予想する場合は事前に戰鬪指令所に要求するものとす

要求に依り又は飛行隊の独断に依り爆撃する場合各支隊は自隊の表示を適切にするを要す。

6.  旅団戦闘指令所は八月二十九日楡次に前進する予定なり

五、晋中作戦指導要領要図別紙附図第二の如し

 

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附図第二
晋中作戦指導要領要図
自昭和十五年八月二十九日
至同   年九月  七日

 

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其三、晋中第一期復行作戦指導要領

一、作戦指導方針

1.  旅団は軍の企図に基き此の際九仞の功を一箕に欠かざる如く更に執拗なる作戦を復行して飽くまで敵を撃滅し諸地区に於ける共産軍の禍根を一掃戦とするに在り

2.  各支隊を某期間一地に駐留せしめ其の担任地域内に分散蟄伏しある敵を索出して撃滅すると共に従来の敵根拠地並に将来の根拠地と目せらるゝ各部落の徹底的燼滅を敢行す

二、作戦指導要領

1.  作戦一般目標線たる松塔鎮 ー 馬坑鎮を連ぬる

 

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線(含む)以西、長凝鎮 ― 范村鎮を連ぬる線(含む)以東の地区及范村鎮南方地区内にある要点に各支隊を駐留して敵の策出剿滅地区を付与す

2.  各支隊長は其の討伐期間内に於て担任地域内の敵情に即応し計画的又は機に投ずる作戦を敢行し分散蟄居しある敵の索出剿滅並に燼滅を敢行す

3.  索出剿滅地区を設定するも各支隊は一度び敵を索出したる場合担任地域に拘泥することなく果敢に追撃し随所に之を捕捉殲滅す

三、第一期晋中復行作戦指導要領要図別紙附図第三の如し

 

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第一期晋中復行作戦指導要領要図
(自昭和十五年九月 六日
 至同   年九月十四日)

 

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備考

一、◎は第一期晋中復行作戦発起点

二、◯は各支隊駐留討伐地点

三、ー×ー× は各支隊の剿滅担任地域の境界

四、-----→ は各支隊の中流地点への進路

五、――→ は中流地点の移動進路

六、中流間は各支隊長の計画する所に基き毎日覆滅を敢行するものとす

七、進撃に方りては主要道路を中心として概ね歩兵中隊を基幹と数縦隊を以て前進するものとす

八、Xは九月九日とす

九、〇は燼滅を要する部落

一〇、ーーー→  は反転帰還進路

 

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第六節 戦闘後に於ける彼我形勢概要

一、石太線及同蒲線に対し大規模且執拗なる攻勢破壊を企図せる共産八路軍に対し徹底的撲滅と其根拠地を掃蕩燼滅し該地区に於ける行動を不可能ならしむる目的を以て実施せられたる今次晋中第一期作戦並に其の復行作戦は敵に対し敵に対し甚大なる打撃を与へ概ね所期の目的を達したるものと信ず

然れ共 敵共産八路軍の呪力は大岳山脈の嶮と無数の谷地、地隙等を利用し巧みに我と決戦を避けて分散踏[韜?]晦せるを以て未だ完全に其戦力を喪失するにいたらず将来我作戦行動の間断を窺ひ再び蠢動することあるべく不断の警戒を要す

二、馬坑鎮を中心とせる敵主要なる根拠地を焼却燼滅せるは

 

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敵の該地区に於ける駐兵を不可能ならしめ、且 隠匿せる兵器糧秣の鹵獲棄却は其補給を困難ならしめ 敵の蒙れる打撃甚大なるもの在りと思惟せらる 又同地区内広範囲に於ける電線の切断撤収は将来敵の迅速なる連絡をふのうにし 其の補修整備には相当長時日と多量の材料とを必用とし 其の損失大なるものあり

三、要するに今回の作戦に於ては相当大なる成果を収むるを得たるも、未だ敵主力を徹底的に殲滅するに至らざりしを以て 将来 尚 引続き厳密なる索敵警戒に依り機先を制して敵の撃滅に努め 以て今次作戦の成果を完からしむるを要するものと判定す

 

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https://www.jacar.archives.go.jp/das/meta/C11111305000 JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C11111305000、

https://www.jacar.archives.go.jp/das/meta/C11111305100 JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C11111305100、

https://www.jacar.archives.go.jp/das/meta/C11111305200 JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C11111305200、

https://www.jacar.archives.go.jp/das/meta/C11111305300 JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C11111305300、

https://www.jacar.archives.go.jp/das/meta/C11111308500 JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C11111308500、

歩兵第224連隊第2大隊 晋中第1期作戦戦闘詳報 昭和15年8月23日~昭和15年9月15日(防衛省防衛研究所 支那-支那事変北支-459)