十一月二十七日（木）自午後二時
至午後四時
第七十三囘連絡會議
本日ハ國策最後ノ斷ニ關シ重臣ニ對如何ニスルヤ之ヲ御前會議ニ出席セシムルヤ他ノ方法ヲ採ルヤ、宣戰ニ關スル事務手續、國論指導要領、開宣戦詔勅案ニ就キ審議ス
一、重臣ノ御前會議出席問題
東條總理ヨリ重臣ノミノ懇談ヲ行フヤ（以上詳細ハ十一月二十六日御下問奉答綴參照）或ハ他ニ適當ノ方法ナキヤニ關シ諮ル處アリ 右ニ關シテハ左ノ如ク論議セラル
「御前會議ニ重臣ヲ出席セシムルコトハ總理カ奉答セル如ク（御下問ニヨル）無責任ノモノヲ責任者ト共ニ審議セシムルコト、不可ナリ
又御前デ懇談セシムルコトモ總理奉答ノ如ク責任ヲ生シ不可ナリ 日露戰爭デハ閣議デ開戰ヲ決定シ、之ヲ元勲ニ御下問ニナツタ、而シテ伊藤、松方等ノ五元勲ハ眞ノ元勲デアツテ今ノ重臣トハ趣カ違フ、今ノ重臣ハ總理大臣ヲ經驗セル經歴カアルト言フダケデ質カラ言ヘバ必ズシモ良イワケデハナイ、元來今ノ重臣會議ハ内大臣ノ發意ニテ最近行ハレタ會合デアツテ其ノ秘密保持ノ點ニ、
就テハ過般東條内閣成立ノ時ノ重臣會議ノ内容ガ全部漏レテ居ル等ノ點カラ觀テ極メテ不良デアル又今日迄ノ實情ヲ知ラス抽象的ナ考ヘカラ政府統帥部ガ愼重審議シタ國策ニ對シ之ヲ覆ス如キコトトモナレバ大變ナコトダ、故ニ結論トシテ重臣ハ總理大臣ノ處ニ集メテ說明納得セシムレバヨイ」
卽チ十一月二十九日重臣ヲ宮中ニ集メ總理ヨリ說明スルコトトシ（臨御セラレズ）其ノ後宮中ノ御都合ニヨリテハ午餐ヲ賜ハルコトトスルヲ最モ適當トスト意見一致セリ
（右論議中外相一人ハ御前ニテ重臣ノモノ懇談ヲナスモ可ナリト述ブ）
右決定ハ從來ノ例又ハ理論ニアラス之等ヲ超越シテ叡慮ニ對シ御滿足ヲ戴ク爲ニセルモノナリ
二、宣戰ニ關スル事務順序、並ニ國論指導要綱ハ可決ス
三、開戦詔書案
更ニ研究シ意見アラバ書記間長取纏メテ修文スルコトトス
↑大本営政府連絡会議議事録 其２ 昭和１６年８月１日～１６年１２月２４日（防衛省防衛研究所 中央-戦争指導重要国策文書-1131）より
JACAR（アジア歴史資料センター）Ref.C12120255600
