Ob-La-Di Oblako 文庫

帝国日本の侵掠戦争と植民地支配、人権蹂躙を記憶し、再現を許さないために、ひたすら文書資料を書き取る。姉妹ブログ「歴史を忘れる民族に未来はない!」https://obladioblako.hateblo.jp/ のデータ·ベースを兼ねる。

戦争指導班『機密戦争日誌』其三より 1941.11.28

  機密戦争日誌         第二十班

      昭和16年11月27日

⭕一、連絡会議開催 対米交渉不成立 大勢を制し、今後開戦に至るまでの諸般の手順につき審議決定す。

1. 十二月一日、御前会議において国家の最高意志決定。事前に連絡会義および閣議を開く。

2. 十一月二十九日、重臣を宮中に招き、総理これと懇談す。

 右に関し、 御上は重臣を御前会議に出席せしめては如何の御意ずありしがごときも、総理、国務は責任ある者において決するを可とする旨、奏上す。

3. 開戦の翌日、宣戦を布告す。

 宣戦の布告は宣戦の詔書により公布す。

 右を枢密院に御諮詢あらせらる。日時は機密保持上、布告の日とすることとす。

二、果然、米武官より来電。

 米、文章をもつて回答す。全く絶望なりと。

 曰く、

1. 四原則の無條件承認

2. 支那および仏印よりの全面撤兵

3. 国民政府の否認

4. 三国同盟の空文化

 米の回答全く高圧的なり。しかも意図極めて明確。九国条約の再確認、これなり。

 対極東政策に何ら変更を加ふるの誠意、全くなし。

 交渉は勿論決裂なり。

 これにて帝国の開戦決意は踏み切り容易となれり。目出たし目出たし。これ天佑とも云ふべし。

 これにより国民の腹も固まるべし。国論も一致しやすかるべし。

 

  機密戦争日誌         第二十班

     昭和16年11月28日

一、米の回答全文接受

 内容は満洲事変前への後退を徹底的に要求しあり。その言辞、誠に至れり尽せりと云ふへし。

二、米の世界政策、対極東政策、何ら変化なし。現状維持世界観による世界制覇、これなり。

三、今や戦争の一途あるのみ。

 

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  機密戰爭日誌         第二十班

      昭和16年11月27日

⭕一、連絡會議開催 對米交渉不成立
大勢ヲ制シ 今後開戰ニ至ル迄ノ諸般ノ手順ニ就キ審議決定ス

1. 十二月一日 御前會議ニ於テ國家ノ最高意志決定 事前ニ連絡會義 及 閣議ヲ開ク

2. 十一月二十九日 重臣ヲ宮中ニ招キ 總理之ト懇談ス

右ニ關シ 御上ハ重臣ヲ御前會議ニ出席セシメテハ如何ノ御意圖アリシガ如キモ 總理 國務ハ責任アル者ニ於テ決スルヲ可トスル旨 奏上ス

 

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3. 開戰ノ翌日 宣戰ヲ布告ス

宣戰ノ布告ハ宣戰ノ詔書ニ依リ交付ス

右ヲ樞密院ニ御諮詢アラセラル 日時ハ機密保持上 布告ノ日トスルコトトス

二、果然 米武官ヨリ來電

米 文章ヲ以テ回答ス 全ク絶望ナリト

曰ク

1. 四原則ノ無條件承認

2. 支那仏印ヨリノ全面撤兵

3.國民政府ノ否認

4. 三國同盟ノ空文化

 

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米ノ回答 全ク高壓的ナリ 而モ意圖 際メテ明確 九國條約ノ再確認 是ナリ

對極東政策ニ何等変更ヲ加フルノ誠意 全クナシ

交渉ハ勿論 決裂ナリ

之ニテ帝國ノ開戰決意ハ踏切リ容易トナレリ 目出度〱 之レ天佑トモ云フベシ

之ニ依リ國民ノ腹モ固マルベシ 國論モ一致シ易カルベシ

 

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  機密戰日誌          第二十班

      昭和16年11月28日

一、米の回答全文接受

内容ハ満洲事変前ヘノ後退ヲ徹底的ニ要求シアリ 其ノ言辞 誠ニ至レリ盡セリト云フヘシ

二、米ノ世界政策 對極東政策 何等變化ナシ 現狀維持世界觀ニ依ル世界制覇 之ナリ

三、今ヤ戰爭ノ一途アルノミ

 

↑昭和16年11月 機密戦争日誌(2)

https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/C12120319400

JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C12120319400、機密戦争日誌 其3 昭和16年4月18日~16年12月7日(防衛省防衛研究所