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国民精神総動員運動 まとめ

★国民精神総動員実施要綱
 (昭和十二年八月二十四日 閣議決定

一、趣旨

挙国一致 堅忍不抜の精神を以て現下の時局に対処すると共に 今後持続すべき時艱を克服して愈々皇運を扶翼し奉る為 官民一体となりて一大国民運動を起さんとす

二、名称

「国民精神総動員」

三、運動の目標

「挙国一致」「尽忠報国」の精神を鞏うし 事態が如何に展開し如何に長期に亘るも「堅忍持久」総ゆる困難を打開して所期の目的を貫徹すべき国民の決意を固め 之が為 必要なる国民の実践の徹底を期するものとす

実践事項は右の目標に基き日本精神の発揚による挙国一致の体現 並に非常時財政経済に対する挙国的協力の実行を主として之を定め 事態の推移 並に地方の実情等を考慮して適当に按排するものとす

四、実施機関

(一)本運動は情報委員会、内務省 及 文部省を計画主務庁とし 各省 総がかりにて之が実施に当ること

(二)本運動の趣旨達成を図る為 中央に有力なる外郭団体の結成を図ること

(三)道府県に於ては地方長官を中心とし官民合同の地方実行委員会を組織すること

(四)市町村に於ては市町村長中心となり 各種団体等を綜合的に総動員し 更に部落 町内 又は職場を単位として其の実行に当ること

五、実施方法

(一)内閣 及 各省は夫々其の所管の事務 及 施設に関連して執行すること

(二)広く内閣 及 各省 関係団体に対し夫々其の事業に関連して適当なる協力を求むること

(三)道府県に於ては地方実行委員会と協力して具体的実施計画を樹立 実行すること

(四)市町村に於ては綜合的に 且 部落 又は町内事に実施計画を樹立して其の実行に努め 各家庭に至る迄 滲透する様 努むること

(五)諸会社、銀行、工場、商店等に於ては夫々実施計画を樹立し 且 実行する様 協力を求むること

(六)各種言論機関に対しては其の協力を求むること

(七)ラヂオの利用を図ること

(八)文芸、音楽、演劇、映画等 関係者の協力を求むること

国民思想善導教化及団体関係雑件 第二巻
9.昭和十二年国民精神総動員実施状況 分割5
https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/B04013005760 p.19-p.20

★国民精神総動員実施要領
 12・8・31 情報委員会

第一 準備

一、各省は指導事項に関する標語案、パンフレツト資料、週報原稿、ビラ・ポスター資料 其他 各種指導資料等を作成し、情報委員会に送附すること

二、事変の意義と国民の覚悟を闡明、各省の宣伝事項等を総括的に編輯し、国民各戸に配布すべきパンフレツトを作成す

第二 実施

一、第一期(九月十日頃より十月十二日迄)
主として事変の意義と国民の覚悟を強調 宣伝

二、強調週間(十月)
「国民強化宣伝方策」中「社会的教養向上、生活改善に関する週間」を之に当て、事変と生活を強調

三、第二期(十月二十日以後)
第一期宣伝の継続と併せて実践指導事項に付 国民の実践を求むること

四、本実施期間に於ては国民強化宣伝方策に依る甲号 及 乙号宣伝は総て本運動の趣旨に立脚して実施すること

種村氏警察参考資料第58集
https://www.digital.archives.go.jp/das/image/M0000000000001677263

★発社220号

  昭和12年10月28日

             内務次官

             文部次官

   国民精神作興週間実施方に関する件

「国家興隆の本は国民精神の剛健にあり」と宣へる聖旨を奉体し、国民精神作興に関する詔書渙発の記念日たる11月10日を以て始まる1週間を国民精神作興週間となし、国民精神総動員の趣旨に立脚して左記に依り実施することとなりたるに付ては、本趣旨の徹底方、然る可く御配慮相成りたし。

       記

一、名称

  国民精神作興週間

二、期間

  自昭和12年11月10日至同11月16日

三、実施要項

(イ)国体の本義を明かにし日本精神の体現を期すること、即ち

支那事変に関する正しき認識より出発し、古今東西諸国盛衰の因由、文化進展の跡を究め、日本の国力、世界に於ける地位、特に東亜に於ける安定勢力としての地位を明かにし、我が国の歴史的使命の達成を図る為、愈々国民精神の剛健を期するを本旨とす。

(ロ)国民精神作興を日常生活に具現せしむる為、特に「質実剛健」、「生活反省」、「勤労報国」、「勤倹貯蓄」に重点を置き、土地の状況に依り、対象たる人の如何に応じ、国民精神総動員実施の状況に即して適切なる計画を樹立、実行すること。

四、実施方法

1. 政府に於て実施せんとする事項

(イ)週報特集号の発行

(ロ)パンフレット(八紘一宇)等資料の作製

2. 国民精神総動員中央連盟に於て実施せんとする事項

(イ)主要都市に於て講演会を実施すること。

(ロ)道府県及び各種団体主催の講演会に講師を派遣すること。

(ハ)資料の作成·配布

3. 地方に於ては前期の趣旨に依り、その実情に応じ、従来斯種週間を実施せる教化団体と緊密なる連繋を保ち、適宜、最も有効なる方法を講ずること。

国民思想善導教化及団体関係雑件 第二巻 9.昭和十二年国民精神総動員実施状況 分割1 https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/B04013005600 

 

★国民精神総動員資料 第四集
 日本精神の発揚
  八紘一宇の精神
 昭和十二年十一月十日 内閣・内務省・文部省発行
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1266412

 

★八紘一宇の聖旨宣明に関する件

 

(昭和十三年二月二十六日 内閣情報部国民精神総動員部会決定)

一、来る四月三日の神武天皇祭に当りては 事変下に於ける之が意味を愈々深からしむる為 天皇の勅の中

夫れ大人の制を立つる、義 必ず時に随ふ。苟くも民に利 有らば何ぞ聖造に妨はむ。且 当に山林を披払ひ、宮室を経営りて、恭みて宝位に臨み、以て元元を鎮むべし。上は則ち乾霊の国を授けたまふ特に答へ、下は則ち皇孫の正を養ひたまひし心を弘めむ。然て後に六合を兼ねて以て都を開き、八紘を掩ひて宇と為むこと、亦 可からずや。

の聖旨を今時事変の意義と関連せしめて平易に解説し、我国是たる八紘一宇の御精神に対する国民の理解を愈々深からしむること

二、之が解説普及のため左の方法を講ずること

1. 週報、写真週報

2. ラヂオの協力を求むること

3. 学生、生徒に対する訓話

4. 各庁関係官民機関紙は之に協力すること

5. 中央、地方各庁は夫々其所管関係宣伝手段の協力を求むること

国民思想善導教化及団体関係雑件 第二巻
9.昭和十二年国民精神総動員実施状況 分割5
https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/B04013005760 p.49

★内閣情報部編集「週報」第76号 1938年(昭和13年)3月30日

八紘一宇の精神
                    [文部省]教学局

八紘一宇の精神とは神武天皇奠都の詔の中の「八紘[あめのした]を掩[おほ]ひて宇[いへ]と為[せ]む」のお言葉に基づくのであるが、この詔は神武天皇 日向より御東征の途に上り給ひしより六年の間、幾多の困難と闘ひ給ひ、皇兄 五瀬ノ命を失ひ給ふほどの御悲痛にも屈せられず、天ツ神の御子としての御信念と天業恢弘[くわいこう]の御精神とによつて、遂にその大業を成し給ひ、甲未の年即ち御即位前二年三月七日 都を大和橿原の地に奠[さだ)め]給ふに当つて下し給うた詔であつて、皇祖の神勅に基づき我が肇国の大精神を具体的に示し給うたものである。この詔には

「我東に征[ゆ]きしより茲に六年[むとせ]になりぬ。皇天[あまつかみ]の威[いきほひ]を頼[かかぶ]りて、凶徒[あだども]就戮[ころ]されぬ。辺土[ほとのくに]未だ清[しず]まらず余妖[のこりのわざはひ]尚ほ梗[こは]しと雖も、中州之地[なかつくに]復た風塵[さわぎ]なし。誠に宜しく皇都[みやこ]を恢廓[ひらきひろ]め大壮[おおらか]を規摹[ひらきつく]るべし。而[しか]るに今 運屯[ときわか)く蒙[くら]きに属[あ]ひ、民心[おほみたからのこころ] 素朴[すなほ]なり。巣に棲み穴に住む習俗(しわざ)惟(こ)れ常となれり。夫れ大人[ひじり]の制[のり]を立つる、義[ことわり]必ず時に随[したが]ふ。苟くも民[おほみたから]に利[くぼさ] あらば何ぞ聖造[ひじりのわざ]に妨[たが]はむ。且当[またまさ]に山林[やま]を披払[ひらきはら]ひ、宮室[おほみや]を経営[をさめつく] りて、恭[つつし]みて宝位「たかみくらゐ]に臨み、以て元元[おほみたから]を鎮[しづ]むべし。上[かみ]は即ち乾霊[あまつかみ]の国を授けたまふ徳[うつくしび]に答へ、下は即ち皇孫[すめみま]の正しきを養ひたまひし心を弘[ひろ]めむ。然して後に六合[くにのうち]を兼ねて以て都を開き、八紘[あめのした]を宇[いへ]と為[せ]むこと、亦可[よ]からずや。夫[か]の畝傍山の東南[たつみのすみ]橿原の地[ところ]を観れば、蓋し国の墺区[もなか]か、治[みやこつく]るべし。」

と仰せられてある。右の詔の聖旨は

神武天皇が東に幸[みゆき]遊ばされて六年になり、大和地方一帯のわるものが天ツ神の御威徳によつて大体平定したのをご覧になつて、純朴な民を導く為に都を建設しようとの御理想を示し給ひ、皇祖の神勅に基づいて天壌無窮の皇位に即き、天下の万民を正しく生成発展せしめんとの愛民の大御心を示し給うたのである。これによつて天皇は、上は皇祖天照大神がこの国土を授け給うた御神徳に報い、下は瓊瓊杵ノ尊がこの国に降つて醇朴な民を愛しみ育て給うた御精神を弘めようとし給うたのである。さうして国内尽くを都のように皇化に浴せしめ、天下を挙げて一家の様に大和[たいわ]し、相倚[よ]り相扶[たす]けて発展せしめようとの大御心と拝察せられるのである。

まことに禍を払ひ、道を布き弥々広く開けゆく我が国の輝かしい発展の道を示し給うたのである。御歴代天皇はこの御精神を御継承遊ばされたのであつて、明治天皇は明治二十六年二月十日「在廷ノ臣僚及帝国議会ノ各員ニ告ク」の詔に「皇祖国ヲ肇ムルノ初ニ当リ六合ヲ兼ネ八紘ヲ掩フノ詔アリ」と仰せられた。我々はこの御精神を拝する時、皇化にまつろはぬ一切の禍を払ひ、国内は勿論各国家・各民族をして夫々その処を得、その志を伸ばさしめ、相倚り相扶けて藹然たる一家をなして生成発展せしめ、以て万国咸寧[みなやすし]とするの御精神と解し奉ることが出来る。

この八紘一宇の御精神は天祖が万物を愛しみ育て給ふ皇威の現れであつて、或は和の御精神と拝察することが出来る。聖徳太子憲法十七条に

「和を以て貴しとなし、忤[さか]ふることなきを宗と為す」

と示し給うたのは、この御精神をお説き遊ばされたものである。この大和[たいわ]の精神が万世一系・君臣一体の国体となり、国民生活の上では家族制度となつたのである。仁徳天皇

「百姓貧しきは、即ち朕が貧しきなり。百姓富めるは、即ち朕が富めるなり。」

と仰せられ、雄略天皇

「義は乃ち君臣、情は父子を兼ぬ。」

と仰せられ、今上天皇陛下は御即位式勅語

「皇祖皇宗 国ヲ建テ民ニ臨ムヤ 国ヲ以テ家ト為シ 民ヲ視ルコト子ノ如シ 列聖相承ケテ仁恕ノ化下ニ洽ク兆民 相率ヰテ敬忠ノ浴上ニ奉シ上下 咸孚シ君民 体ヲ一ニス 是レ我カ国体ノ精華ニシテ 当ニ天地ト並ヒ存スヘキ所ナリ」

と仰せられた。

かやうな八紘一宇の精神が世界に拡充せられて、夫々の民族・国家が各々その分を守り、相提携してその特性を発揮する時、真の世界平和とその進歩発展とが実現せられるのであつて、古くは光仁天皇渤海王に書を賜うて

「率土の浜、化、同軌に輯[あつま]るあり、普天の下、恩、殊隣に隔てなし。」

と仰せられたのは、国中にゆきわたつた皇室の恩徳が海を越えて外国までゆきわたるとの御思召であり、近くは明治天皇五箇条の御誓文御宣示の時の宸翰に

「朕茲ニ百官諸侯ト広ク相誓ヒ 列祖ノ偉業ヲ継述シ 一身ノ艱難辛苦ヲ問ス 親ラ四方ヲ経営シ汝億兆ヲ安撫シ 遂ニハ万里ノ波濤ヲ拓開シ国威ヲ四方ニ宣布シ 天下ヲ富岳ノ安キニ置ン事ヲ欲ス」

と仰せられたのは、国内に洽く潤はせられた御稜威を四海に及ぼして世界を平和に保たんとの御思召と拝察せられるのである。

由来我が国の武は万物を生かす為の所謂神武である。神武天皇が日向を出て東に幸遊ばされたのは、遠隔の地に未だ皇化が及ばず、大小の村々に夫々頭目があつて相争ひ相闘つて人皆苦しんでいたのであつて、先づおだやかに皇道を説いて、帰順すべき旨をお諭しになり、それでも尚反抗した場合には已むを得ず干戈をお用ゐ遊ばされたのであつた。天皇が天業恢弘の基をひらき給ふに当り、「吾必ず鋒刃の威を仮らず、坐ながらにして天下を平げむ。」と仰せられたのはこの平和の御精神を示した給うたものと拝察せられるのである。

惟ふに今日の支那事変は支那が排日抗日を事として反省しないため、已むを得ず兵を出してこれを撃つたのであつて、支那の悪夢を醒まさせ、我が肇国の理想たる八紘一宇の精神を光被せしめて真に提携の実を挙げ、東亜永遠の平和を確立し、更にこれを世界に及ぼして和気藹々たる一家の如き世界平和を樹立せんがためである。第七十二回帝国議会の開院式の勅語

「帝国ト中華民国トノ提携協力ニ依リ東亜ノ安定ヲ確保シ 以テ共栄ノ実ヲ挙クルハ 朕カ夙夜軫念措カサル所ナリ 中華民国 深ク帝国ノ真意ヲ解セス濫ニ事ヲ構ヘ 遂ニ今次ノ事変ヲ見ルニ至ル 朕之ヲ憾トス 今ヤ朕カ軍人ハ百艱ヲ排シテ其ノ忠勇ヲ致シツツアリ 是レ一ニ中華民国ノ反省ヲ促シ 速ニ東亜ノ平和ヲ確立セムトスルニ外ナラス」

と仰せられたのも全く肇国以来の国史を一貫する八紘一宇の大精神を現し給うたものと拝察せられるのである。帝国が若しこの義憤の膺懲を加へなかつたならば、支那共産主義跳梁の巷となり、東亜の天地は共産思想と複雑なる欧米勢力の葛藤の修羅場となり、我が国の理想たる東亜並びに世界永遠の平和を望むことは永遠に出来ないであらう。

我が国はかやうに膺懲の鉾を向けたが、これは容共・排日の政策を掲げて東亜の平和を撹乱する国民政府を討つたのであつて、決して支那四億の民を敵としたのではなく、却つてその処を得、その志を伸ばさしめんが為めである。我が軍が宣撫班を設けて人心を鎮めてゐるのも、又 戦地に在る我が将兵支那の住民に食料医療を施して 戦禍に苦しんでゐる支那住民の救済に努めてゐるのも、更に治安維持会を援けて治安を回復せしめ、最近樹立された新政府と相提携して東洋平和の確立を図つてゐるのも、何れも大和[たいわ]の精神の現れであつて、これ即ち八紘一宇の大精神の権限に外ならない。

今や事変は長期持久戦に入つたのである。銃後の守りを固める国民は堅忍持久、愈々奉公の誠を致し、真に国民精神総動員の実を挙げねばならぬ。茲に事変下の神武天皇際を迎ふるに当り、神武創業の大精神を体して更に国民の覚悟を新たにし、一致団結以て皇運を扶翼し奉らねばならぬ。これ即ち八紘一宇の大精神を宣揚すべき銃後国民に課せられたる一大使命である。

https://www.digital.archives.go.jp/das/image/M2006041720075668632

★昭和十三年度に於る国民精神総動員実施の基本方針
 (昭和十三年四月二十八日 閣議決定

要旨

支那事変の推移が新段階に入りたること 及 之に伴ふ内外の情勢に対する一般国民の認識を深め 此の確実なる認識に基き国民の積極的奮起を促し その躬行すべき所を具体的に指示して之を実践せしめ 八紘一宇の大理想の下に帝国所期の目的達成に邁進せしむること

第一 時局の真相につき国民の認識を深めんとする事項

(一)支那事変が第二の段階に入れる意義を明らかにすること 

(1) 支那事変第二段階の根本的意義

(2) 国民政府、支那軍隊 及 支那国民生活の現状

(3) 事変の支那に与へたる打撃

(4) 支那の長期抵抗の現状

(5) 支那事変を繞る列国の動勢

(6) 新興支那政権の現状

(7) 北支 及 中支の政治、経済、文化 各般の現状 及 我が大陸経営の意義

(二)長期戦と之に関する我が国内 各般の情勢を明にすること

(1) 国内の思想動向 並に治安維持の現状 及 将来 特に注意を要する点

(2) 我が国 不足資源と其の充足の問題

(3) 公債消化力、租税負担力、物価と国民負担力 其の他 財政経済の展望

(4) 国際収支の概況とその対策

(5) 国家総動員の必要 及 其の実施計画概要

(6) 国民精神総動員の現状と今後の展開

第二 主力を注ぐべき実践事項

(一)時局の新段階に於て国民貯蓄の持つ重大意義を明にし 之が実行 並に国債の応募への協力を徹底すること

(二)時局の進展に伴ひ物資の需給調節、物価調整 及 対外払抑制の重大性を明にし 之に対し協力を求むると共に、消費節約の励行 並に廃品の回収 及 代用品使用奨励の徹底を期すること

(三)原始産業資源の培養開発の緊要性を明にし、之に対し協力を求め、必要農林水産物の生産の確保、馬匹の充実等を図ること

(四)戦死者遺族、出征軍人家族、傷痍軍人 及 帰郷軍人に対する対する慰藉 及 後援に留意し 益々銃後後援の強化に努むること

(五)国防の充実、産業の進展を期する為 科学振興 及 科学の実際的応用に関する国民の関心を振起すること

(六)労使協力の精神を強調し産業報国の実を挙ぐること

(七)自治体内部の紛争等の宿弊を一掃し 自治奉公の実を挙ぐること

(八)国民体力の向上、心身一体の鍛錬を図ると共に衣食住の改善合理化に努むること

(九)集団的勤労奉仕運動を強化普及すること

第三 本運動指導に関し注意すべき事項

(一)指導者網の整備、指導者養成施設の強化 並に地方有識者の教化的奉仕の促進に努むること

(二)指導的地位に在るものの実践躬行を求むることに重点を置き、特に官公吏の実践運動を強化すること

(三)都市に於ける本運動に一層の努力を払ひ 都市民の自発的積極的活動を促すに努むること 之が為 実践網組織の確立を期し 特に諸会社、工場等の職場を単位とせる本運動の実施を勧奨すること

(四)本運動の実施については努めて実践事項を具体化し 其の趣旨の普及に当たりては具体的事項に付 集中的に之を行ふこと

(五)本運動実施に当りては施設を之に伴はしむると共に、運動の効果の査覈を怠らざること

(六)本運動実施中は 国民教化運動方策に依る宣伝は本運動に即応して実施し 必要により国民教化運動に関する宣伝実施基本計画(昭和十二年六月二十四日 次官会議決定)別紙所定の宣伝計画は適当に之を変更すること

国民思想善導教化及団体関係雑件 第二巻
9.昭和十二年国民精神総動員実施状況 分割5
https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/B04013005760 p.25

★閣情調第19号   十二月二十六日 庶受13第146号
    昭和十三年十二月二十三日
                  内閣情報部長 横溝光暉
     枢密院書記官 村上恭一殿

      日本精神発揚週間実施要綱に関する件

標記の件本日当部国民精神総動員部会に於て別紙の通 決定相成候条之が実施方に付 可然 御配意 相煩度 此段 及御通知候

日本精神発揚週間実施要綱

     昭・13・12・23
     内閣情報部国民精神総動員部会決定

一、趣旨

 事変勃発第三年の紀元節を迎ふるに当り 日本精神発揚週間を設定し神武天皇の御創業を偲び奉り 八紘一宇の精神の闡明を中心として 我が尊厳なる国体、宏遠なる肇国の理想、日本文化の発揚に努め 以て東亜新秩序の建設に邁進すべき国民の覚悟を固からしめんとす

二、期間

 自 昭和十四年二月五日
 至  同  年二月十一日 一週間

三、実施方法

(一)紀元節奉祝に関すること

(イ)当日午前九時を期し「国民奉祝の時間」を設定し 各家庭 其の他の場所に於て夫々宮城遥拝ろ行ふこと、この為 ラヂオは同時に「国民奉祝の時間」の放送を行ふこと

(ロ)官庁、学校等に於て奉拝式 又は祝賀式を行ふに当りては 特に本文趣旨の徹底を図ること

(ハ)市区町村に在りては成るべく市区町村民のため神社、学校、公会堂等 適当なる場所に於て祝賀の方法を講じ 本文趣旨の徹底を図ること各種団体、会社、銀行、工場等に於ても右に準じ 成るべく式を挙行すること

(二)八紘一宇の精神の闡明、日本文化の発揚、東亜新秩序の建設等に関する講演会、座談会を開催すること

(三)国体の闡明、国史の顕揚、東亜の新事態に対する認識強化等に資するため展覧会、映画会等を開催すること

(四)家庭に於ける敬神崇祖の行事を実践すること

(五)剛健なる精神を涵養するため集団的勤労奉仕作業、団体行進、武道大会等を実施すること

枢密院文書・宮内省往復・稟議・雑書・昭和十三年
https://www.digital.archives.go.jp/das/image/M0000000000000784181

★国民精神総動員強化方策
 (昭和十四年二月九日 閣議決定

(一)趣旨

時局の現段階に鑑み 国民精神総動員運動をして真に新東亜建設に対処すべき綜合国力の充実発揮、国家総動員態勢の強化に資せしむる為め 此の間 民間機構たる中央連盟の改組拡充を行ひ 其の機能の十分なる発揮を期待すると共に 政府との連繋を密にし官民一体の挙国実践運動たるの実を挙げしむる為め 内閣に新たに官民合同の国民精神総動員委員会を置き 之が企画 並びに指導の綜合、一元化を期せむとす

(二)中央連盟に関する事項

一、連盟は企画 及 実施に当り尚ほ加盟団体を通じ其の機能の十分なる発揮を期すると共に 之が実践を促進すること

一、理事長を置くと共に常任理事若干名を置き少数理事制の実を挙ぐること

一、幹事若干名を置くと共に常任幹事数名を置き常任理事を補佐せしむること

一、評議員の活動を十分ならしむること

一、連盟事務局の内部を組織化し職員の充実を図ること

(三)中央連盟と政府との連絡機構に関する事項

一、新たに内閣総理大臣管理の下に「国民精神総動員委員会」を置き、政府 及び中央連盟 協力の下に国民精神総動員に関する企画に関する企画に当らしむこと

一、国民精神総動員委員会は委員長、委員、幹事を以つて之を組織すること
委員長は内閣総理大臣の奏請により国務大臣の中より勅命すること
委員は内閣総理大臣の奏請により関係各庁勅任官、国民精神総動員中央連盟首脳者、貴衆両院議員 其の他 学識経験ある者の中より内閣に於いて之を命ずること
幹事は内閣総理大臣の奏請により関係各庁高等官、国民精神総動員中央連盟幹事、民間団体の当務者 其の他 学識経験ある者の中より内閣に於いて之を命ずること

一、国民精神総動員委員会決定中 重要なるものは閣議の決定を得て実施に移すこと

一、国民精神総動員委員会の庶務は内閣情報部をして掌らしむること

(四)地方の機構に関する事項

一、道府県の国民精神総動員地方実行委員会の機能を十分発揮せしむると共に 其の庶務を掌理し 且つ国民精神総動員の実施に関する事務を処理する為め 必要に応じ国民精神総動員事務局(仮称)を置くこと
前項の事務局の主任者は道府県書記官より知事 之を命ずること

週報 第131号
昭和14年4月19日(1939/04/19)
https://www.digital.archives.go.jp/das/image/M2006041821050168716 p.14

★国民精神総動員新展開の基本方針
 昭和14.4.7  国民精神総動員委員会決定
 昭和14.4.11 閣議決定

一、趣旨

支那事変は今や東亜の新秩序建設に展開しつゝある。而かも国際間の情勢は世界を挙げて前途 寔に容易ならざるものがある。国民の一大覚悟を要すること 実に此の秋に於けるが如きはない。

曩に事変の勃発するや、国民 夙に尽忠報国の誠を効し、克く挙国一致の戦時態勢を確立し来つたが、更に今後の重大なる新局面に即応するには国民精神総動員運動を一層強化し、物心一如の実践運動に推し進めねばならぬ。

今や我が国の急務は、肇国の大理想に鑑み興亜の聖業を達成し、世界的国際難局の前途を打開する為め、全国民の伝統的精神力を結束して国家総力の飛躍的増強を図るの一事にある。茲に全国民は一大覚醒の下にその決意を新たにし、打つて一丸となり所期の目的貫徹に驀進すべきである。

二、綱領

(一)肇国の大理想を顕揚し東亜新秩序の建設を期す。

(二)大いに国民精神を昂揚し国家総力の充実発揮を期す。

(三)一億一心 各々その任務に精励し奉公の誠を効さむことを期す。

三、実施要領

(一)時局の真相を明らかにしてその世界的重大性の認識を深め、皇国臣民として精神的団結を一層強固にし、新東亜建設の担当者たるべき横溢せる精神力と卓絶せる国民道徳との振起涵養を図ること。

(二)生産力拡充 並びに物資動員、物価調整等の経済国策への積極的協力に努め、特に物資の活用、消費の節約、貯蓄の実行、勤労の増進、体力の向上に主力を注ぎ 業務 並びに生活の間に於いて刷新を図ること。

(三)事変の進展に伴ひ、益々銃後後援の実を挙ぐること。

四、実施上 特に留意すべき事項

イ、真に官民一体の実を挙げ 明朗闊達なる国民運動たらしむべきである。

ロ、政府諸機関は自ら率先して一致協力の実を挙げ、本運動の趣旨を絶えず積極的に庶政の上に具現すべきである。

ハ、各種団体は相共に国民精神総動員中央連盟を中軸として緊密なる連絡の下に充分なる機能を発揮すべきである。特に経済団体に在りては、団体員をしてその業務遂行に当り 本運動の効果を一層適切ならしむるやう工夫 実施すべきである。

ニ、官民共に指導的地位にある者は率先 実行せねばならぬ。

ホ、次代の中堅たるべき青年 並びに家庭生活に於いて重要なる役割を担ふ婦人の一段の奮起協力が必要である。

ヘ、日常生活に於ける実践と修練とを第一義とし、週間運動等はなるべく統制し 徒らに形式に堕することを排すべきである。

ト、従来の経験に鑑み 都市については格別の考慮を払ひ、特に殷賑産業関係しゃの自粛自戒を徹底すべきてるある。

チ、本運動の展開に当つては、努めて地方の実情、運動の対象に即し 主力を注ぐべき点を定めて集中的に之を行ひ、各方面に於いて来たるべき紀元二千六百年を機とし、今後一年間に実現すべき具体目標を掲げて之に全力を注ぐべきである。

週報 第131号
昭和14年4月19日(1939/04/19)
https://www.digital.archives.go.jp/das/image/M2006041821050168716 p.14-p.16

    ★新体制建設國民運動綱領

一、我等は、八紘一宇の皇謨を仰ぎ、世界史の動向に先んじ、東亞新秩序の建設に邁進し、東亞諸民族の自主協同体制を樹て、共存共榮の圏域を設け、以て世界新秩序の確立に寄與せん。

一、我等は、世界の情勢に對應し、庶政を一新强化し、計畫を高大緻密にし、國家國民の全能力を最高度に發揮し、不拔の國防体制を確立し、以て無窮の皇運を扶翼せん。

一、我等は、萬民輔翼の本義に基き、私利を拝し、進んで公益に殉じ、萬民各々その職務に勵務奉公し、上意下達、下意上達の組織を確立し、以て億兆一心協同歸一の實を全うせん。

新体制準備委員会及び大政翼賛会に関する件/新体制建設国民運動綱領
https://www.digital.archives.go.jp/das/image/M0000000000000323675

    ★大政翼贊會實踐要綱

 今や世界の歷史的轉換期に直面し、八紘一宇の顯現を國是とする皇國は、一億一心 全能力を擧げて  天皇に歸一し奉り、物心一如の國家體制を確立し、以て光輝ある世界の道義的指導者たらんとす。茲に本會は、互助相誡、皇國臣民たるの自覺に徹し、率先して國民の推進力と
なり、つねに政府と表裏一體 協力の關係に立ち、上意下達・下情上通を圖り、以て高度國防國家體制の實現に努む。左にその實踐要綱を提唱す。
一、臣道の實踐に挺身す。即ち、無上絶對普遍的眞理の顯現たる國體を信仰し、歷代詔勅を奉體し、職分奉公の誠をいたし、ひたすら惟神の大道を顯揚す。
二、大東亞共榮圏の建設に協力す。即ち、大東亞の共榮體制を完備し、その興隆を圖るとともに、進んで世界新秩序の確立に努む。
三、翼贊政治體制の建設に協力す。即ち、經濟・文化・生活を翼贊精神に歸一し、强力なる綜合的翼贊政治體制の確立に努む。

四、翼贊經濟體制の建設に協力す。即ち、創意と能力と科學を最高度に發揮し、翼贊政治に基く綜合的計畫經濟を確立し、以て生產の飛躍的增强を圖り、大東亜に於ける自給自足經濟の完成に努む。
五、文化新體制の建設に協力す。即ち、國體精神に基き雄渾・高雅・明朗にして科學性ある新日本文化を育成し、内は民族精神を振起し、外は大東亞文化の昂揚に努む。
六、生活新體制の建設に協力す。即ち、翼贊理念に基き、新時代を推進する理想と氣魄を養ひ、忠孝一本、國民 悉く一家族の成員として、國家理想に結集すべき科學性ある生活體制の樹立に努む。

大政翼賛会実践要綱解説
昭和15年12月 大政翼賛会
https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/C14020059500