勅令第314号
朕、化学兵器手当の件を裁可し、ここにこれを公布せしむ。
大正14年11月14日
内閣総理大臣 子爵 加藤高明
陸軍大臣 宇垣一成
海軍大臣 財 部 彪
勅令第314号
化学兵器に関する研究のため、その試験、製造、検査および取扱に従事し、直接その危害を受くるおそれある虞陸海軍人·軍属(軍属にあらざる職工を含む)には、別表の化学兵器手当を給す。
本令を適用すべき化学兵器の範囲および化学兵器手当の給予細則は、主務大臣これを定む。
別表
階級
陸軍:将校、同相当官、高等文官、同待遇者
海軍:士官、特務士官、高等文官、同待遇者
月額:60円以内
陸軍:准士官、見習士官、見習医官、見習薬剤官、見習獣医官、判任文官一等
海軍:候補生、准士官、判任文官一等
月額:40円以内
陸軍:下士、判任文官二等以下、判任文官待遇者
海軍:下士官、判任文官二等以下、判任文官待遇者
月額:30円以内
陸軍:兵卒
海軍:兵
月額:20円以内
備考:
1.主務大臣は常時の勤務にあらざる者に対し、月額の20分の1を超えざる範囲内において、日額により化学兵器手当を給することを得。ただし1月内における支給額の合計は月額を超ゆることを得ず。
2.特に危険と認むる作業に従事する者には、別に月額の20分ノ1以内の日額を増給することを得。ただし1月内におけるその支給額の合計は、月額の5割を超ゆることを得ず。
3.陸海軍における本表に掲げざる者に対する化学兵器手当の支給額は、本表に準じて主務大臣これを定む。
附則
本令は大正14年5月1日以後の給与につき、これを適用す。
勅令第三百十四號
朕 化學兵器手當ノ件ヲ裁可シ 茲ニ之ヲ公布セシム
大正十四年十一月十四日
内閣總理大臣 子爵 加藤髙明
陸軍大臣 宇垣一成
海軍大臣 財 部 彪
勅令第三百十四號
化學兵器二関スル研究ノ為 其ノ試驗、製造、檢査 及 取扱ニ從事シ 直接 其ノ危害ヲ受クル虞アル陸海軍人軍屬(軍屬ニ非サル職工ヲ含ム)ニハ 別表ノ化學兵器手當ヲ給ス
本令ヲ適用スヘキ化學兵器ノ範囲 及 化學兵器手當ノ給與細則ハ 主務大臣 之ヲ定ム
別表
階級
陸軍:將校、同相當官、高等文官、同待遇者
海軍:士官、特務士官、高等文官、同待遇者
月額:六十圓以内
陸軍:准士官、見習士官、見習醫官、見習藥劑官、見習獸醫官、判任文官一等
海軍:候補生、准士官、判任文官一等
月額:四十圓以内
陸軍:下士、判任文官二等以下、判任文官待遇者
海軍:下士官、判任文官二等以下、判任文官待遇者
月額:三十圓以内
陸軍:兵卒
海軍:兵
月額:二十圓以内
備考:
一 主務大臣ハ常時ノ勤務ニ非サル者ニ對シ 月額ノ二十分ノ一ヲ超エサル範囲内ニ於テ 日額ニ依リ化學兵器手當ヲ給スルコトヲ得 但シ一月内ニ於ケル支給額ノ合計ハ月額ヲ超ユルコトヲ得ス
二 特ニ危險ト認ムル作業ニ從事スル者ニハ 別ニ月額ノ二十分ノ一以内ノ日額ヲ増給スルコトヲ得 但シ一月内ニ於ケル其ノ支給額ノ合計ハ 月額ノ五割ヲ超ユルコトヲ得ス
三 陸海軍ニ於ケル本表ニ揭ケサル者ニ對スル化學兵器手當ノ支給額ハ 本表ニ準シテ主務大臣 之ヲ定ム
附則
本令ハ大正十四年五月一日以後ノ給與ニ付 之ヲ適用ス
↑化学兵器手当給与ノ件・御署名原本・大正十四年・勅令第三一四号
https://www.digital.archives.go.jp/das/image/F0000000000000029791