- 昭和十五年六月一日
機密戦争日誌
一、在支邦人の取締を軍司令官をして実施せしむる方法に関し (軍司令官の佈告、新に発令せらるべき領事館令、取締軍律令) 午後一時半より陸軍省大槻中佐より次長に対する報告あり、櫛田中佐立ち会ひす。
なほ本件に関し従来疑義ありしも、軍司令官に於て実行差支なき旨、関係各省、興亜院、法制局間に了解成立せるものにして、ここに至るまでにおける北支軍大沼教擭 (国際法嘱託) の努力、大いに認むへきものあり。
二、本年度物動物資一億円操上輸入に関し、午前九時より戦備課において説明あり、本年度本物動は必ず六月半に成立せしむるごとく諸般の事務を処理するごとく内協議す。
三、午後一時より資源課長より第一班室において殿下に対し奉り大牟田人造石油の成功ならびに阜新の石油田状況に関し説明あり。
四、午前、陸軍省軍務課において汪政権と締結すべき条約に関する省部主任者の打合せを続行す。
五、午後三時より陸軍省軍務課において、欧州情勢の変化に伴ふ対英申入れに関する、省部主任者の打合せあり。
呂集団の一部は本一日〇時二十分、漢水の渡河に成功す。
本日より第一班業務日誌を記載することに定め、主として種村これを担任す。
昭和十五年六月二日
機密戦争日誌
一、欧洲戦争の推移に基づき仏印に関する対仏施策に関し部内会議あり (第二部主催)。
二、日支新国交調整に基づく新条約の省部内の協議あり。
昭和十五年六月三日
機密戦争日誌
一、前日に引き続き新条約の省部協議あり。
二、近衛師団の派遣に伴ひ国内宣伝を行ふの可否に関し、省部主任者の協議あり。作戦的には支障なきも、その実施に関しては更に研究することとせり。
昭和十五年六月四日
機密戦争日誌
一、午前午後にわたり陸軍省において新条約の審議を行ふ。
二、午後課長室において兵科撤廃に関する陸軍省軍事課案につき審議す。左記論点となる。
(イ) 兵種の種類区分
(ロ) 兵監部の廃止
昭和十五年六月五日
機密戦争日誌
一、午前陸軍省において前日に引続き新条約の協議あり。
二、午後三時より陸軍省軍務課において、国土計画に関する各課意見の検討を行ふ。
三、午前十時より応接室にて、三井の職員より米国の屑鉄･石油禁輸に関する見透し、ならびにこれが対策の方策あり。
昭和十五年六月六日
機密戦争日誌
一、午前、前日に引続き新条約の協議あり。
二、午後、軍事課において、支那派遣軍古谷参謀の現地自活に関する講話を聴取す。
三、企劃院総裁、夕刻、陸軍大臣官房を訪れ物動 80 % 妥協案を提示せるも、拒絶せり。
昭和十五年六月七日
機密戦争日誌
一、特記事項なし。
二、独軍白蘭侵入の活動写真あり。
三、午後三時より、戦備課長より次長に対し、米国禁輸に伴ふ屑鉄、石油、工作機械対策につき報告あり。
昭和十五年六月八日
機密戦争日誌
兵力整備打合せのため南京に出張中の荒尾中佐の帰還報告を第一部長室において聴取す。
北支二万、中支四万四千、南支一万四千の整理につき現地、中央の意見一致せり。
なほ南支軍一部の龍州派遣に関し、速やかに幕僚を派遣し、中央の意図を明示することに定めらる。
軍務課石井中佐、条約問題に関し現地と打合せのため南京に出張す。
昭和十五年六月九日
機密戦争日誌
特記事項なし。
聖駕、関西に行はせ給ふ。
聖慮、時艱克服を祈願し賜ふ。恭き極なり。
昭和十五年六月十日
機密戦争日誌
一、聖上神宮御礼拝の時刻午前十一時十二分。
午後一時五十四分、本部前に集合、総長以下粛然、神宮を遥拝、時艱克服を祈願す。
二、対支宣戦布告案に関し作戦班荒尾中佐より提議あり。
三、新條約に関する大本営としての上奏文を起案し、海軍側と協議す。
○ 十時より土居大佐の蘇連邦事情の講話あり。
○ 高月中佐、瀬龍州問題に関し南支軍と連絡のため出張す。
○ 午後二時より食堂において水力電気の活動写真あり。
昭和十五年六月十一日
機密作戦日誌
一、物動 80 % 案に決定の模様あり。
陸軍省内軍事課と整備局との全面的衝突の気配を見る。
一、午後二時より第六課長室において対仏印行動、対支宣戦布告案に関し主任者の協議あり。
一、十日午後一時 (日本時間十一日午前二時) 伊、参戦す。
一、大谷光瑞師の南洋講話一席あり。
昭和十五年六月十二日
機密戦争日誌
一、正午、水交において、大蔵省為替局総務課長野田氏と左記の者、懇談せり。
参謀本部 荒尾中佐、種村、鹿子島
軍令部 神中佐、白浜少佐
相互胸襟を開きて国政を談じたり。爾後、回を重ぬることとせり。
昭和十五年六月十三日
機密戦争日誌
一、物動、御前閣議において決定す。
82.5 ％
陸軍大臣より同時に国民生活必需品の最低限度、生産力拡充 (約五〇〇万屯)、物動の監督、英米の依存脱却策の確定に関し申し出で、要求す。
一、殿下、富士演習に御出張の御予定のところ、御風邪気味にて御取り止め遊ばさる。
昭和十五年六月十三日
機密作戦日誌
一､「現下帝国経済国力判断」に関し一案を草し、班内の研究を行ふ。
一、十三日午後七時、独軍パリーに無血入城す。
昭和十五年六月十五日
機密作戦日誌
一、帝国現下の経済国力の判断に関し、午前課内、午後次長室において、部課長以上に対し櫛田中佐より説明す。
昭和十五年六月十六日
機密戦争日誌
一、時局に応ずるため、繰上げ (特別) 輸入ならびに在庫調査に関し、その必要性を整備局および軍務課方面に説く。
一、前項に関し大蔵省為替局野田課長と面接の予定を都合に依り中止す。
一、中支宣昌作戦後、一部を依然残置して政略の活動を俟つべきや、即時撤退すべきやに関し、省部間の協定容易ならざりしも、遂に一ヶ月を限度として残置することに決定せり。
昭和十五年六月十七日
機密作戦日誌
一、昨夜来の慈雨、終日天下を救ふ。
陸軍大学校卒業式後
聖上大本営行幸遊ばさる。
秩父宮殿下、夜、神宮御参拝のため
御西下遊ばさる。
昭和十五年六月十八日
機密戦争日誌
一、午後、部長会報を行ひ、更に交戦権発動、対仏印問題に関し決意を促すこととせる結果、対仏印武力行使は武士の情にあらずとして、上海および香港に対する強硬なる決意を決定せらる。
事変段階のため喜ぶべし。
一、仏印武力行使に関し陸 [×海間に同意×] <軍省> 不同意にして、省部主任者間に押問答ありしも不愉快なり。
一、その後三時より決定物動に関し整備局長より次長に報告す。
一、石井大尉の後任を如何にすべきに関し、東橋中佐と懇談。結局、第一案の如く沼沢大尉を撰定す。
昭和十五年六月十九日
機密戦争日誌
特記事項なし
一、午前九時より第四課長室において総軍公平大佐より、宣昌駐兵 (一時) に伴ふ兵力問題その他に関し報告を受く。
一、戦備課長と南方問題に関する想定に関し協議す。
一、午後一時半より資源課において、本年度石炭需給関係の代用燃料に関する商工省燃料局職員の説明を聴取す。
一、午前十一時五十分、橿原神宮祈願式に於ける秩父宮殿下の御旨を拝し、恭しき極みなり。
昭和十五年六月二十日
機密戦争日誌
一、午後三時より軍務課において、南方問題に関し、資源を中心として省部主任者の会合あり。
陸軍省軍務課･軍事課なかなか動かず。
物動を担任する戦備課の熱意大なり。
一、戦備課長より今後の南方問題の進展を予想する各省主任者の研究会に関し
打合せを受く。全然同意なり。
陛下、本夕、近畿御旅行を終らせられ、
御帰京遊ばさる。
昭和十五年六月二十一日
機密戦争日誌
一、午前九時より第四課長室において、南方問題に関し省部課長及主任者の会議あり。
一、午後四時より七時まで今後における戦争指導ならび作戦指導に関する課内案 (荒尾中佐起案) 研究を行ふ。
一、昨夜の雷雨のため落雷、大蔵省、企画院、その他宮城前の官庁総なめとなる。防空急務。おそるべし。
迫水氏の二十二日の講話は 6/7 に延期す。
一、交戦権発動に関する参考資料を関係方面に配布。
一、午後三時半より第二応接室にて商工省貿易局長菱沼氏より最近の貿易状況に関し聴取予定のところ、都合により二十九日に延期す。
昭和十五年六月二十三日
機密戦争日誌
［白紙］
昭和十五年六月二十四日
機密戦争日誌
一、欧洲情勢に伴ふ時局処理要項
(省部関係課長 及 部課員会合)
昭和十五年六月二十五日
機密戦争日誌
一、仏印派遣監視委員長 西原少将以下発令 編成なる
一、戦争指導の時局処理方策 一案成る (関係課)
昭和十五年六月二十六日
機密戦争日誌
［白紙］
昭和十五年六月二十七日
機密戦争日誌
［白紙］
昭和十五年六月二十八日
機密戦争日誌
［白紙］
昭和十五年六月二十九日
機密戦争日誌
［白紙］
昭和十五年六月三十日
機密戦争日誌
［白紙］
昭和五年七月一日
機密戦争日誌
軍需動員会議に種村少佐列席す
次長帰任と同時に部長会議を開き
時局に応ずる帝国戦争指導方案を凝議せるも成らず
次長帰任す (雨のため長々上海滞在)
昭和十五年七月二日
機密戦争日誌
軍需動員会議に種村出席す
昨日に引続き参謀本部内各部長会議あり 欧洲情勢の推移に応ずる帝国の施策対抗を原案通り可決す
総軍 井本参謀報告を第一部長室に於て聴取す
昭和十五年七月三日
機密戦争日誌
軍需動員会議へ午前中 種村 参列す
午後一時より参謀本部に於て省部首脳部会議 「情勢の推移に応ずる施策大綱」を決定す
昭和十五年七月四日
機密戦争日誌
二､午前十時 軍令部に至り「情勢の推移に応ずる対処要綱」を海軍側に説明す
第二､第八課長 永井､櫛田､高月中佐 種村少佐
昭和十五年七月五日
機密戦争日誌
一､対南方作戦を顧慮し交通動員 並 石油開発の為 人 及 資材の動員に関し陸軍省関係課に要求す
ニ､夕刻省内に外務大臣の辞任の辞あり
昭和十五年七月六日
機密戦争日誌
ニ､午後四時より対仏印 対英領マレー政治工作に関する省部主任者の会同を行う
三､[中国派遣]総軍辻少佐 及 斎藤良立氏より東亜連盟に関する説明を次長室にて聴取す
一､白蘭[ルクセンブルク]侵入の活動[×齊正に行はる×]<あり｡>[×兵×]参謀本部は独にみせらるるは不可｡自ら持すること大にして自主的日､独､伊､[×蘭×]の握手あるのみ
昭和十五年七月七日
機密戦争日誌
一､仏印との軍事同盟に対する回答を海軍と協議し通電す
一､午前九時五十分より前庭に於て事変三周年記念式 勅語拝読式 並 遥拝式を行う
昭和十五年七月八日
機密戦争日誌
一､対南方諸邦施策の省部決定
二､イギリスが香港に関する帝国の申入に対し遷延策に出でたる場合の対策 及 墺門対策 上海の仏蘭西租界に対する対策､総軍の意見による東亜連盟結成に関する中央部の解答案に関し 省部関係者協議す
一､午後一時より笠信太郎により経済機構に関する事項を第一応接室に於て聴取す
一､辻少佐より午後一時より東亜連盟に関する総軍の説明を聴取す
昭和十五年六月一日
機密戰爭日誌
一､在支邦人ノ取締ヲ軍司令官ヲシテ實施セシムル｜方法ニ關シ (軍司令官ノ佈告新ニ發令セラルヘキ領事館｜令取締軍律令)
午後一時半ヨリ陸軍省大槻中佐ヨリ次長ニ對スル報告アリ｜櫛田中佐立會ス
尚本件ニ關シ從來疑義アリシモ軍司令官ニ於テ實行｜差支ナキ旨關係各省､興亞院､法制局間ニ了解成立｜セルモノニシテ茲ニ至ル迠ニ於ケル北支軍大沼教擭 (國際｜法嘱託) ノ努力大イニ認ムヘキモノアリ
二､本年度物動物資一億円操上輸入ニ關シ午前九時ヨリ戰｜備課ニ於テ說明アリ本年度本物動ハ必ス六月半ニ成｜立セシムル如ク諸般ノ事務ヲ處理スル如ク内協議ス
三､午後一時ヨリ資源課長ヨリ第一班室ニ於テ殿下ニ對シ奉｜リ大牟田人造石油ノ成功竝阜新ノ石油田狀況ニ関シ說明アリ
四､午前陸軍省軍務課ニ於テ汪政權ト締結スヘキ條｜約ニ關スル省部主任者ノ打合ヲ續行ス
五､午後三時ヨリ陸軍省軍務課ニ於テ 歐州情勢ノ變化ニ｜伴フ對英申入ニ關スル省部主任者ノ打合アリ
呂集團ノ一部ハ本一日〇時二十分 漢水ノ渡河ニ成功セリ
本日ヨリ第一班業務日誌ヲ記載スルコトニ定メ 主トシテ｜種村之ヲ担任ス
昭和十五年六月二日
機密戰爭日誌
一､歐洲戰爭ノ推移ニ基キ佛印ニ關スル對佛施策
ニ關シ部内會議アリ (第二部主催)
二､日支新國交調整ニ基ク新條約ノ省部内ノ
協議アリ
昭和十五年六月三日
機密戰爭日誌
一､前日ニ引續キ新條約ノ省部協議アリ
二､近衞師團ノ派遣ニ伴ヒ國内宣傳ヲ行フノ可否ニ
關シ省部主任者ノ協議アリ 作戰的ニハ支
障ナキモ其ノ實施ニ關シテハ更ニ研究スル
コトトセリ
昭和十五年六月四日
機密戰爭日誌
一､午前午後ニ亘リ陸軍省ニ於テ新條約ノ審議
ヲ行フ
二､午後課長室ニ於テ兵科撤廢ニ關スル陸軍省
軍事課案ニ付審議ス 左記論點トナル
(ｲ) 兵種ノ種類區分
(ﾛ) 兵監部ノ廢止
昭和十五年六月五日
機密戰爭日誌
一､午前陸軍省ニ於テ前日ニ引續キ新條約ノ協議
アリ
二､午後三時ヨリ陸軍省軍務課ニ於テ國土計畫ニ
關スル各課意見ノ檢討ヲ行フ
三､午前十時ヨリ応接室ニテ三井ノ職員ヨリ
米國ノ屑鐵､石油禁輸ニ關スル見透シ竝ニ之カ
對策ノ方策アリ
昭和十五年六月六日
機密戰爭日誌
一､午前 前日ニ引續キ新條約ノ協議アリ
二､午後 軍事課ニ於テ支那派遣軍古谷参謀ノ
現地自活ニ關スル講話ヲ聽取ス
三､企劃院總裁 夕刻 陸軍大臣官房ヲ訪レ
物動 80 % 妥協案ヲ提示セルモ拒絶セリ
昭和十五年六月七日
機密戰爭日誌
一､特記事項ナシ
二､獨軍白蘭侵入ノ活動寫眞アリ
三､午後三時ヨリ戰備課長ヨリ次長ニ對シ米國
禁輸ニ伴フ屑鐵､石油､工作機械對策ニ付
報吿アリ
昭和十五年六月八日
機密戰爭日誌
兵力整備打合セノ爲南京ニ出張中ノ荒尾中佐ノ
歸還報吿ヲ第一部長室ニ於テ聽取ス
北支二萬中支四萬四千南支一萬四千ノ整理ニ付
現地中央ノ意見一致セリ
尙南支軍一部ノ龍州派遣ニ關シ速ニ幕僚ヲ
派遣シ中央ノ意圖ヲ明示スルコトニ定メラル
軍務課 石井中佐 條約問題ニ關シ現地ト
打合セノ爲南京ニ出張ス
昭和十五年六月九日
機密戰爭日誌
特記事項ナシ
聖駕 關西ニ行ハセ給フ
聖慮 時艱克服ヲ祈願シ [×給フ×] <賜フ> 恭キ極ナリ
昭和十五年六月十日
機密戰爭日誌
一､聖上神宮御禮拝ノ時刻午前十一時十二分
午後一時五十四分 本部前ニ集合 總長以下
肅然神宮ヲ遥拝 時艱克服ヲ祈願ス
二､對支宣戰布告案ニ關シ作戰班荒尾中佐
ヨリ提議アリ
三､新條約ニ關スル大本營トシテノ上奏文ヲ起案
シ海軍側ト協議ス
○ 十時ヨリ土居大佐ノ蘇聨邦軍情ノ講話
アリ
○ 髙月中佐瀨龍州問題ニ關シ南支軍ト
連絡ノ爲出張ス。
○ 午後二時ヨリ食堂ニ於テ水力電気ノ活動
写眞アリ
昭和十五年六月十一日
機密作戰日誌
一､物動 80 ％案ニ決定ノ模様アリ
陸軍省内軍事課ト整備局トノ全面的
衝突ノ氣配ヲ見ル
一､午後二時ヨリ第六課長室ニ於テ對佛印行動
對支宣戰布吿案ニ関シ主任者ノ協議アリ
一､十日午後一時 (日本時間十一日午前二時)
伊參戰ス
一､大谷光瑞師ノ南洋講話一席アリ
昭和十五年六月十二日
機密戰爭日誌
一､正午水交社ニ於テ大藏省爲替局總務課長
野田氏ト左記ノ者懇談セリ
參謀本部 荒尾中佐､種村､鹿子島
軍令部 神中佐､白濱少佐
相互胸襟ヲ開キテ國政ヲ談シタリ 爾後回ヲ
重ヌルコトトセリ
二､午後參謀本部班長會議ヲ行フ
呂集團宣昌ヲ占領ス
昭和十五年六月十三日
機密戰爭日誌
一､物動御前閣議ニ於テ決定ス
82.5 ％
陸軍大臣ヨリ同時ニ國民生活必需品ノ最低限度
生產力擴充 (約五〇〇萬屯) 物動ノ監督 英米
ノ依存脫却策ノ確定ニ關シ申出要求ス
一､殿下富士演習ニ御出張ノ御豫定ノトコロ
御風邪氣味ニテ御取止メ遊サル
昭和十五年六月十三日
機密作戰日誌
一､｢現下帝國経濟國力判断｣ ニ関シ一案ヲ草シ
班内ノ研究ヲ行フ
一､十三日午後七時 獨軍パリーニ無血入城ス
昭和十五年六月十五日
機密戰爭日誌
一､帝国現下ノ経濟国力ノ判断ニ関シ午前
課内
午後次長室ニ於テ部課長以上ニ對シ櫛田
中佐ヨリ説明ス
昭和十五年十月十六日
機密戰爭日誌
一､時局ニ應スルタメ繰上 (特別) 輸入竝在庫
調査ニ關シ其必要性ヲ整備局及軍務課
方面ニ説ク
一､前項ニ関シ大藏省爲替局野田課長ト面接
ノ豫定ヲ都合ニ依リ中止ス
一､中支宣昌作戰後一部ヲ依然殘置シテ政畧
ノ活動ヲ俟ツヘキヤ卽時撤退スヘキヤニ関シ
省部間ノ協定容易ナラサリシモ遂ニ一ヶ月ヲ
限度トシテ残置スルコトニ決定セリ
昭和十五年六月十七日
機密戰爭日誌
一､對佛印問題ニ關シ陸軍省ニ於テ省部主任者
ノ協議ヲ行フ
一､昨夜來ノ慈雨終日天下ヲ救フ
陸軍大學校卒業式後
聖上大本營行幸遊サル
秩父宮殿下夜神宮御参拝ノ爲
御西下遊サル
昭和十五年六月十八日
機密戰爭日誌
一､午後部長會報ヲ行ヒ更ニ交戰權發動對佛印
問題ニ關シ決意ヲ促スコトトセル
結果對佛印部力行使ハ武士ノ情ニアラストシテ
上海及香港ニ對スル強硬ナル決意ヲ決定セラル
亊変段階ノ爲喜フへシ
一､佛印武力行使ニ關シ陸 <軍省>
[×海間ニ同意×] 不同意ニ
シテ省部種人者閒ニ押問答アリシモ不
愉快ナリ
一､其後三時ヨリ決定物動ニ關シ整備局長ヨリ
次長ニ報告ス
一､石井大尉ノ後任ヲ如何ニスベキニ關シ東橋中佐
ト懇談 結局第一案ノ如ク沼澤大尉ヲ撰定
ス
昭和十五年六月十九日
機密戰爭日誌
特記事項ナシ
一､午前九時ヨリ第四課長室ニ於テ總軍公平大佐ヨリ
宣昌駐兵 (一時) ニ伴フ兵力問題其ノ他ニ関
シ報告ヲ受ク
一､戰備課長ト南方問題ニ関スル想定ニ関シ協議ス
一､午後一時半ヨリ資源課ニ於テ本年度石炭
需給關係ノ代用､燃料ニ関スル商工省燃料
局職員ノ説明ヲ聽取ス
一､午前十一時五十分橿原神宮祈願式ニ於ケル
秩父宮殿下ノ御旨ヲ拝シ
恭シキ極ミナリ
昭和十五年六月二十日
機密戰爭日誌
一､午後三時ヨリ軍務課ニ於テ南方問題ニ關
シ資源ヲ中心トシテ省部主任者ノ會合アリ
陸軍省軍務課軍事課仲々動カス
物動ヲ担任スル戰備課ノ熱意大ナリ
一､戰備課長ヨリ今後ノ南方問題ノ進展ヲ
予想スル各省主任者ノ硏究會ニ關シ
打合ヲ受ク全然同意ナリ
陛下本夕近畿御旅行ヲ終ラセラレ
御歸京遊サル
昭和十五年六月二十一日
機密戰爭日誌
一､午前九時ヨリ第四課長室ニ於テ南方問題ニ關シ
省部家長及主任者ノ會議アリ
一､午後四時ヨリ七時迄今後ニ於ケル戰爭指導
竝作戰指導ニ關スル課内案 (荒尾中佐起案)
硏究ヲ行フ
一､昨夜ノ雷雨鳴ノタメ落雷大藏省､企畫院､其他
宮城前ノ官廳總ナメトナル 防空急務オソ
ルヘシ
迫水氏ノ二十二日ノ講話ハ 6/7 ニ延期ス
一､交戰權發動ニ關スル参考資料ヲ關係方面ニ配布
一､午後三時半ヨリ苐二應接室ニテ商工省貿易
局長菱沼氏ヨリ最近ノ貿易狀況ニ關シ聽取
予定ノトコロ都合ニ依リ二十九日ニ延期ス
↑「昭和１５年６月 機密戦争日誌」JACAR（アジア歴史資料センター）Ref.C12120316400、機密戦争日誌 其１ 昭和１５年６月１日～１５年１０月１０日（防衛省防衛研究所）
↑「昭和１５年７月 機密戦争日誌」JACAR（アジア歴史資料センター）Ref.C12120316500、機密戦争日誌 其１ 昭和１５年６月１日～１５年１０月１０日（防衛省防衛研究所）、
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