Ob-La-Di Облако 文庫

帝国日本の侵掠戦争と植民地支配、人権蹂躙を記憶し、再現を許さないために、ひたすら文書資料を書き取る。姉妹ブログ「歴史を忘れる民族に未来はない!」https://obladioblako.hateblo.jp/ のデータ·ベースを兼ねる。

「神戸市港区、貸座敷営業、大内藤七、右者、肩書地に於て貸座敷営業中の由なるが、客月19日、水戸市奈良屋町、料理店「来新」事、伊藤金三方に稼業中の酌婦にして本籍千葉県夷隅郡東海村●●●●(前借642円)●●●●、大正3年12月20日生、本籍山形県南置賜郡三沢村●●●●(前借691円)●●●●●、大正2年2月14日生の両名を上海に於て酌婦稼業せしむべく募集し、同日神戸に向け出発したる事実これ有り。」 茨城県知事発、内務大臣·陸軍大臣宛申報「上海派遣軍内陸軍慰安所に於ける酌婦募集に関する件」1938.1.1


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http://school.nijl.ac.jp/kindai/OSON/OSON-00072.html#10


保発第44号

   昭和13年2月14日

               茨城県知事

               (警察部長)

 内務大臣殿

 陸軍大臣殿

 各庁府県長官殿

 水戸連隊区司令官殿

 水戸土浦憲兵分隊長殿

  県下各警察署長殿

       【警保局/13.2.18 金/警2285号】

  上海派遣軍内陸軍慰安所に於ける酌婦

  募集に関する件

   神戸市港区福原町      

    貸座敷営業 大内藤七

 右者、肩書地に於て貸座敷営業中の由なるが、客月19日、水戸市奈良屋町、料理店「来新」事、伊藤金三方に稼業中の酌婦にして

 本籍千葉県夷隅郡東海村●●●●    

 (前借642円) ●●●●

           大正3年12月20日生

 本籍山形県南置賜郡三沢村●●●●   

 (前借691円) ●●●●●

           大正2年2月14日生

の両名を上海に於て酌婦稼業せしむべく募集し、同日神戸に向け出発したる事実これ有り。

 右募集の経緯を調査するに、大内は管下那珂郡湊町の出生にして約30年前神戸市に転住したる由。現に其の遠縁に当る江幡寅吉なる者、湊町に現住し居り、然るに本年1月4日頃、右大内より江幡に対し、上海派遣軍の依頼ありたるが故に酌婦数名を募集するを以て、適当なる者あれば通知し呉るる様、来信ありたるに対し、江幡は同町

   周旋業   大川松吉

に対し之が周旋方を依嘱したる結果、其の後は大川と大内との交渉となり、客月19日、大内自から来町し大川と同道し前記伊藤方酌婦を募集したるものにあり。

 募集当時伊藤に対し、上海派遣軍の依頼ありたるが如く吹聴したる趣きなるが、本件は果して軍の依頼ありたるものか全く不明にして、且つは酌婦の稼業たる所詮は醜業を目的とするは明かにして、公序良俗に反するが如き本件事案を公々然と吹聴、募集するが如きは、皇軍の威信を失墜すること甚だしきものありと認め、厳重取締り方、所轄湊警察署長宛て指示致し置き候ふ条、此の段、申(通)報に及び候ふ也。
 追て、兵庫県に於ては相当取締りの上、結果、何分の御回報相煩したし。
(県下各警察署長に在りては厳重取締りせらるべし。)

 

       記

写(第1) 契 約 証

一、稼業年限

一、契  約  金

一、上海派遣軍内陸軍慰安所に於て酌婦稼業を為すこと。

一、賞与金は揚高の1割とす。(但し半額を貯蓄すること。)

一、食費、衣裳及び消耗品は抱主の負担とす。

一、年限途中に於て解約の場合には元金残額、違約金及び抱入れ当時の諸費用一切を即時支払ひ申すべきこと。

右契約条項確守履行仕るべく、依て契約書件[くだん]の如し。

  昭和  年  月  日

  本籍地

  現住所

      稼業人

  現住所

      連帯者

          殿

 

   金員借用証書

一、金

右の金員、拙者要用に付、正に請取借用仕り候ふ事、実正也。然る上は返済方法は別紙契約書に基き     酌婦稼業を為し御返済申すべく、万一本人に於て契約不履行の節は拙者等連帯者に於て速かに御返金仕るべく、後日の為、借用証書、依て件の如し。

  昭和  年  月  日

  本籍地

  現住所

         借用人

  現住所

         連帯人

         殿

(第三)

拝啓、年内余日もこれ無く、嘸[さぞ]御繁忙の事と存じ奉り候ふ。陳ぶれば今回、軍部の御了解の元に、中支方面に皇軍将士慰安を目的とする慰安所設立する事と相成り、左の条件を以て約500名の酌婦を募集致し候ふに付き、何卒、大至急御手配煩したく、御報知次第、直ちに出張仕るべく候ふ間、御一報下されたく願ひ奉り候ふ。

  昭和十二年十二月二十八日  大内藤七

         殿

     條  件
一、契約年限   満2ヶ年
一、前  借  金   500円より1,000円まで
 但し右前借金の内2割を控除し、見付金及び乗込費に充当す。

一、年  齢   満16歳より30歳まで
一、身体壮健にして親権者の承諾を要す。但し養女籍に在る者は実家の承諾なきも差支なし。
一、前借金返済方法は年限完了と同時に消滅す。
 即ち年期中、仮令病気休業するとも、年期満了と同時、前借金は完済す。
一、利息は年期中なし。途中廃業の場合は残金に対し月1歩。
一、違約金は1ヶ年内、前借金額の1割。
一、年期途中廃業の場合は日割計算とす。
一、年期満了帰国の際は帰還旅費は抱主負担とす。
一、精算は稼高の一割を本人所得とし、毎月支給す。
一、年期無事満了の場合は本人稼ぎ高に応じ応分の慰労金を支給す。
一、衣類、寝具、食料、入浴料、医薬費は抱主負担とす。

                   以上 


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保發第四四號

   昭和十三年二月十四日

               茨城県知事

               (警察部長)

 内務大臣殿

 陸軍大臣殿

 各廳府縣長官殿

 水戸聯隊區司令官殿

 水戸土浦憲兵分隊長殿

  縣下各警察署長殿

       【警保局/13.2.18 金/警2285号】

  上海派遣軍内陸軍慰安所ニ於ケル酌婦

  募集ニ関スル件

   神戸市港區福原町      

    貸座敷營業 大内藤七

右者肩書地ニ於テ貸座敷營業中ノ由ナルガ客月


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十九日水戸市奈良屋町料理店來新事伊藤金三方ニ稼業中ノ酌婦ニシテ

 本籍千葉縣夷隅郡東海村●●●●    

 (前借六四二円) ●●●●

           大正三年十二月二十日生

 本籍山形縣南置賜郡三澤村●●●●   

 (前借六九一円) ●●●●●

           大正二年二月十四日生

ノ両名ヲ上海ニ於テ酌婦稼業セシムベク募集シ仝日神戸ニ向ケ出發シタル事實有之、右募集ノ経緯ヲ調査スルニ大内ハ管下那珂郡湊町ノ出生ニシテ約三十年前神戸市ニ轉住シタル由、現ニ其ノ遠縁ニ當ル江幡寅吉ナル者湊町ニ現住シ居リ然ルニ本年一月四日頃、右大内ヨリ江幡ニ對シ上海派遣軍ノ依頼アリタルガ故ニ酌婦数名ヲ募集スルヲ以テ適當ナル者アレバ通知シ呉ルヽ樣來信アリタルニ對シ江幡ハ仝町
   周旋業   大川松吉
ニ對シ之ガ周旋方ヲ依嘱シタル結果其ノ後ハ大川ト大内トノ交渉トナリ客月十九日大内自カラ來町シ大川ト同道

 

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シ前記伊藤方酌婦ヲ募集シタルモノニアリ募集當時伊藤ニ對シ上海派遣軍ノ依頼アリタルガ如ク吹聽シタル趣キナルガ本件ハ果シテ軍ノ依頼アリタルモノカ全ク不明ニシテ、且ツハ酌婦ノ稼業タル所詮ハ醜業ヲ目的トスルハ明カニシテ公序良俗ニ反スルガ如キ本件事案ヲ公々然ト吹聽募集スルガ如キハ皇軍ノ威信ヲ失墜スルコト甚ダシキモノアリト認メ嚴重取締方所轄湊警察署長宛指示致置候條此段及申(通)報候也

 追而 兵庫縣ニ於テハ相當取締ノ上結果何分ノ御回報相煩度

(縣下各警察署長ニ在リテハ嚴重取締セラルベシ)

 

       記


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冩(第一) 契 約 證

一、稼業年限

一、契  約  金

一、上海派遣軍内陸軍慰安所ニ於テ酌婦稼業ヲ爲スコト

一、賞與金ハ揚高ノ一割トス(但シ半額ヲ貯蓄スルコト)

一、食費衣裳及消耗品ハ抱主ノ負擔トス

一、年限途中ニ於テ解約ノ場合ニハ元金残額違約金及抱入當時ノ諸費用一切ヲ即時支拂ヒ申スベキコト

右契約条項確守履行仕ル可ク依而契約書如件

  昭和  年  月  日

  本籍地

  現住所

      稼業人

  現住所

      連帶者

           殿


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   金員借用證書

一、金

右之金員拙者要用ニ付正ニ請取借用仕候事實正也然ル上ハ返濟方法ハ別紙契約書ニ基キ     酌婦稼業ヲ爲シ御返濟申ス可ク萬一本人ニ於テ契約不履行ノ節ハ拙者等連帶者ニ於テ速カニ御返金仕ル可ク爲後日借用證書依而如件

  昭和  年  月  日

  本籍地

  現住所

         借用人

  現住所

         連帶人

         殿

(第三)

拝啓年内余日も無之嘸御繁忙の事と奉存候、陳者今回軍部の御了解の元に中支方面に皇軍將士慰安を目的とする慰安所設立する事と相成り左之條件を

 

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以て約五百名の酌婦を募集致候に付何卒大至急御手配煩し度御報知次第直ちに出張可仕候間御一報被下度奉願候

  昭和十二年十二月二十八日  大内藤七

         殿

     條  件
一、契約年限   滿二ヶ年
一、前  借  金   五百円ヨリ千円迠
但シ右前借金ノ内二割ヲ控除シ見付金及乘込費ニ充當ス

一、年  齢   滿十六歳ヨリ三十歳迠
一、身体壮健ニシテ親權者ノ承諾ヲ要ス、但シ養女籍ニ在ル者ハ實家ノ承諾ナキモ差支ナシ
一、前借金返濟方法ハ年限完了ト同時ニ消滅ス
即チ年期中仮令病氣休業スルトモ年期滿了ト同時前借金ハ完濟ス
一、利息ハ年期中ナシ途中廢業ノ場合ハ残金ニ對シ月壹歩
一、違約金ハ一ヶ年内前借金額ノ一割
一、年期途中廢業ノ場合ハ日割計算トス
一、年期滿了帰國ノ際ハ帰還旅費ハ抱主負擔トス
一、精算ハ稼高ノ一割ヲ本人所得トシ毎月支給ス
一、年期無事滿了ノ場合ハ本人稼高ニ應シ應分ノ慰勞金ヲ支給ス
一、衣類、寝具、食料入浴料醫薬費ハ抱主負擔トス

                    以上