勅令第三百二十四號
朕ここに緊急の必要ありと認め、枢密顧問の諮詢を経て、帝国憲法第八条により朝鮮に施行すべき法令に関する件を裁可し、これを公布せしむ。
睦仁【天皇御璽】
明治四十三年八月二十九日
内閣總理大臣 兼
大蔵大臣 候爵 桂 太 郎
陸軍大臣 子爵 寺 内 正 毅
外務大臣 伯爵 小 村 寿 太 郎
海軍大臣 男爵 斎 藤 実
内務大臣 法学博士
男爵 平 田 東 助
遞信大臣 男爵 後 藤 新 平
文部大臣 兼
農商務大臣 小松原英太郎
司法大臣 子爵 岡 部 長 職
勅令第三百二十四号
第一条 朝鮮においては法律を要する事項は朝鮮総督の命令をもってこれを規定することを得。
第二条 前条の命令は内閣総理大臣を経て勅裁を請ふべし。
第三条 臨時緊急を要する場合において朝鮮総督は直ちに第一条の命令を発することを得。
前項の命令は発布後、直ちに勅裁を請ふべし。もし勅裁を得ざるときは、朝鮮総督は直ちにその命令の将来に向けて効力なきことを公布すべし。
第四条 法律の全部または一部を朝鮮に施行するを要するものは勅令をもってこれを定む。
第五条 第一条の命令は、第四条により朝鮮に施行したる法律、および特に朝鮮に施行する目的をもって制定したる法律、および勅令に違背することを得ず。
第六条 第一条の命令は制令と称す。
附則
本令は公布の日よりこれを施行す。
勅令第三百二十四號
朕茲ニ緊急ノ必要アリト認メ樞密顧問
ノ諮詢ヲ經テ帝國憲法第八條ニ依リ朝
鮮ニ施行スヘキ法令ニ關スル件ヲ裁可
シ之ヲ公布セシム
睦仁【天皇御璽】
明治四十三年八月二十九日
内閣總理大臣 兼
大蔵大臣 候爵 桂 太 郎
陸軍大臣 子爵 寺 内 正 毅
外務大臣 伯爵 小 村 壽 太 郎
海軍大臣 男爵 齋 藤 實
内務大臣 法学博士
男爵 平 田 東 助
遞信大臣 男爵 後 藤 新 平
文部大臣 兼
農商務大臣 小松原英太郎
司法大臣 子爵 岡 部 長 軄
勅令第三百廿四號
第一條 朝鮮ニ於テハ法律ヲ要スル事
項ハ朝鮮總督ノ命令ヲ以テ之ヲ規定
スルコトヲ得
第二條 前條ノ命令ハ内閣總理大臣ヲ
經テ勅裁ヲ請フヘシ
第三條 臨時緊急ヲ要スル場合ニ於テ
朝鮮總督ハ直ニ第一條ノ命令ヲ發ス
ルコトヲ得
前項ノ命令ハ發布後直ニ勅裁ヲ請フ
ヘシ若勅裁ヲ得サルトキハ朝鮮總督
ハ直ニ其ノ命令ノ将来ニ向テ效力ナ
キコトヲ公布スヘシ
第四條 法律ノ全部又ハ一部ヲ朝鮮ニ
施行スルヲ要スルモノハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
第五條 第一條ノ命令ハ第四條ニヨリ
朝鮮ニ施行シタル法律及特ニ朝鮮ニ
施行スル目的ヲ以テ制定シタル法律
及勅令ニ違背スルコトヲ得ス
第六條 第一條ノ命令ハ制令ト稱ス
附則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
↑「御署名原本・明治四十三年・勅令第三百二十四号・朝鮮ニ施行スヘキ法令ニ関スル件」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A03020863700、御署名原本・明治四十三年・勅令第三百二十四号・朝鮮ニ施行スヘキ法令ニ関スル件(国立公文書館 御08516100)