Ob-La-Di Oblako 文庫

帝国日本の侵掠戦争と植民地支配、人権蹂躙を記憶し、再現を許さないために、ひたすら文書資料を書き取る。姉妹ブログ「歴史を忘れる民族に未来はない!」https://obladioblako.hateblo.jp/ のデータ·ベースを兼ねる。

国民精神総動員委員会決定『昭和十五年における国民精神総動員運動実施方針』1939. 12. 7

 昭和十五年における国民精神総動員運動実施方針
         (昭一四・一二・七
          国民精神総動員委員会決定)

 昭和十五年における国民精神総動員運動は、さきに国民精神総動員委員会において決定せられた各種方策の具体的実践をさらに一層強化·拡充すべきことは勿論であるが、この年はまた支那事変の処理と国際情勢の転移とをめぐって帝国国運の隆替を決する重大なる時機に直面し、国民の日常生活には一段の困難の加はるべきことが予想せられるので、本運動の飛躍的進展を図る必要がある。

 加うるに、あたかも光輝ある紀元二千六百年に相当するをもって、この意義ある年を期していよいよ強力日本態勢の強化を図り、東亜新秩序の建設を推進するため、強力政治を断行するとともに、ますます堅忍持久の精神を振起し、挙国不動の決意をもって事変目的貫徹に邁進すべきである。

 これがためには特に左の諸点に力を注ぎ本運動を実施する必要がある。

一、肇国の大理想と光輝ある国史に基づき、東亜新秩序建設の世界史的意義を強調して、ますます勇往邁進の気魄を昂 [たか] めること。これがためには現下世界情勢の推移と日本を中心とする東亜の歴史、文化等に対する国民の認識を一層深める方法を講ずるとともに、新東亜建設の意義の闡明に努めること。

二、挙国一体たるの国民的信念をますます昂揚するとともに、皇運扶翼の奉公精神を国民の日常生活の間に具現するに努めること。

 特に戦時重大事局の意義を忘却せる非国民的行為の潜行および一切の不健全現象を根絶し、戦時国民道徳の確立により、東亜の指導的立場にある大国民的道徳の具現を期すること。

三、経済統制の強化に伴い国民の経済生活に及ぼす影響ますます大なるべきをもって、不撓不屈、いかなる困苦欠乏にも耐えるの精神力を振起するとともに、公私生活の全面的かつ徹底的刷新を断行するため、興亜生活運動 (仮称) を強力に展開すること。

四、事変処理の進展に伴い思想国防の重要性ますます加わるべきをもって、言論機関、社会教育機関等の活動を促進し、国論の統一強化を図るとともに一層民意を暢達し、真摯なる国民の声を十分政府の施策に反映せしめ、官民一体難局の打開に邁進する様、方策を講ずること。

五、事変の長期化に伴い銃後の熱意、漸次減退するおそれあるをもって、この際、一層これに対する国民の関心を深め、前線銃後一体たるの国民的信念を昂揚して軍事援護の完璧を期すること。

六、国民精神総動員運動の実施を一層効果的ならしめるため、地域別、職場別、団体別の実践網?/綱?を整備強化して、極力その活動を促進すること。

 特に各種の同種団体の統合整理を断行すること。

七、都市における国民精神総動員運動の実績は未だ不充分なるものあるをもって、他の方面に及ぼす影響の甚大なるに顧み、特别なる徹底対策を講ずること。なお社会の指導的立場にある者ならびに殷賑産業関係者に一段の注意と実践とを促すこと。

 

https://www.digital.archives.go.jp/img/1629297 1/102

 

昭和十五年に於ける國民精神總動員運動實施方針
         (昭一四・一二・七
          國民精神總動員委員會決定)

昭和十五年に於ける國民精神總動員運動は、曩に國民精神總動員委員會に於て決定せられた各種方策の具體的實踐を更に一層
强化擴充すべきことは勿論であるが、此の年は又支那事變の處理と國際情勢の轉移とをめぐつて帝國國運の隆替を決する重大
なる時機に直面し國民の日常生活には一段の困難の加はるべきことが豫想せられるので、本運動の飛躍的進展を圖る必要があ
る。
加ふるに恰も光輝ある紀元二千六百年に相當するを以て、此の意義ある年を期して愈々强力日本態勢の强化を圖り、東亞新秩
序の建設を推進する爲、强力政治を斷行すると共に益々堅忍持久の精神を振起し擧國不動の決意を以て事變目的貫徹に邁進す
べきである。
之がためには特に左の諸點に力を注ぎ本運動を實施する必要がある。
一、肇國の大理想と光輝ある國史に基き、東亞新秩序建設の世界史的意義を强調して、益々勇往邁進の氣魄を昂めること。之
 がためには現下世界情勢の推移と日本を中心とする東亞の歷史、文化等に對する國民の認識を一層深める方法を講ずると共
 に、新東亞建設の意義の闡明に努めること。
二、擧國一體たるの國民的信念を益々昂揚すると共に、皇運扶翼の奉公精神を國民の日常生活の間に具現するに努めること。

 

 特に戰時重大事局の意義を忘卻せる非國民的行爲の潛行及び一切の不健全現象を根絕し、戰時國民道德の確立により、東亞
 の指導的立場にある大國民的道德の具現を期すること。
三、經濟統制の强化に伴ひ國民の經濟生活に及ぼす影響益々大なるべきを以て不撓不屈如何なる困苦缺乏にも耐へるの精神力
 を振起すると共に、公私生活の全面的且徹底的刷新を斷行するため興亞生活運動 (假稱) を强力に展開すること。
四、事變處理の進展に伴ひ思想國防の重要性益々加はるべきを以て、言論機關、社會敎育機關等の活動を促進し國論の統一强
 化を圖ると共に一層民意を暢達し眞摯なる國民の聲を十分政府の施策に反映せしめ官民一體難局の打開に邁進する樣方策を
 講ずること。
五、事變の長期化に伴ひ銃後の熱意漸次減退する虞あるを以て、此の際一層之に對する國民の關心を深め前線銃後一體たるの
 國民的信念を昂揚して軍事援護の完璧を期すること。
六、國民精神總動員運動の實施を一層效果的ならしめる爲地域別、職場別、團體別の實踐網?を整備强化して極力其の活動を促
 進すること。
 特に各種の同種團體の統合整理を斷行すること。
七、都市に於ける國民精神總動員運動の實績は未だ不充分なるものあるを以て、他の方面に及ぼす影響の甚大なるに顧み特别
 なる徹底對策を講ずること。尙ほ社會の指導的立場に或る者竝に殷賑產業關係者に一段の注意と實踐とを促すこと。

 

↑「昭和一五年国民精神総動員運動実施方針(昭和一四.一二.七精動委決定)」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A15060381000、国民精神総動員国立公文書館 資00334100)