Ob-La-Di Oblako 文庫

帝国日本の侵掠戦争と植民地支配、人権蹂躙を記憶し、再現を許さないために、ひたすら文書資料を書き取る。姉妹ブログ「歴史を忘れる民族に未来はない!」https://obladioblako.hateblo.jp/ のデータ·ベースを兼ねる。

「南京総攻撃を前に九日正午、松井最高指揮官は南京防衛司令官康生智に対し、二十四時間の期限を付け、十日正午迄に降伏するやう情理を尽した投降勧告文を飛行機により投下して、光栄ある日本武士道の精華を内外に示した。」 内閣情報部編集「週報」第62号掲載 陸軍省新聞班「首都南京陥落す」より 1937.12.22

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 南京総攻撃を前に九日正午、松井最高指揮官は南京防衛司令官康生智に対し、二十四時間の期限を付け、十日正午迄に降伏するやう情理を尽した投降勧告文を飛行機により投下して、光栄ある日本武士道の精華を内外に示した。

   勧告文全文

 日軍百万、既に江南を席巻せり。南京は将に包囲
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の中にあり。戦局大勢よりみれば、今後の交戦はただ百害あつて一利なし。惟ふに江寧の地は中央の急都にして民国の首都なり。明の孝陵、中山陵等、古蹟名所蝟集し、宛然、東亜文化の精髄の観あり。日軍は抵抗者に対しては極めて峻烈にして寛恕せざるも、無辜の民衆および敵意なき中国軍隊に対しては寛大を以てし、之を犯さず。東亜文化に至りては之を保護保存するの熱意あり。しかして貴軍交戦を継続せんとするならば、南京は勢ひ必ずや戦禍を免れ難し。しかして千載の文化を灰燼に帰し、十年の経営は全く泡沫とならん。よつて本司令官は日本軍を代表し貴軍に勧告す。即ち南京城を平和裡に開放し、しかして左記の処置に出でよ。

    大日本陸軍総司令官 松 井 石 根

 本勧告に対する回答は、十二月十日正午、中山路句容道上の歩哨線において受領すべし。若しも貴軍が司令官を代表する責任者を派遣する時は、該処におい
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て本司令官代表者との間に南京城接収に関する必要の協定を遂行ぐる準備あり。もしも該指定時間内に何等の回答に接し得ざれば、日本軍は已むを得ず南京城攻略を開始せん。

 

 然るに南京城の敵は投降勧告に応ずる色なく頑強な抵抗を持続するので、十日午後一時、遂に我が軍は総攻撃を実施するに決し、砲兵の全力を以て砲撃を開始すると共に全線一斉に進撃し、飛行機の爆撃と相まつてひしひしと南京城を圧するに至つた。

 

週報 第62号
昭和12年12月22日(1937/12/22)

陸軍省新聞班「首都南京陥落す」
https://www.digital.archives.go.jp/das/image/M2006041420324168528