Ob-La-Di Облако 文庫

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醜業を行はしるむための婦女売買禁止に関する国際条約(摂政署名原本) 1925.12.21

条約第18号

朕、枢密顧問の諮詢を経て、1910年の5月4日、フランス国においてドイツ国ほか12箇国に締結せられたる、醜業を行はしむるための婦女売買禁止に関する国際条約に、その最終議定書(ロ)項に規定せられたる年齢の制限に代ふるに満18歳をもつてするの権利を留保して加入し、1904年5月18日、フランス国パリにおいてフランス国ほか11箇国間に締結せられたる、醜業を行はしむるための婦女売買取り締まりに関する国際協定とともに、ここにこれを公布せしむ。 

 

嘉比

 裕仁天皇御璽】

 大正14年12月21日

  内閣総理大臣 子爵 加藤高明

  外務大臣   男爵 幣原喜重郎

  内務大臣      若槻礼次郎

  司法大臣      江木翼

 

条約第18号

   醜業を行はしるむための婦女売買禁止に

   関する国際条約

 左の諸国の君主、元首および政府は、

「トレート·デ·ブランシュ(醜業を行はしむるための婦女売買)」なる名称をもつて知らるる売買の禁止を最有効ならしめむことを均しく希望し、これがため条約を締結することに決し、かつ1902年7月15日より25日までパリにおいて会合したる第1回会議において一提案の可決せられたるに鑑み、その全権委員を任命せり。

 右全権委員は1910年4月18日より5月4日に至るまでパリにおいて第2回会議を開催し、左の条項を協定せり。

    第 1 条

 何人たるを問はず、他人の情欲を満足せしむるため、醜行を目的として未成年の婦女を勧誘し、誘引し、または枴去したる者は、本人の承諾を得たるときといへども、また右犯罪の構成要素たる各行為が異りたる国にわたりて遂行せられたるときといへども罰せらるべし。

    第 2 条

 何人たるを問はず、他人の情欲を満足せしむるため、醜行を目的として詐欺により、または暴行、脅迫、権力濫用その他一切の強制手段をもつて成年の婦女を勧誘し、誘引し、または枴去したる者は、右犯罪の構成要素たる各行為が異りたる国にわたりて遂行せられたるときといへども罰せらるべし。

    第 3 条

 締約国は、現にその法制が前2条に定むる犯罪を防遏するに充分ならざるときは、その軽重に従ひ処罰するため必要なる措置を執り、または右措置を各自の立法機関に提案すべきことを約す。

    第 4 条

 締約国は本条約の目的に関し自国においてすでに制定し、または制定することあるべき法令をフランス共和国政府を介してたがひに通報すべし。

    第 5 条

 第1条および第2条に定むる犯罪は、本条約実施の日より、締約国間の既存条約により引き渡しを要すべき犯罪中に、当然、挿入せられたるものとみなさるべし。

    第 6 条

 本条約に定むる犯罪に関する司法事務の嘱託は、左の方法によりこれを行ふ。

1.司法官憲間の直接の通信

2.被嘱託国に駐在する嘱託國の外交官、または領事官の仲介

 該官吏は直接に当該司法官憲に司法事務嘱託書類を送達し、かつ該官憲より右送達の実行を確証する書類の送達を直接に受くるものとす。

(前記2箇の場合においては被嘱託国の上級官憲に対し同時に常に該司法事務嘱託書類の謄本を送付すべきものとす。)

3.外交手段

 各締約国は他の各締約国より発する司法事務の嘱託につき、その認容する前記嘱託方法を該国に宛てたる通告をもつて知らしむべし。

 本条第1号および第2号の場合になさるる嘱託に関して生ずることあるべき一切の紛義は、外交手段により処理せらるべし。

 別段の協定ある場合を除くのほか、司法事務嘱託書類は、被嘱託官憲の用語もしくは両関係国間に協定したる国語をもつて作成せらるたるものなるか、または右両語中の一つをもつて作成せられたる訳文(嘱託国の外交官もしくは領事館、または被嘱託国の宣誓をなしたる通訳の認証あるもの )を添付したるものなることを要す。

 司法事務嘱託の執行については、手数料または費用はその性質のいかんを問はず償還を請求せらることなかるべし。

    第 7 条

 締約国は、本条約に定むる犯罪にして、その構成要素たる各行為が異なりたる国にわたりて遂行せられたるものに関する犯罪人名簿をたがひに送付すべきことを約す。

 右文書は1904年5月18日、パリにおいて締結せられたる協定第1条に従ひ指定せられたる官憲により、他の締約五月の同種の官憲に直接に送達せらるべし。

    第 8 條 

 非署名国は本条約に加入することを得。これがためには非署名国は文書をもつてその意思を通告すべく、該文書はフランス共和国政府の記録に寄託せらるべし。同政府は外交手続きによりその認証謄本を各締約国に送付し、同時にその寄託の日を通知すべし。右加入通告書においては、本条約の目的に関し加入国の制定したる法令をもまた通知すべきものとす。

 本条約は、加入通告書寄託の日より6月を経て、加入国の全領域にわたり実施せらるべく、該国はここに締約国となるものとす。

 本条約に加入したるときは当然に、かつ特別の通告なくして1904年5月18日の協定に、ともにかつ全部、加入したることとなるべく、同協定は本条約と同日をもつて当該加入国の全領域にわたり実施せらるべし。

 もっとも前項の規定は1904年5月18日の右協定第7条を変更するものにあらず、同条は一国が右協定にのみ加入せむと欲する場合になほ適用あるものとす。

    第 9 条

 本条約(本条約は最終議定書をもつて補足せらる。右議定書はその一部を成すものとす)は批准を要す。その批准書は締約国中6国が寄託をなし得るに至りたるとき、直ちにパリにおいて寄託せらるべし。

 批准書の寄託については調書を作成すべく、その認証謄本は外交手続により各締約国に交付せらるべし。

 本条約は批准書寄託の日より6月を経て実施せらるべし。

    第 1 0 条

 締約国の一つが本条約を廃棄したるときは、右廃棄は該國に関してのみその効力を生ず。

 廃棄は文書をもつて通告せらるべく、該文書はフランス共和国政府の記録に寄託せらるべし。同政府は外交手続きによりその認証謄本を各締約国に送付し、同時にその寄託の日を通知すべし。

 本条約は右の日より12月を経て、これを廃棄したる国の全領域にわたり効力を失ふものとす。

 本条約の廃棄は同通告書中に明示あるにあらざれば、1904年5月18日の協定に廃棄を当然伴ふものにあらず、締約国は同協定を廃棄するためには同協定第8条に従い手続きをなすものとす。

    第 1 1 条

 締約国が本条約をその植民地、属地または領事裁判管轄地域の1箇または数箇に実施せしむるときは、該国は文書をもつてその意思を通告すべく、該文書はフランス共和国政府の記録に寄託せらりべし。同政府は外交手続きによりその認証謄本を各締約国に送付し、同時にその寄託の日を通知すべし。

 該通告書においてはその植民地、属地または領事裁判管轄地域につき、本条約の目的に関し該地方において制定せられたる法令を通知すべきものとす。将来、右地方において制定せらるることあるへき法令は、第4条に従ひ均しくこれを締約国に通知すべきものとす。

 本條約は、通告書寄託の日より6月を経て、その通告書に定むる植民地、属地または領事裁判管轄地域に実施せらるべし。

 本條第1項の通告をなす国は、同項に定むる通告の目的たるべき植民地、属地または領事裁判管轄地域に宛てたる司法事務の嘱託につき、その認容する嘱託方法を他の各締約国に宛てたる通告をもつて知らしむべし。

 締結国中の一つがその植民地、属地または領事裁判管轄地域の1箇または数箇につき本條約を廃棄する場合においては、本条第1項に定むる形式および条件によりこれをなすべし。右廃棄は、廃棄通告書をフランス共和国政府の記録な寄託したる日より12月を経て、その効力を生ずべし。

 締約国がその植民地、屬地または領事裁判管轄地域の1箇または数箇につき本条約に加入したるときは、当然に、かつ特別の通告なくして、1904年5月18日の協定にともに、かつ全部加入したることとなるべく、同協定は本条約と同日をもつて右地方に実施せらるべし。 

 ただし締約国がその植民地、属地または領事裁判管轄地域の1箇または数箇につき本条約を廢棄したるときは、廃棄通告書中に明示さるにあらざれば、1904年5月18日の協定の廃棄を当然伴ふもなあらず、なほ1904年5月4日の協定の署名国が同協定に対するその植民地の加入に関してなしたる宣言は維持せらるるものとす。

 もっとも本条約実施の日以後は、締結国の植民地、属地または領事裁判管轄地域に関する右協定の加入または廃棄は、本条の規定に従ひてこれをなすべし。

    第 1 2 条

 本条約は1910年5月4日の日付を有するものとし、醜業を行はしむるための婦女売買禁止に関する第2回会議に代表せられたる国の全権委員、来たる7月31日までにパリにおいてこれに署名することを得。

 

 1910年5月4日、パリにおいて本書1通を作成し、その認証謄本は各署名国に交付せらるべし。

 ドイツ国

  (第6条を留保す。)

   アルブレヒト·レンツェ       (印)

   クルト·ヨエル             (印)

 オーストリー国およびハンガリー

   オーストリー·ハンガリー国大使

             アー·ネメス    (印)

 オーストリー

   省参事官 ヨット·アイヒホッフ    (印)

 ハンガリー

   省参事官 ゲー·レルス       (印)

 ベルギー国

   ジュール·ルジューヌ        (印)

   イシドール·モー          (印)

 ブラジル国

  (第5條を留保す。)

   ジェー·セード·ソーザ·バンデイラ     (印)

 デンマーク

   セー·エー·ゴールド           (印)

 スペイン国

   オクタヴィオ·クァルテーロ     (印)

 フランス国

   エル·ベランジェ            (印)

 大ブリテン

   フランシス·バーティー       (印)

 イタリー国

   ジェー·ケー·ブヅァッティ        (印)

   ジェロラモ·カルヴィ        (印)

 オランダ国

   ア·ド·ステュエルス           (印)

   レターン·マカール            (印)

 ポルトガル

   伯爵 ド·ソーザ=ローザ        (印)

 ロシア国

   アレキシス·ド·ベルガルド      (印)

   ヴラディミール·デリュギンスキー    (印)

 スウェーデン

   エフ·ド·クレンケル           (印)

 

     最終議定書

 右の各全権委員は、本日の条約に署名するに当たり、本条約第1条、第2条および第3条は左の趣旨により了解すべきものなること、ならびにその趣旨に従へば、締約国が其の立法権を行使し、以て既定の約定を実施し、又は之を補足するの措置を執らむことは、希望すべきものなることを指示するを有益なりと認む。

(イ)第1条および第2条の規定は、締約国が他の類似の犯罪、例へば詐欺または強制手段をもつてせざる成年者の勧誘のごときものを処罰するにつき、絶対に自由なること当然なりとの趣旨において、これを最小限度とみなすことを要す。

(ロ)第1条および第2条に定むる犯罪の禁止については、「未成年の婦女」、「成年の婦女」なる語は満20歳未満または以上の婦女を指すものと了解せらるべし。ただし、いづれの国籍の婦女に対しても同一に適用することを条件として、法令をもつて保護年齢をさらに高むることを得。

(ハ)右犯罪の禁止については、法令には常に自由刑を規定することを要す。ただし他の主刑または付加刑の併科を妨ぐることなし。尚法令には被害者の年齢関係を別とし例へば第二条に定むる情状又は被害者が実際醜行に従事するに至らしめられたる事実等当該事件に付生ずることあるべき種々の加重情状を考量することを要す。

(ニ)婦女をその意に反して醜行を業とする屋内に監禁したる場合は、その重大なるに拘らず、専ら国内立法事項に属するの故をもつて、これを本条約中に規定せざりしものなり。

 本議定書は本日の条約の一部とむなさるべく、かつこれと同等の効力、価値および期間を有するものとす。

 

 1910年5月4日、パリにおいて本書1通を作成し、これに署名す。

 ドイツ国

   アルブレヒト·レンツェ       (印)

   クルト·ヨエル             (印)

 オーストリー国およびハンガリー

   オーストリー·ハンガリー国大使

             アー·ネメス    (印)

 オーストリー

   省参事官 ヨット·アイヒホッフ    (印)

 ハンガリー

   省参事官 ゲー·レルス       (印)

 ベルギー国

   ジュール·ルジューヌ        (印)

   イシドール·モー          (印)

 ブラジル国

   ジェー·セード·ソーザ·バンデイラ     (印)

 デンマーク

   セー·エー·ゴールド           (印)

 スペイン国

   オクタヴィオ·クァルテーロ     (印)

 フランス国

   エル·ベランジェ            (印)

 大ブリテン

   フランシス·バーティー       (印)

 イタリー国

   ジェー·ケー·ブヅァッティ        (印)

   ジェロラモ·カルヴィ        (印)

 オランダ国

   ア·ド·ステュエルス           (印)

   レターン·マカール            (印)

 ポルトガル

   伯爵 ド·ソーザ=ローザ        (印)

 ロシア国

   アレキシス·ド·ベルガルド      (印)

   ヴラディミール·デリュギンスキー    (印)

 スウェーデン

   エフ·ド·クレンケル           (印)

 

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條約苐十八號

朕 樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ 千九百十年五月四日 佛蘭西國巴里ニ於テ獨逸國外十二箇國ニ締結セラレタル 醜業ヲ行ハシムル為ノ婦女賣買禁止ニ関スル國際條約ニ 其ノ最終議定書(ロ)項ニ規定セラレタル年齢ノ制限ニ代フルニ滿十八歳ヲ以テスルノ權利ヲ留保シテ加入シ 千九百四年五月十八日 佛蘭西國巴里ニ於テ佛蘭西國外十一箇國間ニ締結セラレタル 醜業ヲ行ハシムル為ノ婦女賣買取締ニ関スル國際協定ト共ニ 茲ニ之ヲ公布セシム

嘉比

 裕仁天皇御璽】

 大正十四年十二月二十一日

  内閣總理大臣 子爵 加藤髙明

  外務大臣   男爵 幣原喜重郎

  内務大臣      若槻禮次郎

  司法大臣      江木翼

 

條約第十八號

   醜業ヲ行ハシムル爲ノ婦女賣買禁止ニ

   關スル國際條約

左ノ諸國ノ君主、元首 及 政府ハ

「トレート、デ、ブランシュ(醜業ヲ行ハシムル爲ノ婦女賣買)」ナル名稱ヲ以テ知ラルル賣買ノ禁止ヲ最有效ナラシメムコトヲ均シク希望シ 之カ爲 條約ヲ締結スルコトニ決シ 且 千九百二年七月十五日ヨリ二十五日迄 巴里ニ於テ會合シタル第一囘會議ニ於テ一提案ノ可決セラレタルニ鑑ミ 其ノ全權委員ヲ任命セリ

右全權委員ハ千九百十年四月十八日ヨリ五月四日ニ至ル迄 巴里ニ於テ第二囘會議ヲ開催シ 左ノ條項ヲ協定セリ

    第 一 條

何人タルヲ問ハス 他人ノ情欲ヲ滿足セシムル爲 醜行ヲ目的トシテ未成年ノ婦女ヲ勸誘シ 誘引シ 又ハ枴去シタル者ハ 本人ノ承諾ヲ得タルトキト雖 又 右犯罪ノ構成要素タル各行爲カ異リタル國ニ亙リテ遂行セラレタルトキト雖 罰セラルヘシ

    第 二 條

何人タルヲ問ハス 他人ノ情欲ヲ滿足セシムル爲 醜行ヲ目的トシテ詐欺ニ依リ 又ハ暴行、脅迫、權力濫用 其ノ他一切ノ强制手段ヲ以テ成年ノ婦女ヲ勸誘シ 誘引シ 又ハ枴去シタル者ハ 右犯罪ノ構成要素タル各行爲カ異リタル國ニ亙リテ遂行セラレタルトキト雖 罰セラルヘシ

    第 三 條

締約國ハ 現ニ其ノ法制カ前二條ニ定ムル犯罪ヲ防遏スルニ充分ナラサルトキハ 其ノ輕重ニ從ヒ處罰スル爲 必要ナル措置ヲ執リ 又ハ右措置ヲ各自ノ立法機關ニ提案スヘキコトヲ約ス

    第 四 條

締約國ハ本條約ノ目的ニ關シ自國ニ於テ旣ニ制定シ 又ハ制定スルコトアルヘキ法令ヲ佛蘭西共和國政府ヲ介シテ互ニ通報スへシ

    第 五 條

第一條 及 第二條ニ定ムル犯罪ハ本條約實施ノ日ヨリ 締約國間ノ旣存條約ニ依リ引渡ヲ要スヘキ犯罪中ニ當然 挿入セラレタルモノト看做サルヘシ

    第 六 條

本條約ニ定ムル犯罪ニ關スル司法事務ノ囑託ハ 左ノ方法ニ依リ之ヲ行フ

一 司法官憲間ノ直接ノ通信

二 被囑託國ニ駐在スル囑託國ノ外交官 又ハ領事官ノ仲介 該官吏ハ直接ニ當該司法官憲ニ司法事務囑託書類ヲ送達シ 且 該官憲ヨリ右送達ノ實行ヲ確證スル書類ノ送達ヲ直接ニ受クルモノトス

(前記二箇ノ場合ニ於テハ被囑託國ノ上級官憲ニ對シ同時ニ常ニ該司法事務囑託書類ノ謄本ヲ送付スヘキモノトス)

三 外交手段

各締約國ハ他ノ各締約國ヨリ發スル司法事務ノ囑託ニ付 其ノ認容スル前記囑託方法ヲ該國ニ宛テタル通告ヲ以テ知ラシムヘシ

本條第一號 及 第二號ノ場合ニ爲サルル囑託ニ關シテ生スルコトアルヘキ一切ノ紛義ハ外交手段ニ依リ處理セラルヘシ

別段ノ協定アル場合ヲ除クノ外 司法事務囑託書類ハ 被囑託官憲ノ用語 若ハ兩關係國間ニ協定シタル國語ヲ以テ作成セラレタルモノナルカ 又ハ右兩語中ノ一ヲ以テ作成セラレタル譯文(囑託國ノ外交官 若ハ領事館 又ハ被囑託國ノ宣誓ヲ爲シタル通譯ノ認證アルモノ )ヲ添附シタルモノナルコトヲ要ス

司法事務囑託ノ執行ニ付テハ手數料 又ハ費用ハ其ノ性質ノ如何ヲ問ハス償還ヲ請求セラルルコトナカルヘシ

    第 七 條

締約國ハ 本條約ニ定ムル犯罪ニシテ 其ノ構成要素タル各行爲カ異リタル國ニ亙リテ遂行セラレタルモノニ關スル犯罪人名簿ヲ互ニ送付スヘキコトヲ約ス

右文書ハ千九百四年五月十八日 巴里ニ於テ締結セラレタル協定第一條ニ從ヒ指定セラレタル官憲ニ依リ 他ノ締約國ノ同種ノ官憲ニ直接ニ送達セラルヘシ

    第 八 條

非署名國ハ本條約ニ加入スルコトヲ得 之カ爲ニハ 非署名國ハ文書ヲ以テ其ノ意思ヲ通告スヘク 該文書ハ佛蘭西共和國政府ノ記錄ニ寄託セラルヘシ 同政府ハ外交手續ニ依リ其ノ認證謄本ヲ各締約國ニ送付シ 同時ニ其ノ寄託ノ日ヲ通知スへシ 右加入通告書ニ於テハ本條約ノ目的ニ關シ加入國ノ制定シタル法令ヲモ亦 通知スヘキモノトス

本條約ハ 加入通告書寄託ノ日ヨリ六月ヲ經テ 加入國ノ全領域ニ亙リ實施セラルヘク 該國ハ茲ニ締約國トナルモノトス

本條約ニ加入シタルトキハ 當然ニ 且 特別ノ通告ナクシテ 千九百四年五月十八日ノ協定ニ 共ニ 且 全部 加入シタルコトトナルヘク 同協定ハ本條約ト同日ヲ以テ当該加入國ノ全領域ニ亙リ實施セラルヘシ

尤モ前項ノ規定ハ千九百四年五月十八日ノ右協定第七條ヲ變更スルモノニ非ス 同條ハ一國カ右協定ニノミ加入セムト欲スル場合ニ猶 適用アルモノトス

    第 九 條

本條約(本條約ハ最終議定書ヲ以テ補足セラル 右議定書ハ其ノ一部ヲ成スモノトス)ハ批准ヲ要ス 其ノ批准書ハ締約國中六國カ寄託ヲ爲シ得ルニ至リタルトキ 直ニ巴里ニ於テ寄託セラルヘシ

批准書ノ寄託ニ付テハ調書ヲ作成スヘク 其ノ認證謄本ハ外交手續ニ依リ各締約國ニ交付セラルヘシ

本條約ハ 批准書寄託ノ日ヨリ六月ヲ經テ 實施セラルヘシ

    第 十 條

締約國ノ一カ本條約ヲ廢棄シタルトキハ 右廢棄ハ該國ニ關シテノミ其ノ效力ヲ生ス

廢棄ハ文書ヲ以テ通告セラルヘク 該文書ハ佛蘭西共和國政府ノ記錄ニ寄託セラルヘシ 同政府ハ外交手續ニ依リ其ノ認證謄本ヲ各締約國ニ送付シ 同時ニ其ノ寄託ノ日ヲ通知スへシ

本條約ハ右ノ日ヨリ十二月ヲ經テ 之ヲ廢棄シタル國ノ全領域ニ亙リ效力ヲ失フモノトス

本條約ノ廢棄ハ 同通告書中ニ明示アルニ非サレハ 千九百四年五月十八日ノ協定ノ廢棄ヲ當然 伴フモノニ非ス 締約國ハ同協定ヲ廢棄スル爲ニハ同協定第八條ニ從ヒ手續ヲ爲スへキモノトス

    第 十 一 條

締約國カ本條約ヲ其ノ殖民地、屬地 又ハ領事裁判管轄地域ノ一箇 又ハ數箇ニ實施セムスルトキハ 該國ハ文書ヲ以テ其ノ意思ヲ通告スヘク 該文書ハ佛蘭西共和國政府ノ記錄ニ寄託セラルヘシ 同政府ハ外交手續ニ依リ其ノ認證謄本ヲ各締約國ニ送付シ 同時ニ其ノ寄託ノ日ヲ通知スへシ

該通告書ニ於テハ其ノ殖民地、屬地 又ハ領事裁判管轄地域ニ付 本條約ノ目的ニ關シ該地方ニ於テ制定セラレタル法令ヲ通知スヘキモノトス 將來 右地方ニ於テ制定セラルルコトアルヘキ法令ハ第四條ニ従ヒ均シク之ヲ締約國ニ通知スヘキモノトス

本條約ハ 通告書寄託ノ日ヨリ六月ヲ經テ 其ノ通告書ニ定ムル殖民地、屬地 又ハ領事裁判管轄地域ニ實施セラルヘシ

本條第一項ノ通告ヲ爲ス國ハ 同項ニ定ムル通告ノ目的タルヘキ殖民地、屬地 又ハ領事裁判管轄地域ニ宛テタル司法事務ノ囑託ニ付 其ノ認容スル囑託方法ヲ他ノ各締約國ニ宛テタル通告ヲ以テ知ラシムヘシ

締結國中ノ一カ其ノ殖民地、屬地 又ハ領事裁判管轄地域ノ一箇 又ハ數箇ニ付 本條約ヲ廢棄スル場合ニ於テハ 本條第一項ニ定ムル形式 及 條件ニ依リ之ヲ爲スへシ 右廢棄ハ 廢棄通告書ヲ佛蘭西共和國政府ノ記錄ニ寄託シタル日ヨリ十二月ヲ經テ 其ノ效力ヲ生スへシ

締約國カ其の殖民地、屬地 又ハ領事裁判管轄地域ノ一箇 又ハ數箇ニ付 本條約ニ加入シタルトキハ 當然ニ 且 特別ノ通告ナクシテ 千九百四年五月十八日ノ協定ニ 共ニ 且 全部 加入シタルコトト爲ルヘク 同協定ハ本條約ト同日ヲ以テ右地方ニ實施セラルヘシ 但シ締約國カ其ノ殖民地、屬地 又ハ領事裁判管轄地域ノ一箇 又ハ數箇ニ付 本條約ヲ廢棄シタルトキハ 廢棄通告書中ニ明示アルニ非サレハ 千九百四年五月十八日ノ協定ノ廢棄ヲ當然 伴フモノニ非ス 尚 千九百四年五月十八日ノ協定ノ署名國カ同協定ニ對スル其ノ殖民地ノ加入ニ關シテ爲シタル宣言ハ維持セラルルモノトス

尤モ本條約實施ノ日以後ハ 締結國ノ殖民地、屬地 又ハ領事裁判管轄地域ニ關スル右協定ノ加入 又ハ廢棄ハ 本條ノ規定ニ從ヒテ之ヲ爲スへシ

    第 十 二 條

本條約ハ千九百十年五月四日ノ日附ヲ有スルモノトシ 醜業ヲ行ハシムル爲ノ婦女賣買禁止ニ關スル第二囘會議ニ代表セラレタル國ノ全權委員 來ル七月三十一日迄ニ巴里ニ於テ之ニ署名スルコトヲ得

 

千九百十年五月四日 巴里ニ於テ本書一通ヲ作成シ 其ノ認證謄本ハ各署名國ニ交付セラルヘシ

 獨逸國

  (第六條ヲ留保ス)

   アルブレヒト、レンツェ       (印)

   クルト、ヨエル             (印)

 墺地利國 及 洪牙利國

   墺地利洪牙利國大使 アー、ネメス   (印)

 墺地利國

   省參事官 ヨット、アイヒホッフ    (印)

 洪牙利國

   省參事官 ゲー、レルス       (印)

 白耳義國

   ジュール、ルジューヌ        (印)

   イシドール、モー          (印)

 伯剌西爾

  (第五條ヲ留保ス)

   ジェー、セー、ド、ソーザ、バンデイラ    (印)

 丁抹

   セー、エー、ゴールド          (印)

 西班牙國

   オクタヴィオ、クァルテーロ     (印)

 佛蘭西國

   エル、ベランジェ            (印)

 大不列顚國

   フランシス、バーティー       (印)

 伊太利國

   ジェー、ケー、ブヅァッティ       (印)

   ジェロラモ、カルヴィ        (印)

 和蘭

   ア、ド、ステュエルス          (印)

   レターン、マカール            (印)

 葡萄牙

   伯爵 ド、ソーザ·ローザ         (印)

 露西亞國

   アレキシス、ド、ベルガルド       (印)

   ヴラディミール、デリュギンスキー   (印)

 瑞典

   エフ、ド、クレンケル          (印)

 

     最終議定書

 右ノ各全權委員ハ 本日ノ條約ニ署名スルニ當リ 本條約第一條、第二条 及 第三条ハ左ノ趣旨ニ依リ了解スヘキモノナルコト 竝 其ノ趣旨ニ從ヘハ締約國カ其ノ立法權ヲ行使シ 以テ旣定ノ約定ヲ實施シ 又ハ之ヲ補足スルノ措置ヲ執ラムヌコトハ希望スヘキモノナルコトヲ指示スルヲ有益ナリト認ム

(イ)第一条 及 第二条ノ規定ハ締約国カ他ノ類似ノ犯罪 例ヘハ詐欺 又ハ强制手段ヲ以テセサル成年者ノ勸誘ノ如キモノヲ處罰スルニ付 絶對ニ自由ナルコト當然ナリトノ趣旨ニ於テ之ヲ最小限度ト看做スコトヲ要ス

(ロ)第一条 及 第二条ニ定ムル犯罪ノ禁止ニ付テハ「未成年ノ婦女、成年ノ婦女」ナル語ハ満二十歳未滿 又ハ以上ノ婦女ヲ指スモノト了解セラルヘシ 但シ何レノ國籍ノ婦女ニ對シテモ同一ニ適用スルコトヲ條件トシテ法令ヲ以テ保護年齡ヲ更ニ高ムルコトヲ得

(ハ)右犯罪ノ禁止ニ付テハ 法令ニハ常ニ自由刑ヲ規定スルコトヲ要ス 但シ他ノ主刑又ハ附加刑ノ倂科ヲ妨クルコトナシ 尚 法令ニハ被害者ノ年齢関係ヲ別トシ 例ヘハ第二条ニ定ムル情狀 又ハ被害者カ実際 醜行ニ從事スルニ至ラシメラレタル事實等 当該事件ニ付 生スルコトアルヘキ種種ノ加重情狀ヲ考量スルコトヲ要ス

(ニ)婦女ヲ其ノ意ニ反シテ醜行ヲ業トスル屋内ニ監禁シタル場合ハ 其ノ重大ナルニ拘ラス專ラ國内立法事項ニ屬スルノ故ヲ以テ之ヲ本条約中ニ規定セサリシモノナリ

本議定書ハ本日ノ条約ノ一部ト看做サルヘク 且 之ト同等ノ效力、價値及期間ヲ有スルモノトス

 

千九百十年五月四日 巴里ニ於テ本書一通ヲ作成シ 之ニ署名ス

 獨逸國

 

   アルブレヒト、レンツェ       (印)

   クルト、ヨエル             (印)

 墺地利國 及 洪牙利國

   墺地利洪牙利國大使 アー、ネメス   (印)

 墺地利國

   省參事官 ヨット、アイヒホッフ    (印)

 洪牙利國

   省參事官 ゲー、レルス       (印)

 白耳義國

   ジュール、ルジューヌ        (印)

   イシドール、モー          (印)

 伯剌西爾

   ジェー、セー、ド、ソーザ、バンデイラ    (印)

 丁抹

   セー、エー、ゴールド          (印)

 西班牙國

   オクタヴィオ、クァルテーロ     (印)

 佛蘭西國

   エル、ベランジェ            (印)

 大不列顚國

   フランシス、バーティー       (印)

 伊太利國

   ジェー、ケー、ブヅァッティ       (印)

   ジェロラモ、カルヴィ        (印)

 和蘭

   ア、ド、ステュエルス          (印)

   レターン、マカール            (印)

 葡萄牙

   伯爵 ド、ソーザ·ローザ         (印)

 露西亞國

   アレキシス、ド、ベルガルド       (印)

   ヴラディミール、デリュギンスキー   (印)

 瑞典

   エフ、ド、クレンケル          (印)

 

↑醜業ヲ行ハシムル為ノ婦女売買禁止ニ関スル国際条約・御署名原本・大正十四年・条約第一八号 https://www.digital.archives.go.jp/das/image/F0000000000000029838