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【工事中】戦前期外務省記録 支那事変関係一件 第14巻(再編纂前復元)(平仮名·新漢字表記)

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[背表紙]

外務省記録 支那事変関係 一件 第14巻 門·類·項·目·号:A.1.1.0.30

[表紙]

外務省記録 支那事変関係 一件 第14巻

 

https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/B02030537300

 

[仕切の書き込み]

再 編さんの事
昭和13年7月15日
      五相会議決定

 

https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/B02030537400

 

   目次

✕(1) 対支院官制 →A.1.1.0.31

   昭和13年4月24日

(2) 五相会議議題に関する件

   昭和13年6月21日

(3) 対支政務指導統一覧表

(4) 陸海外三省間覚書

(5) 戦争指導上速に確立徹底を要すべき根本方針

   昭和13年6月20,22,23日

(6) 蒋政権にして屈服せざる場合の対策

   昭和13年6月21,22,23,24日

(7) 蒋政権屈服の場合の対策

   昭和13年6月22,23,24日

✕(8) 防共協定の強化工作要領案 →B.1.0.0.J/X2-5

   昭和13年7月19日

(9) 対ソ工作要領案

   昭和13年6月21日

(10) 英·仏·ソ三国共同して強制干渉をなさんとする噂なるに鑑み、これが対策案

   昭和13年6月23日

(11) 今後の支那事変指導方針

   昭和13年6月24日

(12) 時局に伴う対支謀略

   昭和13年6月24日、7月8日

✕(13) 内閣情報部拡大強化私案 →M.1.1.0.5

   昭和13年6月24日

(14) 今後の支那事変指導方針(決定)

   昭和13年6月24日

(15) 支那中央政府樹立方策

   昭和13年6月25日

(16) 第四、内政

   昭和13年6月25日

(17) 支那中央政府樹立指導方策

   昭和13年6月27,29日、7月4,12,15日

(18) 時局外交に関する陸軍の希望

   昭和13年6月27,29日、7月3日

✕(19) 宣伝機関 →M.1.1.0.5

   昭和13年6月28日

✕(20) 対支国策統合機関に関する陸軍の希望 →A.1.1.0.31

   昭和13年6月29日

(21) 中支金融緊急対策

   昭和13年7月5日

(22) 支那中央政府屈服の場合の対策

   昭和13年7月8日

(23) 支那中央政府にして屈服せざる場合の対策

   昭和13年7月8日

(24) 差当りの対支外交方針

   昭和13年7月8日

(25) 時局に伴う対支謀略

   昭和13年7月8日

(26) 五相会議決定事項事務手続きに関する件

   昭和13年7月9日

(27) 五相会議議題事務手続き予定表

   昭和13年7月9日

(28) 英独大使の和平斡旋申込に対する態度

   昭和13年7月12日

(29) 北支における日独経済提携に関する協定案

   昭和13年7月10日

(30) 日支関係調整条件方針案

   昭和13年7月12日

(31) 支那中央政府樹立指導方策

   昭和13年7月15日

(32) 支那政権内面指導大綱(中華民国々家組織大綱)

   昭和13年7月19日

✕(33) 日·独·伊防共協定研究方針 →B.1.0.0.J/X2-5

   昭和13年7月19日

✕(34) 張鼓峰事件処理に関し採りたる手続き →A.4.6.1.MA/X2-1-4

   昭和13年7月22日

(35) 訂正事項

   昭和13年7月22日

(36) 対支特別委員会

   昭和13年7月26日

(37) 日独防共協定強化に関する件 →B.1.0.0.J/X2-5

   昭和13年7月26日

✕(38) 対支中央機関設置の件 →A.1.1.0.31

   昭和13年7月28日

(39) 対支特別委員会に関する解釈の件

   昭和13年7月29日

✕(40) 対支問題処理機関設置の件 →A.1.1.0.31

   昭和13年7月30日 

(41) 新日支関係調整要綱

   昭和13年7月30日

✕(42) 時局処理大綱 →A.4.6.1.MA/X2-1-4

   昭和13年8月2日

✕(43) 張鼓峰事件対策 →A.4.6.1.MA/X2-1-4

   昭和13年8月3日

✕(44) 対ソ時局処理大綱 →A.4.6.1.MA/X2-1-4

   昭和13年8月3日

(45) 五相会議決定事項の発表に関する件

   昭和13年8月7日

✕(46) 日·独·伊同盟案に対する意見

   昭和13年8月8日 →B.1.0.0.J/X2-5

✕(47)対支時局処理機関設置に関する件 →A.1.1.0.31

   昭和13年8月17,22日

(48) 対英懸案解決に関する件

   昭和13年8月19日

(49) 時局宣伝処理に関する件

   昭和13年8月23,26日

(50) 連合委員会樹立要綱

   昭和13年9月9日

✕(51) 五相会議連絡委員会設置に関する件 →A.1.1.0.31へ

   昭和13年10月7日

(52) 日支新関係調整要項

   昭和13年11月25日

 

https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/B02030537500

 

【極秘】

            (昭和13. 4. 24)

     対支院官制

第1条 

 

https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/B02030685100

 

極秘
五相会議議題に関する件

        昭和13. 6. [✕20✕]<21>

五相会議においては取り敢へず左記諸問題を議するものとす。所要に応じ、さらに問題を追加または変更することあり。

左記

第一、蒋政権の始末(原案 陸軍大臣

1. 蒋政権屈服し来たりたる場合の対策

(イ) 蒋政権屈服の条件
[上部余白書き込み:各種の場合を考へず]

(ロ) 新興中央政権との関係

(ハ) 停戦に関する事項

2. 蒋政権にして地方政権に転落するも依然屈服せざる場合の対策

3. 蒋政権崩壊分裂のため軍事以外の謀略等の措置[✕(外務)✕]

第二、中央政府の設立要領(原案 陸軍大臣

 1. 性質

 2. 機構

 3. 組織

 4. 範囲

 5. 樹立の時期·方法

 6. 承認の時期·条件

第[✕三✕]<五>、対支機関の設置要領(原案[✕総理✕][✕<外務>✕]<イキ>大臣)

1. 中央機関

2. 出先機関[上部書込み]急がず。
 ただし出先機関に関しては陸軍大臣より要望を提示す。

第[✕四✕]<三>、外交(原案 外務大臣

1. 防共協定の強化工作

2. ソ国に対[✕しては事変に参加せしめざる工作
 ただし日ソ不可侵条約は締結せざること✕]する工作

3. 英国に対[✕しては帝国の方針に順応せしむる工作、特に中南支における日英経済関係の調整および今後の作戦に伴ひ生ずる摩擦の防止策✕]する工作

4. 米国に対[✕しては対日感情の是正、経済的友好関係の増進工作✕]する工作

第[✕五✕]<四>、内政(原案 総理大臣、大蔵大臣)

1. 生産力の拡充
 向後4年を目標とする重要産業の振興方策

2. 戦時態勢の強化

(イ) 国民精神の緊張、戦争意志の強化方策

(ロ) 物資の運用、輸出入の促進、物価の抑制、消費配給の統制等の強化

(ハ) 銃後の安定、事変に伴ふ衰退産業の保護、失業救済等の方策

(ニ) 国家総動員法の実施に関する事項

<(ホ) 実▢の方法、機関に関する事項>

備 考

 一、各議題の内容は一例を示したるものなり。

 二、各議題の原案は通常、予め五相に送付す。

 

https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/B02030537700

 

総理に渡して可。

五省会議にて議論す。(但し六、五のイを除く)

【極秘】【参拾部の内五号】  昭13. 6. 20

海軍に送付せず。         第2課

  戦争指導上、速やかに確立·徹底を要すべき

  根本方針

  本事変に対し有終の結を与ふるは今後中央の努力にあり。これがためには戦争指導に関する機構の一元強化と方針の確立徹底とより急なるはなし。

 今や情勢の推移ならびに内外の事態に考へ、戦争指導上、確定統一を要する根本方針を列挙すれば左の如し。

 1.本事変の本質および目的

 本事変は消極的には満洲事変の終末戦たるとどもに、積極的には東亜解放の序幕戦たるの意義を有し、皇国一貫の国是たる道義日本の確立と東洋文化の再建設とのため、歴史的一段階を画す[×るにあり×]<べきものなり>。

 しかして国是の第一次目標たる道義日本の確立は、今次事変により北支を日満と一環の国防圏に包含することにより、概ねこれが実践力具有の基礎を概成すべく、また第二次目標たる東洋文化の再建設には、まづ東亜を物心における欧米依存の状態より解放するを要し、これがため引き続きソ英問題の処理を必須とし、 一般の情勢上、対ソ処理を先決となす。<?>

 2.日支関係の根本基調

 日支は 東洋文化の再建をもつて共同の目標とし、相互に善隣の関係に置かるべきものなり。東亜において日本は先覚指導者として、また支那は大いなる実在として、それぞれ天賦の使命・実相を有し、相互に尊重せらるべきものなり。

 日支が共同目標に向かひおのおのその使命を遂行せんがためには、日本は日·満·北支を範域とする強力国防圏の確立を必要とし、また支那は欧米依存の状態より脱却して国内の治安開発に邁進するの要あり。しかして日本が北支を国防圏として考ふるの程度は、共同防衛の見地よりする戦略的考慮のほか、現地の福利増進を顧念しつつ、日本の不足資源を彼地に求むるをもつて基準とすべく、また支那が国内を開発するの要は、日支の間、有無相通、長短相補、もつて生産、消費、交易等の関係を律するにあり。

 3.北支の皇国に対する地位

 河北省および山西省の各北半(概ね正太線)以北<および山東省>は資源開廃上ならびに軍事上の見地において、[×また山東省半島部は軍事上の見地において✕]<?>皇国の自存ならびに日満国力結成、即ち道義日本の大局的生存のため絶対不可欠の範域なり。

 したがつて右範域を政治地理的に包含する最小限度の地域、即ち北支五省黄河以北 河南省を含む)は、平戦両時を通じ日満と一環の結合内に置かるべきものなり。

 しかして蒙疆の地域は対ソの見地より我が前線にありて防共防露の一方面として準備せらるべき地域なり。

 4.本事変の解決に方り確定すべき根本事項

(その形式は解決の情勢により多少の変化あるべし)

第一 北支資源の開廃利用

第二 北支および上海における日支強度結合地帯

   の設定

   蒙疆の対ソ特殊地位の設定

第三 日支提携一般問題

  (イ) 善隣偃武

  (ロ) 共同防衛

  (ハ) 経済提携

 即ち指導機構の設定は主として北支に限定すべく、中支は上海を除くの外、前掲第三、一般問題の範囲に於て考定せらるべきものなり。

 これを要するに、北支にありては軍事および資源上、支那主権に対する我が優位の設定を基本観念とし、その他にありては日支平等互恵の観念において便宜を得る程度をもつて満足すべきものとす。

 五、全面的に守備の態勢に転移すべき情勢に至る

   までの間における北中支に対する指導方針

(イ) <議論せず>(山西および山東南境に截然一線を画し、北支は守備の地域となし、また中支は純作戦の地域となし、もつて守備と作戦との混淆より来る諸弊を芟除す。

 即ち北支には一軍の下に長期駐屯の態勢に兵団を配置し(蒙疆は対ソの見地より特殊性を保たしむ) また中支には一方面軍の下に不覇独立、純作戦の態勢に兵団を部署す。

(ロ) 政務の指導は一般に現地政権発達の段階に応ぜしむるみのとす。

 当分、北中支分治の形態を存続し(境界は前項に同じ) これが統合調整並び統一促進のため中央に一機関を設け、東京よりの指導力を一層強化す。漸を逐うて現地特務部業の大部を軍の手裡より分離し、かつ中央政府樹立後、中央機関を現地に推進す。

 六、<全部議論せず>治安指導に關する方針

(イ) 北支の治安形態関する基本観は面なり。

 ただし当分の間、南部北支(概ね正太線東西ノ線(含まず)以南)はを有する線とす。

 山西は当分の間、治安の範囲を低地および交通幹線に限定し、山地に対しては長囲の策を採る。

(ロ) 中支の治安形態に関する基本観念は線なり。

 線は作戦間にありては軍後方連絡線の保持を主義となし、また守備転移の後にありては敵の侵入阻止線たるの主義をも包含す。

 ただし南京、上海、杭州の三角地帯は概ね面とす。

 七、戦争指導の強化統一に関する措置

 本事変以来、国家最大の欠陥は戦争指導機構の不統一ないし不活動にあり。今にしてこれを是正せずんば本事変の成果を逸し、さらに近き将来に到来すべき歴史的世界転機に一籌を輸せんことを虞るるのみならず、事変に継いで我が危急存亡の事態発生の懸念すらなきにあらず。職を中央に奉ずる者、正に猛省の要あり。

 即刻強化[×具視×]<実現>を要すべき要項、左のごとし。

   皇道精神の確立徹底

   戦争指導の一元強化

   統帥力の強化ならびに統一

   総動員指導権の確立

   経済戦および思想戦の基礎確立

 

【極秘】【参拾部の内壱七号】 昭13.6.22

   戦争指導上、速かに確立·徹底を要すべき

   根本方針

 本事変に対し有終の結を与ふるは、今後中央の努力にあり。これがためには戦争指導に関する機構の一元強化と方針の確立・徹底とより急なるはなし。

  その1 戦争指導に関する根本方針

 1.本事変の本質および目的

 本事変は消極的には満洲事変の終末戦たるとともに、積極的には東亜解放の序幕戦たるの意義を有し、皇国一貫の国是たる道義日本の確立と東洋文化の再建設とのため、歴史的一段階を画すべきものなり。

 しかして国是の第一次目標たる道義日本の確立は、今次事変により北支を日満と一環の国防圏に包含することにより、概ねこれが実践力具有の基礎を概成すべく、また第二次目標たる東 洋文化の再建設には、まづ東亜を我が皇道を中核とする物心両面の共に導き、もつて不幸なる欧米依存の状態より解放するを要す。 これがためには真日本の顕現、満洲国の善政、日満支の提携[×に引続き×]<ならびに>ソ英問題の処理を必須とし、ソ英問題は一般の情勢上、対ソ処理を先決となす。

 2.日支関係の根本基調

 日支は東洋文化の再建をもつて共同の目標とし、相互に善隣の関係に置かるべきものなり。東亜に於て日本は先覚指導者として、また支那は大いなる実在として、それぞれ天賦の使命・実相を有し、互ひに尊重せらるべきものなり。

 日満支が共同目標に向かひおのおのその使命を遂行せんがためには、日本は日、満、北支を範域とする強力防圏の確立を必要とし、また支那は欧米依存の状態より脱却して国内の治安・開発に邁進するの要あり。しかして日本が北支を国防圏として考ふるの程度は、共同防防衛の見地よりする戦略的考慮のほか、現地の福利増進を顧念しつつ、日本の不足資源を彼地に求むるをもつて基準とすべく、また支那が国内を開発するの要は、日支の間、有無相通、長短相補、もつて生産、消費、交易等の関係を律するにあり。

 3.北支および中南支の皇国に対する地位

  (イ) 北支

 河北省および山西省の各北半(概ね正太線)以北および山東省は、資源開発上ならびに軍事上の見地において、皇国の自存ならびに日満国力結成、即ち道義日本の大局的生存のため、絶対不可欠の範域なり。

 したがつて右範域を政治地理的に包含する最小限度の地域、即ち北支五省黄河以北 河南省を含む)は平戦両時を通じ日満と一環の結合内に置かるべきものなり。

 しかして蒙疆の地域は対ソの見地より我が前線にありて防共防露の一方面として準備せらるべき地域なり。

 (ロ) 中南支

 中南支は上海を除くのほか、次項第三、日支提携一般問題の範囲において考定せらるべきものなり。

 4.本事変の解決にあたり確定すべき根本事項

(その形式は解決の情勢に依り多少の変化あるべし)

第一 北支[×における軍事及び資源上、支那主権に対する我が優位確立、これがための我が援助機構の確立×]<資源の開発・利用>

第二 北支および上海における

   日支強度結合地帯の設定

   蒙疆の対ソ特殊地位の設定

第三 <△>日支提携一般問題[×(<□□…>✕]<日支平等互惠[×の観念に於て便宜を得る程度)×]を基調とする△>

  (イ) 善隣[×偃武×]<友好>

  (ロ) 共同防衛

  (ハ) 経済提携

 5.全面的に守備の態勢に転移転移すべき情勢に

   至る迄の間に於ける北中支に対する[×指導×]

   <内面指導><援助>方針

[上余白]<✔️>

 政務の[×指導×]<内面指導><援助>は一般に現地政権発達の段階に応ぜしむるものとす。

[上余白]<✔️>

[×当分、北中支分治の形態を存続し(境界は前項に同じ)×]これが統合調整並び統一促進のため、中央に一機関を設け、東京よりの指導力を一層強化す。

 <当分の間<概ね>現状[✕□□□□□□□✕]を持続するも、現地の情况に照応し>漸を逐うて現地<軍>[×特務部×]<の政務指導>業務<[✕□□□□□✕]>[×の大部を軍の手裡より分離し、かつ中央政府樹立後、中央機関を現地に推進す×]を整理す。

  その2 戦争指導機構の強化統一

      に関する措置

 本事変以来、国家最大の欠陥は戦争指導機構の不統一ないし不活動にあり。今にしてこれを是正せずんば本事変の成果を逸し、さらに近き将来に到来すべき歴史的世界転機に一籌を輸せんことを虞るるのみならず、事変に継いで我が危急存亡の事態発生の懸念すらなきにあらず。職を中央に奉ずる者、正に猛省の要あり。

 即刻、強化実現を要すべき要項、左のごとし。

   皇道精神の確立徹底

   戦争指導の一元強化

   総動員指導権の確立

   経済戦および思想戦の基礎確立

 

 【極秘】

参拾部の内第壱七号      昭13. 6. 23

   戦爭指導上、速かに確立·徹底を要すべき

   根本方針

 本事変に対し有終の結を与ふるは今後中央の努力にあり。これがためには戦争指導に関する方針の確立徹底と機構の一元強化とより急なるはなし。

  その1 戦争指導に関する根本方針

 1.本事変の本質および目的

 本事変は消極的には満州事変の終末戦たるとともに、積極的には東亜解放の序幕戦たるの意義を有し、皇国一貫の国是たる道義日本の確立と東洋文化の再建設とのだめ、歴史的一段階を画すべきものなり。

 しかして国是の第一次目標たる道義日本の確立は、今次事変により北支を日満と一環の国防圏に包含することにより、概ねこれが実践力具有の基礎を概成すべく、また第二次目標たる東洋文化の再建設には、まづ東亜を我が皇道を中核とする物心両面の共栄に導き、もつて不幸なる欧米依存の状態より解放するを要す。これがためには真日本の顕現、満洲国の善政、日満支の提携ならびにソ英問題の処理を必須とし、ソ英問題は一般の情勢上、対ソ処理を先決とす。

 2.日支関係の根本基調

 日支は東洋文化の再建をもつて共同の目標とし、相互に善隣の関係に置かるべきものなり。東亜において日本は先覚指導者として、また支那は大いなる実在として、それぞれ天賦の使命·實相を有し、相互に尊重せらるべきものなり。

 日満支が共同目標に向かひおのおのその使命を遂行せんがためには、日本は日·満·北支を範域とする強力国防圏の確立を必要とし、また支那は欧米依存の状態より脱却して国内の治安開廃に邁進するの要あり。しかして日本が北支を国防圏として考ふるの程度は、共同防衛の見地よりする戦略的考慮のほか、現地の福利増進を顧念しつつ、日満の不足資源を彼地に求むるをもつて基準とすべく、また支那が国内を開廃するの要は、日満支の間、有無相通、長短相補、もつて生産、消費、交易等の関係を律するにあり。

 3.北支および中南支の皇国に対する地位

  (イ) 北支

 河北省および山西省の各北半(概ね正太線)以北および山東省は、資源開発上ならびに軍事上の見地において、皇国の自存ならびに日満国力結成、即ち道義日本の大局的生存のため、絶対不可欠の範域なり。

 したがつて右範域を政治地理的に包含する最小限度の地域、即ち北支五省黄河以北 河南省を含む)は、平戦両時をじ日満と一環の結合内に置かるべきものなり。

 しかして蒙彊の地域は対ソの見地より我が前線にありて防共防露の一方面として準備せらるべき地域なり。

  (ロ) 中南支

 中南支は上海を除くのほか、次項第三、日支提携一般問題の範囲において考定せらるべきものなり。

 4.本事変の解決にあたり確定すべき根本事項

(その形式は解決の情勢により多少の変化あるべし)

第一 北支資源の開発利用

第二 北支及び上海に於ける

   日支強度結合地帯の設定、

   蒙疆の対ソ特殊地位の設定

第三 日支平等互恵を基調とする日支提携一般問題

  (イ) 善隣友好

  (ロ) 共同防衛

  (ハ) 経済提携

 5.全面的に守備の態勢に転移すべき情勢に

   至るまでの間における北中支に対する

   内面指導方針

 政務の内面指導は一般に現地政権発達の段階に応ぜしむるものとす。

 これが統合調整ならびに統一促進のため、中央に一機関を設け、東京よりの指導力を一層強化す。当面の間、概ね現状を継続するも、現地の状況に照応し、逐次、現地軍政務指導業務を整理す。

  その2 戦争指導機構の強化統一に

      関する措置

 本事変以来、国家最大の欠陥は戦争指導機構の不統一乃至 不活動に在り。

 今にしてこれを是正せずんば本事変の成果を逸し、さらに近き将来に到来すべき歴史的世界転機に一籌を輸せんことを虞るるのみならず、事変に継いで我が危急存亡の事態発生の懸念すらなきにあらず。職を中央に奉ずる者、正に猛省の要あり。

 即刻、強化·実現を要すべき要領、左のごとし。

   皇道精神の確立·徹底

   戦争指導の一元強化

   総動員指導権の確立

   経済戦及び思想戦の基礎確立


 【極秘】
別 紙
    軍事治安に関する事項
 1.全面的に守備の態勢に転移すべき情勢に
   至るまでの間における北中支に対する
   指導方針
 山西および山東の南境に截然一線を画し、北支は守備の地域となし、また中支は純作戦の地域となし、もつて守備と作戦との混淆より来る諸弊を芟除す。即ち北支には一軍の下に長期駐屯の態勢に兵団を配置し(蒙疆は対ソの見地より特殊性を保たしむ)また中支には一方面軍の下に不覇独立、純作戦の態勢に兵団を部署す。
二、治安指導に関する方針
(イ) 北支の治安形態に関する基本観念は面なり
 ただし当分の間、治安の範囲を平地及び交通幹線に限定し、山地に対しては長囲の策を取る。
(ロ) 中支の治安形態に関する基本観念は線なり。
 線は作戰間に在りては軍後方連絡線の保持を主義となし、また守備転移の後にありては敵の侵入阻止線たるの主義をも包含す。
 ただし南京、上海、杭州の三角地帯は概ね面とす。

 

https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/B02030538000

 

【極秘】

   蒋政権にして[✕地方政権に転落するも✕]

   屈服せざる場合の対策

              昭和13. 6. 21

              <訂正案>

     第一、方 針

 蒋政権にして[✕地方政権に転落するも✕]依然屈服せざるにおいては、帝国は爾後、武力行使による早急なる事変解決に焦慮することなく、主として政略施策に期待し、政治的ニ蒋政権を圧縮するとてもにその国際的孤立を策し、もつて該政権をして遂に自潰もしくは屈服のやむなきに至らしむ。

     第二、要 領

1. 蒋政権に対する積極的武力行使の範囲は、概ね該政権をして地方政権に転落するのやむなきに至らしむる地域をもつて限度とし、適宜これを規正し、爾後、敵の反攻に備ふるととも占拠地域治安の確立を目途とし、逐次 在支兵力を整理す。

2. 親日<満>政権を[✕育成✕]<拡大>強化して成るべく速やかに支那中央政府[✕たるの実質を備ふるに至らし✕]<集大成せし>むるとともに、これにより政治的に蒋政権を地方政権に圧縮す。

3. 積極的に蒋政権の分裂·崩壊を策するため、政治、経済、外交等の各般にわたり大謀略を実施し、もつて可及的速やかにその潰滅を期す。

 右政策は帝国自ら行ふほか、 [✕支那新中央政權✕]<親日諸政権>をして協力せしむ。

[✕4. 占拠地域の国防資源は応急開発を旨とし、もつて我が物質供給状態改善に資す。✕]

[✕5✕]<4>. 第三国の権益は努めとさてこれを尊重するも、列国、特に英米等をして、速やかに蒋政権との関係を断絶し帝国と協力するにあらざればその在支権益の保持は事実上すこぶる困難なるべきを覚知せしめ、もつて蒋政権の国際的孤立化を策す。

[書き込み]第三国外交、経済、思想戦

 

【極秘】

   蒋政権にしと屈服せざる場合の対策

              昭和13. 6. 22

     第一、方 針

1. 蒋政権にして屈服せざるにおいても、帝国は国の総力を統合し[✕万全を尽くして✕]これを潰滅もしくは屈服せしむるに努む。

2. 蒋政権、地方政権に堕するもなほ屈服せざるにおいては、主として政略施策を強化し、もつて該政権をして自潰もしくは屈服のやむなきに至らしむ。

     第二、要 領

[✕1. 蒋政権を屈服せしむるため✕]<蒋政権に対し>帝国はいよいよ国力を統合し作戦、内政、外交、経済、謀略、宣伝等、国家一切の努力を挙げて右目的達成に集中するとともに、長期戦に応ずる現下必須の諸政策を強化し、もつて形而上下を通じ真に戦時態勢を実現せしむ。

[✕2. 作 戰✕]<要 領>

<1.>支那の大勢を制するに足る要衝の占據を目標とし、勉めて間隙なからしむるごとく積極作戦を指向し、連続せる敗戦感、ことにその中原喪失により、蒋政権の自潰作用と継戦意志の放棄とを誘導す。

[✕3. 謀 略✕]

<2. >作戦の進展に伴ひ政治、経済、外交、思想等の各般にわたりますます謀略を強化して、親日反共諸勢力の助成に努むるとともに、抗日勢力内部の切り崩しと、和平気分の醸成、および財政経済基礎の破綻を策し、もつて成るべく速かに蒋政権の分裂·崩壞、少くもその局地政権への転落を期す。

 右施策は帝国自ら行ふほか、特に<裏面的に[✕指導して✕]>親日支那諸政権その他を[✕して協力せしむ✕]<指導□□行はしむる[✕□□。✕]。> [✕<親日と思はれざるものを□用するを□□とす。>✕]

[✕4. 新支那中央政權の育成✕]

<3. >親日諸政権を拡大·強化するとともに、成るべく速やかにこれら政権を聚大成し一政権に統合せしめ、真に支那中央政府たるの実を挙げしめ、もつて内外をして現実に蒋政権に代はる新政権として認めざるを得ざるに至らしむ。

 帝国の新中央政権承認は一に当時の情勢によるも、該政権が中央政府の実を備ふるに至らば、なるべく速やかに行ふ。

[✕5. 外 交✕]

<4. >列国の権益は努めてこれを尊重し、好んで彼らと事を構ふるがごとき態度は避くるも、強力·明快なる事変処理の断行により、列国をして我が対支政策を事実上了得せしめ、彼らの既得権益の保持増進上、自ら我が態度を支持するのやむを得ざるに至らしめ、もつて蒋政権の孤立化を策す。

[✕その細部に関しては別に研究す。✕]

6. 蒋政権にして地方政權に転落するもなほ屈服せざるときは、帝国は爾後、直接武力による早急なる事変解決に焦慮することなく、ますます新中央政権の拡大·強化を促進するとともに、政治、外交、経済、思想的に蒋政權をいよいよ圧縮するなど、主として政略·謀略の運営により蒋政権の潰滅を計る。

 

【極秘】

   蒋政権にして屈服せざる場合の対策

              昭和13. 6. 23

     第一、方 針

 帝国はいよいよ国力を統合し、作戦、内政、外交、経済、謀略、宣伝等、国家一切の努力を挙げて蒋政権の潰滅もしくは屈服に集中するとともに、長期戦に応ずる現下必須の諸政策を強化し、もつて形而上下を通じ真に戦時態勢を実現せしむ。

     第ニ、要 領

一、要衝占拠までの対策

1. 支那の大勢を制するに足る要衝の占拠を目標とし、勉めて間隙なからしむるごとく積極作戦を指向し、連続せる敗戦感、ことにその中原喪失により、蒋政権の自潰作用と継戦意志の放棄とを誘導す。

2. 作戦の進展に伴ひ政治、経済、外交、思想等の各般にわたりますます謀略を強化して、親日反共諸勢力の助成に努むるとともに、抗日勢力内部の切り崩しと、和平気分の醸成、および財政経済基礎の破綻を策し、もつて成るべく速やかに蒋政権の分裂崩壞、少くもその局地政権への転落を期す。

 右施策は帝国自ら行ふほか、特に裏面的に親日支那諸政権その他を指導して行はしむ。

3. 親日諸政権を拡大·強化するとともに、成るべく速やかにこれら政権を聚大成し、一政権に統合せしめ、真に支那中央政府たるの実を挙げしめ、もつて内外をして現実に蒋政権に代はる新政権として認めざるを得ざるに至らしむ。

 帝国の新中央政権承認は一に当時の情勢によるも、該政権が中央政府の実を備ふるに至らば、なるべく速やかに行ふ。

4. 列国の権益は努めてこれを尊重し、好んで彼等と事を構ふるがごとき態度は避くるも、強力·明快なる事変処理の断行により列国をして我が対支政策を事実上了得せしめ、彼らの既得権益の保持増進上、自ら我が態度を支持するのやむを得ざるに至らしめ、もつて蒋政権の孤立化を策す。

 その細部に関しては別に研究す。

二、要衝占拠後の対策

 要衝を占拠するも蒋政権にしてなほ屈服せざるときは、帝国は爾後、直接武力による早急なる事変解決に焦慮することなく、ますます新中央政権の拡大·強化を促進するとともに、政治、外交、経済、思想的に蒋政権をますます圧縮するなど、主として政略、謀略の運営により蒋政権の潰滅を計る。

 

【極秘】

   蒋政権にして屈服せざる場合の対策

             昭和13. 6. 24

    第一、方 針

 帝国はますます国力を統合し、作戦、内政、外交、経済、謀略、宣伝等、国家一切の努力を挙げて蒋政権の潰滅もしくは屈服に集中するとともに、長期戦に応ずるに現下必須の諸政策を強化し、もつて形而上下を通じ真に戦時態勢を実現せしむ。

    第ニ、要 領

一、要衝占拠までの対策

1. 支那の大勢を制するに足る要衝の占拠を目標とし、勉めて間隙なからしむるごとく積極作戰を指向し、連続せる敗戦感、ことにその中原喪失により、蒋政権の自潰作用と継戦意志の放棄とを誘導す。

2. 作戦の進展に伴ひ政治、経済、外交、思想等の各般にわたりますます謀略を強化して、親日反共諸勢力の助成に努むるとともに、抗日勢力内部の切り崩しと、和平気分の醸成、および財政経済基礎の破綻を策シ以し、もつて成るべく速やかに蒋政権の分裂崩壞、少くもその局地政権への転落を期す。

 右施策は帝国自ら行ふほか、特に裏面的に親日支那諸政権その他を指導して行はしむ。

3. 親日諸政権を拡大·強化するとともに、成るべくル速やかにこれら政権を聚大成し、一政権に統合せしめ、真に支那中央政府たるの実を挙げしめ、もつて内外をして現実に蒋政権に代はる新政権として認めざるを得ざるに至らしむ。

 帝国の新中央政権承認は一に当時の情勢によるも、該政権が中央政府の実を備ふるに至らば、なるべく速やかに行ふ。

4. 列国の権益は努めてこれを尊重し、好んで彼らと事を構ふるがごとき態度は避くるも、強力·明快なる事変処理の断行により列国をして我が対支政策を事実上了得せしめ、彼らの既得権益の保持増進上、自ら我が態度を支持するのやむを得ざるに至らしめ、もつて蒋政権の孤立化を策す。

 その細部に関しては別に研究す。

二、要衝占拠後の対策

 要衝を占拠するも蒋政権にしてなほ屈服せざるときは、帝国は爾後、直接武力による早急なる事変解決に焦慮することなく、ますます新中央政権の拡大·強化を促進するとともに、政治、外交、経済、思想的に蒋政権をいよいよ圧縮するなど、主として政略·謀略の運営により蒋政権の潰滅を計る。

三、實行の方法については別に策定す。

 

https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/B02030538100

 

 

(9)
1.対ソ外交工作要領
2.時局に伴う対ソ要領
3.対英工作要領案
4.対米工作要領
5.対仏工作要領案

 

【極秘】

   対ソ工作要領案

           昭和13年6月21日

           第5課

    一、方針

ソ連邦に対しては、今次事変に参加せしめざるごとく諸般の工作を実施す。

    二、要領

1. 武力的に対ソ弾撥力の保持増進を図り、対ソ強硬の輿論を喚起す。

2. 謀略的手段によりソ連邦内部、特にソ軍の攪乱を策す。

3. ソ連邦の不信行為および実力の薄弱性を海外、就中、英、米、仏に対して宣伝して、その国際的地位を低落せしむ。

4. 日独伊防共勢力の強化拡充、英·米·仏対ソの離間により、反ソ包囲政策を具現す。

5. 直接対ソ外交工作は、毅然たる態度と不断の迫力とをもつてこれに臨み、彼の参戦または対支援助企図を封殺す。(細部別紙)

 

   対ソ外交工作要領

           昭和13年6月21日

           第5課

1. 諸懸案一括解決問題に対しては是々非々主義を以てこれに臨み、必ずしもこれが解決を急がず。

2. 利権問題および領事館撤去強要問題に対しては、毅然として条約上の権利を主張す。これがため多少の営利上の損失はやむを得ず。

3. 満ソ国境衝突事件に対しては、努めて満ソ間の現地解決によらしむるも、日本軍に関する事件は東京においてもこれが解決に当たる。その態度は飽くまで強硬を旨とするも、事態の不拡大を期す。

4. 国境諸地点の帰属問題は必ずしもこれを急がず。

5. 邦人邦船等の拉致または抑留問題に対しても、飽くまで毅然たる態度をもつて釈放を要求す。この際、誠意の認むべきものあらば、我方抑留ソ人またはソ船を交換的に釈放するも支障なし。ただし我方より和協的態度を示すべからず。

6. 一般にソ側の不法行為に対しては、我が方も能ふ限りの報復手段を採る。ただし終局において実力行使を決意するを要す。

 

【極秘】

   時局に伴ふ対ソ謀略

    方針

ソ連邦の対日積極的行動を封止する目的をもつて所要の謀略を行ふ。

    要領

1. ソ連邦の内部不安をますます激化せしめて、対日積極的行動の自信を喪はしむ。

2. ソ連邦の対外不信用を誘発·暴露し、列国との連衡を困難ならしむ。

 

【極秘】

   対英工作要領案

    方針

帝国は事変解決のため確乎たる決意とその実相を形而上下にわたり具体的に顕示し、英国をして蒋政権を放棄するのやむなき情勢に立ち入らしむ。

    施策

1. 漢口、次いで広東を攻略し、対支連絡を遮断し、かつ英国の南方勢力に対し武力的威嚇を与ふ。

2. 我国力、特に経済耐久力を充実し、かつ新興支那中央政権の確立実現を期す。

3. 拝英的要人を覚醒し、自由主義者による反戦思想の醸成を警め、また対英出先外交経済宣伝機関を刷新し、 英国要路に我が対支政策貫徹に関する信念と我が実力とを認識せしむ。

4. 無用なる衝突を避け、感情的小策を弄せず、従つて在支権益等に関しては作戦および将来の政策に支障なき限り処理し、かつ不期の摩擦を防止するごとく工夫す。

 

【極秘】

   対米工作要領

    一 方針

米国をして本事変間、中立的態度を維持せしめ、特に経済的友好関係を持続せしむ。

    二 施策

1. 適切なる宣伝、特に現実の事態を事実によりて宣伝し、対日観の是正に努む。

 これがため宣伝機関を統合強化し、特に在米機関を充実し、実効ある方法を採るを要す。

2. 米権益の保全につき最善の努力を払ふを要す。これがため損害の調査、復旧につき処理を迅速ならしむ。
布教、教育および通商再開の解決
新政権の施政において努めて門戸開放を妨げざるごとくすること。
3. 経済的友好関係の維持増進は、対日観の是正、特に米権益保全の事実により獲らるべきも、なほ各般の手段を尽くし通商振興、米資導入を計るを要す。就中、新政権地域に対する米資導入は価値あり。

4. 適時、外交的折衝により、事変に関する日米関係の調整につき工作す。本工作の主眼は、米国の中立維持における既成事実を容認せしむるにあり。

 

【極秘】

   対仏工作要領案

           昭和13年6月22日
           仏班

仏国に対しては左記2項を適宜按排活用して、仏国自らをして反蒋に転向せしむるを第一義とするも、その反省せざるや断乎、威嚇工作を敢行して、反蒋親日への転向を図る。

1. 懐柔案

仏国の在支権益、特に雲南、広西等、支那西南部における利権の保証ならびに助成を交換条件とする、仏国の反蔣政策への転向を要望す。

2. 威嚇案

仏国にして依然、親蒋援支政策を採るにおいては、海南島を占領し雲南鉄道を爆破して、これを威嚇戦慄して反蒋親日に転向せしむ。

3.仏ソの離間を図る。

 

https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/B02030538400

 

【極秘】

         昭和13年6月23日

         軍務課

   英·仏·ソ3国共同強制干渉をなさんと

   する噂あるに鑑み、これが

   [✕実現を見る場合の✕]対策<案>

    方針

 干渉挫折を策し、成らざれば積極的にこれを排除し、現戦争指導の方針を変更せず。

    対策

1.全般的対策

(1) 干渉に関する3国間提携の内情を精査し、その機微に対応するの策を誤らざるを要す。

(2) 速やかに防共軸の強化を図り、独·伊をして背後より牽制せしむるとともに、我が経済的国防態勢を確立す。

(3) 米国をして共同戦線に加入せしめざるごとく工作す。

(4) 共同結束の度に応じ、なし得れば相互離間、就中、利をもつてする英の離間を策す。

(5) 干渉度濃化を誘発せざる様、慎重なる注意を払ひつつ、輿論を喚起し国民の覚悟を一層強固ならしむ。

2.共同して抗議し来る場合

 毅然としてこれを排撃し我が決意を示すとともに、主として英·仏に対し集結において我に抗することの不利なる所以を自覚せしむ。

3.共同して経済的に圧迫し来たる場合

 その兆候を察知せば、これを機会として国内経済機構の戦時態勢化を断行し、日·満·北支の産業拡充、海外貿易の振興等、予定の経済戦対策を強化·促進す。

4.共同武力をもつて圧迫し来たる場合

 現戦争指導方針に準拠し、かつ英·仏に対しても我が国防威力圏内において積極的に対応す。この際、資源の獲得をも考慮す。

 

https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/B02030538500


【極秘】今後の支那事変指導方針
             昭和13年6月24日
支那事変の直接解決に国力を集中指向し、概ね本年中に戦争目的を達成することを前提とし、内外諸般の施策をして総てこれに即応せしむ。

 


【極秘】今後の支那事変指導方針
             昭和13年6月24日
             五相会議決定
一、支那事変の直接解決に国力を集中指向し、概ね本年中に戦争目的を達成することを前提とし、内外諸般の施策をして総てこれに即応せしむ。
二、第三国の友好的橋渡しは、条件次第にて之を受諾するを妨げず。

 

https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/B02030538600


JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.B02030537700
支那事変関係一件 第十四巻(A-1-1-0-30_014)(外務省外交史料館