朕ここに帝国議会開院の式を行ひ、貴族院および衆議院の各員に告ぐ。
帝国と中華民国との提携協力により東亜の安定を確保し、もつて共栄の実を挙ぐるは、これ朕が夙夜軫念措かざる所なり。中華民国深く帝国の真意を解せず濫に事を構へ、遂に今次の事変を見るに至る。朕これを憾[うらみ]とす。今や朕が軍人は百艱を排してその忠勇を致しつつあり。これ一に中華民国の反省を促し速やかに東亜の繁栄を確立せむとするに他ならず。
朕は帝国臣民が今日の時局に鑑み忠誠公に奉じ、和協心を一にし、賛襄もつて所期の目的を達成せむことを望む。
朕は国務大臣に命じて特に時局に関し緊急なる追加予算案および法律案を帝国議会に提出せしむ。卿ら克[よ]く朕が意を体し和衷協賛の任を竭[つく]さむことを努めよ。
◯昭和十二年
九月四日 帝國議會開院式勅語
帝國ト中華民國トノ提攜協力ニ依リ東亞ノ安定ヲ確保シ以テ共榮ノ實ヲ擧クルハ是レ朕カ夙夜軫念措カサル所ナリ中華民國深ク帝國ノ眞意ヲ解セス濫ニ事ヲ構ヘ遂ニ今次ノ事変ヲ見ルニ至ル朕之ヲ憾トス今ヤ朕カ軍人ハ百艱ヲ排シテ其ノ忠勇ヲ致シツツアリ是レ一ニ中華民國ノ反省ヲ促シ速ニ東亞ノ繁栄ヲ確立セムトスルニ他ナラス
朕ハ帝國臣民カ今日ノ時局ニ鑑ミ忠誠公ニ奉シ和協心ヲ一ニシ賛襄以テ所期ノ目的ヲ達成セムコトヲ望ム
朕ハ國務大臣ニ命シテ特ニ時局ニ關シ緊急ナル追加豫算案及法律
案ヲ帝國議会ニ提出セシム卿等克ク朕カ意ヲ體シ和衷協賛ノ任ヲ竭サムコトヲ努メヨ
↑第七十二回帝国議会開院式勅語 https://www.jacar.archives.go.jp/das/meta/A14110371700
より
JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A14110371700、(国立公文書館 勅00007100)