【秘】
花押 [財部彪 海軍大臣]
震災後における刑事事犯
およびこれに関連する事項調査書
司法省刑事局
第十章 軍隊の行為について
第一 概 説
一、変災後、警備の任にあたれる軍隊にして、鮮人その他を殺傷したりとの風評なきにあらず。ことに江東方面においては、軍隊において殺傷の行為をたくましうしたるため、民衆これにならひて殺傷をあへてしたりとの巷説あり。しかれども調査の結果によれば、これに関する事実は大要左のごとくにして、軍隊の責に帰すべきものこれなきがごとし。
第二 亀戸警察署構内における
社会主義者等殺害事件
一、九月二日午後七時ごろより亀戸警察署管内一帯に「海嘯来たる」と流布する者あり。間もなく「海嘯の風説は鮮人が虚報を伝へ、その隙に乗じ掠奪をほしいままにせんとするものなり」との風評盛んに行はれ、さらに「鮮人の集団襲来す」と伝へられたるため、青年団員、在郷軍人団員ら、たがひに協力して鮮人を同警察署へ連行し来たるもの頻々たり。一方、要視察人河合善虎 [→川合義虎] ほか八人は震災当日より盛んに革命歌を高唱するのみならず、故意に鮮人襲来の風説を流布し、あるいはかかる際に乗じ井戸または水道に毒薬を投下せば云々などすこぶる不穏の言動あるむね、付近避難民より申告するところありたるにより、亀戸警察署においては九月三日夜十時ごろ数名の警察官を派して同人らを同警察署に同行せり。
二、これより先、九月二日夜以来、亀戸警察書に収容せる内·鮮人は総計七百六、七十名の多数を算するに至り、この多数の被収容者に対し警備の任に当れる者はわずかに兵卒数名と巡査十四名とに過ぎず、しかるに被収者らは終始喧囂を極め、一人大声を発すれば多衆これに雷同するの状態にして、漸次、不穏の情勢、収容所内に横溢せり。もしそのままにて推移せんか、いついかなる椿事の勃発するやも計り難きの実況に立ち至れり。
三、しかるに四日夜、鮮人中、鮮語をもって何事おか大声にて怒号する者あるや、前記河合善虎 [→川合義虎] ほか八人、およびさきに検束中の者一名、たちまちこれに相呼応して騒擾を惹起し、あるいは革命歌を高唱し、あるいは煽動的言動をなし、ために場内、響きの応ずるがごとく喧々囂々、全く混乱に陥り、到底、制止することあたはざるに至りたるをもって、ここに軍隊の応援を求め、これと協力して右河合善虎 [→川合義虎] ほか九名を監房外に隔離したるが、彼らは容易に鎮静せざるのみならず、却って甚しく抵抗を試み、他の多数収容者に波及するの状態を呈し、今や兵器を用ゆるにあらざればこれを鎮圧するの手段なきに立ち至りたるため、軍隊は終に止むなく彼らを死に致したり。
第三 亀戸警察署構内における
自警団員殺害事件
一、九月四日午前五時、深川扇橋警察署巡査、大山吉次郎が東京府下南葛飾郡砂町本砂町通を通行の際、同町自警団員、鈴木金之助外三名が一名の避難民を捕へて暴行を加へんとする現場を認めたるをもってこれを制止せんとしたるに、同人等はかへって同巡査を偽巡査なりと称し、携帯せる日本刀または仕込刀剣を抜きて斬りかかれり。たまたま付近にありたる同警察署巡査数名馳せ着け、相協力して辛うじて右自警団員を取り押さへ、同署仮庁舎に検束を加へたるも、同庁舎には留置場なきをもって、同日午後七時頃、本人らを亀戸警察署留置場内監房外に収容したり。しかるに当時、同署監房およびその付近には内鮮人七百六、七十人を収容しあり、喧騒を極め居りたる際なりしが、本人らも盛んにこれに和して喧噪し、いかに制止するも肯ぜざりしをもって、軍隊の応援を求め、一時本人らを留置場外に連行し厳戒を加へたるも、依然としてこれに従はさわるのみならず、かへって「殺すなら殺せ」と大声怒号し、傍らにありし薪を振り上げ、あるいは拳を振るひて暴行をなし、あまっさへ兵卒の武器を奪はむとするに至りしより、軍隊は他にこれを鎮圧するの手段なきを認め、つひに兵器を用ゐて彼等を死に致したり。
第四 千葉県下における殺害事件
一、千葉地方裁判所管内において鮮人を殺傷したる事件を検挙し、これが審理中、軍人において殺害行為をなしたりとの密告をなしたる者あり。また被告人において同趣旨の陳述をなしたる者ありとて、左記事実につき検事より報告ありたるをもって、直ちにこれを陸海軍に移牒したり。
(1) 九月二日午後十一時半、東葛飾郡南行徳村下江戸川橋際において、
鮮人三人を銃殺。 騎兵第十五連隊兵卒(2) 四月三日午前二時、同郡松戸地先葛飾橋上において、
鮮人一人を銃殺。 工兵中尉藤井一枝(3) 同日午後四時、同郡浦安待役場前及関東水産会社前において、
鮮人四人を銃殺。 騎兵第十五連隊兵卒(4) 同月四日午後一時、同郡行徳町本行徳地先において、
鮮人三人を銃殺。 騎兵第十五連隊兵卒(5) 九月二、三日頃、同郡南行徳地先今井橋上において、
鮮人五人を銃殺。 騎兵(6) 同月三日同郡船橋町において
鮮人殺害教唆。 船橋無線電信所長
海軍大尉大森良三(7) 同月四日午後九時、同郡南行徳村において、
邦人三人の殺害に加功。 騎兵三名(8) 同月五、六日頃、午後七時頃、千葉県習志野付近において、
邦人八人を殺害。 騎兵第十四連隊兵卒および馬丁(9) 同月六日午後二時、東葛飾郡市川町付近において、
鮮人一人を殺害。 鮮人収容護衛兵卒
二、右につき陸海軍当局の調査したるところによれば、その結果は別表に記するがごとくにして、あるいはその事実を認むるを得ず、あるいは殺害の事実を認め得るも、適法行為と認めらるるものなりといふ。
[表]前掲事件番号/日時/場所/関係者/被害者/事実/犯罪を認め得ざる理由
(1)/九月二日/南行徳村下江戸川橋際/騎兵第十五隊、軍曹坂本朝光ほか兵卒/鮮人一人/下江戸川橋監視中午後十一時頃一鮮人鉄棒を以て該橋梁を破壊せむとするを現認し射殺す。/衛戍動[ママ]務令第十二条第一項第三号による適法行為。
(1)/九月四日/同上/軍曹坂本朝光ほか兵卒二人/同上二人/南葛飾郡篠崎村居住容疑鮮人二人を旅団司令部へ同行の途中、暴行をなしたるにより射殺す。/同条第一項第一号による適法行為。
(2)九月四日/松戸地先葛飾橋上/陸軍工兵学校、工兵中尉/同上一人/付近住民のため捕縛せられゐたるを救護せむとするや、かへって同中尉に反抗し、危険なりしをもって射殺す。/同上。
(3)九月三日/浦安町/騎兵第十五連隊、特務曹長内藤稲三郎ほか兵卒四人/同上四人/浦安町役場前にて町民より鮮人三人を受け取り問答中、反抗して危険なりしをもって射殺す。/同上。
(4)/ / / / /該事実を発見せず。/
(5)九月四日/南行徳村下江戸川橋北詰/騎兵第十五連隊、軍曹坂本朝光ほか兵卒二人/鮮人五人/南葛飾郡瑞江村自警団員より鮮人五人を受取り、取り調べんとしたるところ、暴行をなし危険なりしより射殺す。/衛戍勤務令第十二条第一項第二号による適法行為。
(6)/九月三日/東葛飾郡船橋町/海軍軍令部出仕、海軍大尉大森良三/鮮人十三人/船橋無線電信所において、付近青年団員等に対し、鮮人にして同所を襲撃せば殺傷するも妨げなしと語りたり。/殺人教唆と認め難し。
(7)/九月四日/南行徳村/騎兵第十三連隊、軍曹武田藤助ほか兵卒四人/同上三人/在郷軍人等より鮮人三人を受け取り、市川憲兵分隊へ連行の途中、囲繞せる民衆右三人を殺害す。/上記殺害行為に加担せず。
(8)/九月五日/大久保村/騎兵第十四連隊、騎兵大尉菅谷止ほか兵卒二人/邦人八人/習志野収容所より邦人八人を憲兵分隊へ護送の途中、暴行をなし危険なりしより刺殺す。/衛戍勤務令第十二条第一項第一号による適法行為。
(9)/九月六日/市川町字新田/同連隊、特務曹長田口新次郎ほか兵卒数人/鮮人一人/市川町より習志野収容所へ鮮支人数百名護送の途中、落伍せる鮮人一人を青年団員へ託したり。/殺害行為に加担せず。
【祕】
花押 [財部彪 海軍大臣]
震災後ニ於ケル刑事事犯及之ニ關聯スル事項調査書
司法省刑事局
「一般雑件 其の2(5)」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C08051013700、大正12年 公文備考 変災災害附属 巻12(防衛省防衛研究所)
苐十章 軍隊ノ行爲ニ就テ
第一 概 説
一、變災後警備ノ任ニ膺レル軍隊ニシテ鮮人其ノ他ヲ殺傷シタリトノ風評ナキニ非ス殊ニ江東方面ニ於テハ軍隊ニ於イテ殺傷ノ行爲ヲ逞ウシタルカ爲民衆之ニ倣ヒテ殺傷ヲ敢テシタリトノ巷説アリ然レトモ調査ノ結果ニ依レハ之ニ關スル事實ハ大要左ノ如クニシテ軍隊ノ責ニ歸スヘキモノ之ナキカ如シ
第二 亀戸警察署構内ニ於ケル
社會主義者等殺害事件
一、九月二日午後七時頃ヨリ亀戸警察署管内一帶ニ「海嘯來ル」ト流布スル者アリ間モナク「海
嘯ノ風説ハ鮮人カ虚報ヲ傳ヘ其ノ隙ニ乗シ掠奪ヲ恣ニセントスルモノナリ」トノ風評盛ニ行ハレ更ニ「鮮人ノ集團襲來ス」ト傳ヘラレタル爲青年團員、在郷軍人團員等互ニ協力シテ鮮人ヲ同警察署ヘ連行シ來ルモノ頻々タリ一方要視察人河合善虎[ママ]外八人ハ震災當日ヨリ盛ニ革命歌ヲ高唱スルノミナラス故意ニ鮮人襲來ノ風説ヲ流布シ或ハ斯カル際ニ乗シ井戸又ハ水道ニ毒藥ヲ投下セハ云々等頗ル不隱ノ言動アル㫖附近避難民ヨリ申告スル所アリタルニ因リ亀戸警察署ニ於テハ九月三日夜十時頃數名ノ警察官ヲ派シテ同人等ヲ同警察署ニ同行セリ
二、是ヨリ先九月二日夜以来かな來亀戸警察書ニ收容セル内鮮人ハ総計七百六、七十名ノ多數ヲ算スルニ至リ此ノ多数日前ノ被收容者ニ對シ警備ノ任ニ當レル者ハ僅ニ兵卒數名ト巡査十四名トニ過キス然ルニ被收容者等ハ終始喧囂ヲ極メ一人大聲ヲ發スレハ多衆之ニ雷同スルノ狀態ニシテ漸次不隱ノ情勢收容書内ニ横溢セリ若其ノ儘ニテ推移センカ何時如何ナル椿事ノ勃發スルヤモ計リ難キノ實况ニ立至レリ
三、然ルニ四日夜鮮人中鮮語ヲ以テ何事ヲカ大聲ニテ怒號スル者アルヤ前記河合善虎外八人及曩ニ檢束中ノ者一名忽チ之ニ相呼應シ
テ騒擾ヲ惹起シ或ハ革命歌ヲ髙唱シ或ハ煽動的言動ヲ爲シ爲ニ場内響ノ應スルカ如ク喧々囂々全ク混乱ニ陷リ到底制止スルコト能ハサルニ至リタルヲ以テ茲ニ軍隊ノ應援ヲ求メ之ト協力シテ右河合善虎外九名ヲ監房外ニ隔離シタルカ彼等ハ容易ニ鎭靜セサルノミナラス却テ甚シク抵抗ヲ試ミ他ノ多數收容者ニ波及スルノ狀態ヲ呈シ今ヤ兵噐ヲ用ユルニ非サレハ之ヲ鎭壓スルノ手段ナキニ立至リタル爲軍隊ハ終ニ止ムナク彼等ヲ死ニ致シタリ
第三 亀戸警察署構内ニ於ケル
自警團員殺害事件
一、九月四日午前五時深川扇橋警察署巡査大山吉次郎カ東京府下南葛飾郡砂町本砂町通ヲ通行ノ際同町自警團員鈴木金之助外三名カ一名ノ避難民ヲ捕ヘテ暴行ヲ加ヘントスル現場ヲ認メタルヲ以テ之ヲ制止セントシタルニ同人等ハ却テ同巡査ヲ僞巡査ナリト稱シ携帯セル日本刀又ハ仕込刀劍ヲ抜キテ斬リ掛レリ、偶附近ニ在リタル同警察署巡査數名馳セ着ケ相協力シテ辛ウシテ右自警團員ヲ取押ヘ同署假廳舎ニ檢束ヲ加ヘタルモ同廳舎ニハ留置場ナキヲ以テ同日午後七時頃本人等ヲ亀戸警察署留置場内監房外ニ收容シタリ然ルニ當時同署監房及其ノ附近ニハ
内鮮人七百六、七十人ヲ收容シアリ喧騷を極メ居リタル際ナリシカ本人等モ盛ニ之ニ和シテ喧噪シ如何ニ制止スルモ肯セサリシヲ以テ軍隊ノ應援ヲ求メ一時本人等ヲ留置場外ニ連行シ嚴戒ヲ加ヘタルモ依然トシテ之ニ從ハサルノミナラス却テ「殺スナラ殺セ」ト大聲怒號シ傍ニアリシ薪ヲ振リ上ケ或ハ拳ヲ振ヒテ暴行ヲ爲シ剰ヘ兵卒ノ武噐ヲ奪ハムトスルニ至リシヨリ軍隊ハ他ニ之ヲ鎭壓スルノ手段ナキヲ認メ終ニ兵噐ヲ用ヰテ彼等ヲ死ニ致シタリ
第四 千葉縣下ニ於ケル殺害事件
一 千葉地方裁判所管内ニ於テ鮮人ヲ殺傷シタル事件ヲ檢擧シ之カ審理中軍人ニ於テ殺害行爲ヲ爲シタリトノ密告ヲヲ爲シタル者アリ又被告人ニ於テ同趣㫖ノ陳述ヲ爲シタル者アリトテ左記事實ニ付檢事ヨリ報告アリタルヲ以テ直ニ之ヲ陸海軍ニ移牒シタリ
(1) 九月二日午後十一時半東葛飾郡南行德村下江戸川橋際ニ於テ
鮮人三人ヲ銃殺 騎兵第十五聨隊兵卒(2) 四月三日午前二時同郡松戸地先葛飾橋上ニ於テ
鮮人一人ヲ銃殺 工兵中尉藤井一枝、
(3) 同日午後四時同郡浦安待役場前及關東水産會社前ニ於テ
鮮人四人ヲ銃殺 騎兵第十五聨隊兵卒(4) 同月四日午後一時同郡行德町本行德地先ニ於テ
鮮人三人ヲ銃殺 騎兵第十五聨隊兵卒(5) 九月二、三日頃同郡南行德地先今井橋上ニ於テ
鮮人五人ヲ銃殺 騎兵(6) 同月三日同郡船橋町ニ於テ
鮮人殺害教唆 船橋無線電信所長
海軍大尉大森良三(7) 同月四日午後九時同郡南行徳村ニ於テ
邦人三人ノ殺害ニ加功 騎兵三名
(8) 同月五、六日頃午後七時頃千葉縣習志野附近ニ於テ
邦人八人ヲ殺害 騎兵第十四聨隊兵卒及馬丁(9) 同月六日午後二時東葛飾郡市川町附近ニ於テ
鮮人一人ヲ殺害 鮮人收容護衛兵卒
二、右ニ付陸海軍當局ノ調査シタル所ニ依レハ其ノ結果ハ別表ニ記スルカ如クニシテ或ハ其ノ事實ヲ認ムルヲ得ス或ハ殺害ノ事實ヲ認メ得ルモ適法行爲ト認メラルルモノナリト謂フ
[表]前掲事件番號/日時/場所/關係者/被害者/事實/犯罪ヲ認メ得サル理由
(1)/九月二日/南行德村下江戸川橋際/騎兵第十五聨隊軍曹坂本朝光外兵卒/鮮人 一人/下江戸川橋監視中午後十一時頃一鮮人鐵棒ヲ以テ該橋梁ヲ破壞セムトスルヲ現認シ射殺ス/衛戍動[ママ]務令第十二條第一項第三號ニ依ル適法行為
(1)/九月四日/同上/軍曹坂本朝光外兵卒二人/同上 二人/南葛飾郡篠崎村居住容疑鮮人二人ヲ旅團司令部ヘ同行ノ途中暴行ヲ為シタルニ因リ射殺ス/同條第一項第一號ニ依ル適法行為
(2)九月四日/松戸地先葛飾橋上/陸軍工兵學校 工兵中尉/同上 一人/附近住民ノ為捕縛セラレ居タルヲ救䕶セムトスルヤ却テ同中尉ニ反抗シ危険ナリシヲ以テ射殺ス/同上
(3)九月三日/浦安町/騎兵第十五聨隊特務曹長内藤稲三郎外兵卒四人/同上四人/浦安町役場前ニテ町民ヨリ鮮人三人ヲ受取リ問答中反抗シテ危険ナリシヲ以テ射殺ス/同上
(4)/ / / / /該事實ヲ發見セス/
(5)九月四日/南行德村下江戸川橋北詰/騎兵第十五聨隊軍曹坂本朝光外兵卒二人/鮮人五人/南葛飾郡瑞江村自警團員ヨリ鮮人五人ヲ受取リ取調ヘントシタル所暴行ヲ為シ危険ナリシヨリ射殺ス/衞戍勤務令第十二條第一項第二號ニ依ル適法行為
(6)/九月三日/東葛飾郡船橋町/海軍々令部出仕 海軍大尉大森良三/鮮人十三人/船橋無線電信所ニ於テ附近青年團員等ニ對シ鮮人ニシテ同所ヲ襲擊セハ殺傷スルモ妨ナシト語リタリ/殺人敎唆ト認メ難シ
(7)/九月四日/南行德村/騎兵第十三聨隊軍曹武田藤助外兵卒四人/同上三人/在鄕軍人等ヨリ鮮人三人ヲ受取リ市川憲兵分隊ヘ連行ノ途中 圍繞セル民衆右三人ヲ殺害ス/上記殺害行為ニ加擔セス
(8)/九月五日/大久保村/騎兵第十四聨隊騎兵大尉菅谷止外兵卒二人/邦人八人/習志野收容所ヨリ邦人八人ヲ憲兵分隊ヘ䕶送ノ途中暴行ヲ為シ危險ナリシヨリ刺殺ス/衞戍勤務令第十二條第一項第一號ニ依ル適法行為
(9)/九月六日/市川町字新田/同聨隊特務曹長田口新次郞外兵卒數人/鮮人一人/市川町ヨリ習志野收容所ヘ鮮支人數百名䕶送ノ途中落伍セル鮮人一人ヲ靑年團員ヘ託シタリ/殺害行為ニ加擔セス