特にヨイコドモの求めるものは、児童の日々の実践行為のうちに活きて働くべきものである。同時にそれは、教育に関する勅語にお諭しになって要られるように、父母に孝であることも、夫婦相和することも、朋友相信ずることも、恭倹己れを持し博愛衆に及ぼすことも、すべてが天壌無窮の皇運を扶翼し奉るところのものでなければならない。即ち国体の精華を発揮するということと切離して、単なる博愛、単なる知能啓発、徳器成就という見方、考え方、取扱方をしてはならぬものである。そうしたことが行われるとすれば、それはまさに勅語の旨趣を奉体する所以ではあり得ない。勅語に「斯の道」と仰せられてある皇国の道に随順するものとしての道徳行為が、児童自身のなかから芽生えるように、実践指導をなし、徳性の涵養をして行くことこそ大切である。
1941年、帝国文部省『ヨイコドモ 教師用 下』（教師用指導書）より
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1277321/23
