Ob-La-Di Oblako 文庫

帝国日本の侵掠戦争と植民地支配、人権蹂躙を記憶し、再現を許さないために、ひたすら文書資料を書き取る。姉妹ブログ「歴史を忘れる民族に未来はない!」https://obladioblako.hateblo.jp/ のデータ·ベースを兼ねる。

上海派遣軍作戦命令 12月10日正午「第16師団は紫金山東北麓より東南麓の線に、第9師団は中山門東方地区より中和橋北側を経てその西南方地区にわたる線に進出し、各々当面の敵を攻擊中なり。軍は主力をもつて依然、南京攻撃を続行せんとす。」 午後1時30分「軍は速やかに南京を攻略し、引き続き城内の残敵を掃蕩せんとす。」 独立飛行第4中隊戦闘詳報より 1937.12.10

軍命令の要旨

 (上軍作命甲第256号 12月10日正午

              於 句容軍司令部)

1. 第16師団は紫金山東北麓より東南麓の線に、第9師団は中山門東方地区より中和橋北側を経てその西南方地区にわたる線に進出し、各々当面の敵を攻擊中なり。

2. 軍は主力をもつて依然、南京攻撃を続行せんとす。

3. 第3師団は天王寺に到着せば引続き天王寺湖熟鎮解渓鎮─上方門(南京東南4km)道に沿ふ地区を上方門に向かひ前進すべし。

4. 第9·第3師団間作戦地境を[后?]白墅天王寺西北7km)赤山、林里、上方門を連ぬる線と定む。線上は左師団に属す。

 

 (上軍作命甲第257號 12月10日午後1時30分

            於 句容軍司令部)

1. 軍は速やかに南京を攻略し、引き続き城内の残敵を掃蕩せんとす。南京城における第10軍との作戦地境を共和門(通済門)~公園路~中正[門]~中正路漢中路の線に定められ、共和門は第10軍に、その他の線上は軍に属す。

2. 第16および第9師団は南京城壁の敵を撃破せば、引き続き各々概ね歩兵1旅団、独立軽装甲車中隊および戦車隊を基幹とする部隊をもつて南京城内の残敵を掃討せしめ、その他は城外に終結すべし。

 特に第16師団は速やかに有力なる一部をもつて下関を占領して敵の退路を遮断せしむべし。

 両師団の南京城内における作戦地境を史部橋(中山門南方800m)~外五竜橋間クリーク~古物保存所(中山門西方800m)~中山路(中山碼頭に至る)の線とし、線上は左師団に属す。

 第16師団に新たに戦車第1大隊を(1中隊欠)、第9師団に同大隊の1中隊を配属す。

 南京城掃蕩にあたりては別紙南京城入城に関する注意事項を厳守すべし。

3. 戦車第1大隊長はその1中隊を中山門付近において第9師団長の指揮下に入らしめ、その他は現在地において第16師団長の指揮下に入るべし。

4. 軍砲兵隊は南京東北方地区に陣地を占領し、主力をもつて第16および第9師団の城壁占領に協力するとともに、有力なる一部をもつて南京西北方地区の交通遮断射撃に任じ、かつ第16師団の下関占領部隊の戦闘に協力すべし。

5. 独立飛行第4中隊は一部をもつて天谷支隊に、主力をもつて第16および第9師団の南京掃蕩に協力すべし。

 海軍連合航空隊は南京および句容付近上空の警戒に任ず。

 

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軍命令ノ要㫖

 (上軍作命甲第二五六號 十二月十日正午

                於 句容軍司令部)

一、第十六師團ハ紫金山東北麓ヨリ東南麓ノ線二 第九師團ハ中山門東方地區ヨリ中和橋北側ヲ経テ其西南方地區ニ亘ル線ニ進出シ 各 當面ノ敵ヲ攻擊中ナリ

 

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二、軍ハ主力ヲ以テ依然 南京攻擊ヲ続行セントス

三、第三師團ハ天王寺二到着セハ引続キ天王寺─湖□[「就」の下に「灬」][→熟?]鎭─解溪鎭─上方門(南京東南四粁)道ニ沿フ地區ヲ上方門ニ向ヒ前進スヘシ

四、第九第三師團間作戰地境ヲ白墅(天王寺西北七粁)赤山、林里、上方門ヲ連ヌル線ト定ム 線上ハ左師團ニ属ス

 (上軍作命甲第二五七號

          十二月十日午後一時三十分

          於 句容軍司令部)

一、軍ハ速ニ南京ヲ攻畧シ 引続キ城内ノ残敵ヲ掃蕩セントス 南京城ニ於ケル第十軍トノ作戰地境ヲ共和門(通濟門)─公園路─中正 ─中正路─漢中路ノ線ニ定メラレ 共和門ハ第十軍ニ 其他ノ線上ハ軍ニ属ス

二、第十六 及 第九師團ハ南京城壁ノ敵ヲ擊破セハ引続キ各々槪ネ歩兵一旅團、獨立軽裝甲車中隊 及 戰車隊ヲ基幹トスル部隊ヲ以テ南京城内ノ残敵ヲ掃討セシメ 其他ハ城外ニ終結スヘシ

特ニ第十六師團ハ速ニ有力ナル一部ヲ以テ下関ヲ占領シテ敵ノ退路ヲ遮断セシムヘシ

 

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両師団ノ南京城内ニ於ケル作戰地境ヲ史部橋(中山門南方八百米)~外五竜橋間「クリーク」~古物保存所(中山門西方八百米)~中山路(中山碼頭ニ至ル)ノ線トシ 線上ハ左師團ニ属ス

第十六師團ニ新ニ戰車第一大隊ヲ(一中隊缺) 第九師團ニ同大隊ノ一中隊ヲ配属ス

京城掃蕩ニ方リテハ別紙南京城入城ニ関スル注意事項ヲ嚴守スヘシ

三、戦車第一大隊長は其一中隊ヲ中山門附近ニ於テ第九師団長ノ指揮下ニ入ラシメ 其他ハ現在地ニ於テ第十六師団長ノ指揮下ニ入ルヘシ

四、軍砲兵隊ハ南京東北方地區ニ陣地ヲ占領シ 主力ヲ以テ第十六 及 第九師團ノ城壁占領二協力スルト共ニ 有力ナル一部ヲ以テ南京西北方地区ノ交通遮断射擊ニ任シ 且 第十六師團ノ下関占領部隊ノ戰斗ニ協力スヘシ

五、獨立飛行第四中隊ハ一部ヲ以テ天谷支隊ニ 主力ヲ以テ第十六 及 第九師團ノ南京掃蕩ニ協力スヘシ

海軍联合航空隊ハ南京 及 句容附近上空ノ警戒ニ任ス

 

↑独立飛行第4中隊 戦闘詳報 其8
戦闘第74日(12月10日)よりhttps://www.jacar.archives.go.jp/das/image/C16120453100 p.42~p.43