Ob-La-Di Oblako 文庫

帝国日本の侵掠戦争と植民地支配、人権蹂躙を記憶し、再現を許さないために、ひたすら文書資料を書き取る。姉妹ブログ「歴史を忘れる民族に未来はない!」https://obladioblako.hateblo.jp/ のデータ·ベースを兼ねる。

「第一、適当の時機に於て韓国の併合を断行すること。 韓国を併合し、之を帝国版図の一部となすは、半島に於ける我実力を確立する為、最確実なる方法たり。帝国が内外の形勢に照し適当の時機に於て断然併合を実行し、半島を名実共に我統治の下に置き、韓国と諸外国との条約関係を消滅せしむるは、帝国百年の長計なりとす。」 七月六日閣議決定 1909.7.6

四□七月六日閣議決定

同日御裁決

七月六日閣議 総理大臣花押 閣僚花押

 帝国の韓国に対する政策の、我実力を該半島に確立し、之が把握を厳密ならしむるに在るは言を俟たず。日露戦役開始以来、韓国に対する我権力は漸次 其大を加へ、殊に一昨年、日韓協約の締結と共に同国に於ける施設は大に其面目を改めたりと雖、同国に於ける我勢力は尚未だ十分に充実するに至らず、同国官民の我に対する関係も亦未だ全く満足すべからざるものあるを以て、帝国は今後益々同国に於ける実力を増進し、其根底を深くし、内外に対し争ふべからざる勢力を樹立するに努むることを要す。而して此目的を達するには此際、帝国政府に於て左の大方針を確定し、之に基き諸般の計画を実行することを必要とす。

第一、適当の時機に於て韓国の併合を断行すること。

 韓国を併合し、之を帝国版図の一部となすは、半島に於ける我実力を確立する為、最確実なる方法たり。帝国が内外の形勢に照し適当の時機に於て断然併合を実行し、半島を名実共に我統治の下に置き、韓国と諸外国との条約関係を消滅せしむるは、帝国百年の長計なりとす。

第二、併合の時機到来する迄は、併合の方針に基き充分に保護の実権を収め、努めて実力の扶植を図るべき事。

 前項の如く併合の大方針既に確定するも、其適当の時機到来せざる間は、併合の方針に基き我諸般の経営を進捗し、以て半島に於ける我実力の確立を期することを必要とす。

 

四十二年七月閣議決定

同日御裁決

七月六日閣議 総理大臣花押 閣僚花押 

   対韓施設大綱

 韓国に対する帝国政府の大方針決定せられたる上は、同国に対する施設は、併合の時機到来する迄、大要、左の項目に依り之を実行することを必要なりと認む。

第一、帝国政府は既定の方針に依り韓国の防衞及秩序の維持を担任し、之が為に必要なる軍隊を同国に駐屯せしめ、且出来得る限り多数の憲兵及警察官を同国に増派し、十分に秩序維持の目的を逹する事。

第二、韓国に関する外国交渉事務は、規定の方針に依り、之を我手に把持する事。

第三、韓国鉄道を帝国鉄道院の管轄に移し、同院監督の下に南満洲鉄道との間に密接なる連絡を付け、我大陸鉄道の統一と発展を図る事。

第四、成るべく多数の本邦人を韓国内に移殖し、我実力の根底を深くすると同時に、日韓間の経済関係を密接ならしむる事。

第五、韓国中央政府及地方官庁に在任する本邦人官吏の権限を拡張し、一層敏活にして統一的の施政を行ふを期する事。

 

四十二年秋、外務大臣案にして閣議を経ざるもの

 韓半島に於ける我実力を確立し、併せて韓国と諸外国との条約関係を消滅せしむる為、適当の時機に於て韓国の併合を断行すべきことは、曩に廟議に於て決定したる所なり。

 併合実行の時機如何は内外の状勢に依りて決すべき問題に属し、今に於て之を測知するを得ざるは勿論なりと雖、内外の状勢は日に推移して止まざるを以て、今後、与見すべからざる新事実の発生するありて何時併合実行の機会到来するやも料り難く、従て右実行の場合に於て我取るべき方針及措置は、今より之が講究を遂げ、以て万一の違算なきを期するを必要なりとす。依て左の四項に基き、別紙に之が細目を掲記して講究の資に供す。

一、併合宣布の件
二、韓国皇帝処分の件
三、韓半島統治の件
四、対外関係の件

 

   第一、併合宣布の件

一、併合実行の際には詔勅を発し、併合の事実を内外に宣布せられ、併せて左の事項を宣明せらるること。

(イ) 併合を実行するの已むを得ざるに至りたる事由。

(ロ) 東洋永遠の平和を維持し、帝国の安固を確保し、併せて韓民並韓半島に於ける外国人の康寧を増進する為、併合の必要なること。

(ハ) 半島に於ける外国人の権利は併合により生じたる新事態と両立すべからざるものを除くの外、帝国政府に於て十分之を保障すべきこと。

二、右詔勅に於ては尚韓半島の統治の全然天皇大権の行動に属する旨を示され、以て半島の統治が帝国憲法の条章に遵拠するを要せざることを明にし、後日の争議を予防すること。

   第二、韓国皇室処分の件

一、韓国の併合と同時に、同皇室をして名実共に全然政権に関係せざらしめ、以て韓人異図の根本を絶つこと。

二、韓国皇帝は全然之を廃位とし、現皇帝を大公殿下と称すること。

三、大皇帝、現皇太子及義親王は、之を公殿下と称すること。

四、大公殿下、公殿下及其一門は、之を東京に移住せしむること。

五、大公殿下、公殿下及其一門に対しては、我皇族及華族の例を参酌し、特別の施遇及特典を与ふること。

六、大公家及公家に対しては、雅費として国庫より一定の金額を支給すること。但し大公家及公家に関する一切の事務は、宮内大臣に於て之を管理すること。

七、併合実行の際、韓国皇室に属する財産にして皇室私有の性質を有するものは、之を大公家又は公家の所有となし、私有の性質を有せさるものは、之を帝国政府の所有に移すこと。

   第三、韓半島統治の件

    (甲)中央官庁

一、韓半島総督府を置くこと。

二、総督府に総督を置き、親任とし、内閣総理大臣の監督を承け諸般の政務を統理せしむること。但し外交に関係ある事務に付ては、外務大臣の区処を受けしむること。

三、半島に守備軍を置くこと。

 総督は安寧秩序を維持する為必要と認むるときは、半島守備軍の司令官に対し兵力の使用を命ずるを得ること。

四、総督府に諮政院を置き、総督の諮詢に応じ半島の施政に関する意見を具申せしむること。
 諮政院に顧問官若干名を置き、学識経験ある韓人中より之を勅任すること。尤も議長、副議長は日本人を以て之に充つること。

五、総督府に総務長官を置き、且総督府を左の四部にが分ち、部に部長を置くこと。

(イ) 総務部

(ロ) 財務部

(ハ) 工務部

(ニ) 殖産部

 右の外尚、総督府に警務総監を置き、総督に直隸し半島の警察事務を総攬せしむること。

    (乙)地方庁

一、現在の十三道を改め従前の八道となし、道に観察使を置き、観察使庁に総務部、収税部及殖産部の三部を置くこと。

二、道を分ちて府郡となし、府に府長、郡に郡守を置くこと。

三、観察使は必ず日本人を以て之に充て、府長、郡守は日本人又は韓人を以て之に充つること。

    (丙)裁判所

一、裁判所は、併合後は勿論、其以前と雖、治外法権の廃絶せらるることあるべきを予想し、其準備として今より外国人の裁判を引受くるも差支なき組織となし置くこと。

二、現在の大審院を以て最高裁判所とし、同裁判所より東京大審院への上告を許さざること。

三、韓人相互間の民事に付ては韓人に関する特別法令及旧慣を適用すること。

四、刑事並鮮人と日本人又は外国人間、及日本人外国人相互間の民事に付ては、日本法令を適用すること。

五、第三項の民事を裁判する場合に於ては、韓人裁判官を用ふることを得るも、其他の場合に於ては、常に日本人裁判官のみを用ふること。

   第四、対外関係の件

一、韓国と諸外国との条約は併合と同時に消滅に帰し、法権及税権は全く我に帰するに至るべきに依り、詔勅を以て併合を宣布せらるると同時に、帝国政府より関連諸国に併合の趣を通告し、且其の事項を宣言すること。

(イ) 帝国と諸外国との条約は、韓半島に適用し得る限り、其効力を同半島に及ぼすこと。

(ロ) 外国人に関する司法事務は、在韓日本裁判所に於て之を取扱ふこと。

(ハ) 輸出税は併合と同時に之を全廃し、輸入税は当分の間、現行輸出税率と同一の率に依り、之を徴収すること。

(ニ) 外国人の既得権は、併合に依て生じたる新事態と両立すべからざるものを除くの外、十分之を保護すべきこと。

(ホ) 半島内地を外国人に開放し、居住及営業をなすの自由を享有せしむべきこと。

(ヘ) 半島に於ける土地の所有権は、之を外国人に供与すること。

(ト) 日本と韓国間及韓国各港間の沿岸貿易は、当分の間、従前の通り之を外国船舶に許すこと。

二、清国に於ては我に対し内地雑居と土地所有権とを許さざるを以て、同国人に対しては右に関し相当の制限を設くることとし、其趣旨に依り前項の宣言を発すること。

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□□七月六日閣議決定
同日御裁決
      七月六日閣議
       總理大臣花押 閣僚連署花押

帝國ノ韓國ニ対スル政策ノ 我實
力ヲ該半島ニ確立シ 之カ把握ヲ厳
密ナラシムルニ在ルハ言ヲ俟タス 日露
戦役開始以來 韓國ニ対スル我
権力ハ漸次 其大ヲ加ヘ 殊ニ一昨
年 日韓協約ノ締結ト共ニ同國
ニ於ケル施設ハ大ニ其面目ヲ改メタ
リト虽 同國ニ於ケル我㔟力ハ尚 未タ
十分ニ充實スルニ至ラス 同國官民ノ
我ニ対スル關係モ亦 未タ全ク満足ス
ヘカラサルモノアルヲ以テ 帝國ハ今後
益〻 同國ニ於ケル實力ヲ増進シ 其
根底ヲ深クシ 内外ニ対シ爭フヘカ
ラサル㔟力ヲ樹立スルニ努ムルコトヲ
要ス 而シテ此目的ヲ達スルニハ此際
帝國政府ニ於テ左ノ大方針ヲ確
㝎シ 之ニ基キ諸般ノ計畫ヲ實行
スルコトヲ必要トス

第一、適當ノ時機ニ於テ韓國ノ
 併合ヲ斷行スルコト

  韓國ヲ併合シ 之ヲ帝國版
  図ノ一部トナスハ 半島ニ於ケル
  我實力ヲ確立スル為 最確實
  ナル方法タリ 帝國カ内外ノ形
  㔟ニ照シ適當ノ時機ニ於テ断
  然 併合ヲ実行シ 半島ヲ名實
  共ニ我統治ノ下ニ置キ 韓國ト
  諸外國トノ條約關係ヲ消滅セ
  シムルハ 帝國百年ノ長計ナ
  リトス

第二、併合ノ時機 到来スル迠ハ 併
 合ノ方針ニ基キ充分ニ保護ノ實
 権ヲ收メ 努メテ實力ノ扶植ヲ図
 ルヘキ事

  前項ノ如ク併合ノ大方針 既ニ
  確定スルモ 其適當ノ時機 到來
  セサル間ハ 併合ノ方針ニ基キ
  我諸般ノ經營ヲ進捗シ 以テ
  半島ニ於ケル我實力ノ確立ヲ
  期スルコトヲ必要トス

 

四十二年七月閣議 七月六日閣議
決定
同日御裁決
            總理大臣花押
              閣僚連署花押 

   対韓施設大綱

韓國ニ対スル帝國政府ノ大方針
決定セラレタル上ハ 同國ニ対スル施
設ハ 併合ノ時機 到來スル迠 大
要 左ノ項目ニ依リ之ヲ實行スルコ
トヲ必要ナリト認ム

第一、帝國政府ハ既定ノ方針ニ
 依リ韓國ノ防衞 及 秩序ノ維
 持ヲ擔任シ 之ガ為ニ必要ナル軍
 隊ヲ同國ニ駐屯セシメ 且 出來得
 ル限リ夛数ノ憲兵 及 警察官ヲ
 同國ニ増派シ 十分ニ秩序維持
 ノ目的ヲ逹スル事

第二、韓國ニ關スル外國交渉
 事務ハ規定ノ方針ニ依リ之ヲ我
 手ニ把持スル事

第三、韓國鐵道ヲ帝國鐵道
 院ノ管轄ニ移シ同院监督ノ下
 ニ南満洲鐵道トノ間ニ密接
 ナル連絡ヲ付ケ 我大陸鐵道
 統一ト發展ヲ圖ル事

第四、成ルヘク夛数ノ本邦人ヲ韓
 國内ニ移殖シ 我實力ノ根底ヲ
 深クスルト同時ニ 日韓間ノ經
 済關係ヲ密接ナラシムル事

第五、韓國中央政府 及 地方官廰
 ニ在任スル本邦人官吏ノ権限ヲ
 拡張シ 一層敏活ニシテ統一的ノ施
 政ヲ行フヲ期スル事

 

四十二年秋
外務大臣
ニシテ閣議ヲ経ザルモノ

韓半島ニ於ケル我實力ヲ確立
シ 併セテ韓國ト諸外國トノ條
約關係ヲ消滅セシムル為 適当
ノ時機ニ於テ韓國ノ併合ヲ
断行スヘキコトハ曩ニ廟議ニ於
テ決定シタル所ナリ
併合実行ノ時機如何ハ内外ノ
状勢ニ依リテ決スヘキ問題ニ属シ 今
ニ於テ之ヲ測知スルヲ得サルハ勿論ナ
リト虽 内外ノ状勢ハ日ニ推移シテ止
マサルヲ以テ 今後 豫見スヘカラサル新
事実ノ發生スルアリテ何時 併
合実行ノ機會 到來スルヤモ料
リ難ク 従テ右実行ノ塲合ニ於テ
我取ルヘキ方針 及 措置ハ 今ヨリ
之ガ講究ヲ遂ケ 以テ萬一ノ違算
ナキヲ期スルヲ必要ナリトス 依テ左
ノ四項ニ基キ 別紙ニ之ガ細目ヲ掲記
シテ 講究ノ資ニ供ス

 一、併合宣布ノ件
 二、韓國皇帝處分ノ件
 三、韓半島統治ノ件
 四、対外關係ノ件

 

   㐧一、併合宣布ノ件

一、併合実行ノ際ニハ詔勅ヲ發
  シ 併合ノ事実ヲ内外ニ宣布
  セラレ 併セテ左ノ事項ヲ宣明セ
  ラルヽコト
  (イ) 併合ヲ実行スルノ已ムヲ得サルニ
    至リタル事由
  (ロ) 東洋永遠ノ平和ヲ維持シ 帝
    國ノ安固ヲ確保シ 併セテ韓
    民 並 韓半島ニ於ケル外國
    人ノ康寧ヲ増進スル為 併合
    ノ必要ナルコト
  (ハ) 半島ニ於ケル外國人ノ権利ハ
    併合ニヨリ生シタル新事態
    ト両立スヘカラサルモノヲ除クノ
    外 帝國政府ニ於テ十分 之ヲ
    保障スヘキコト

二、右詔勅ニ於テハ尚 韓半島ノ統
  治ノ全然 天皇大権ノ行動ニ属
  スル旨ヲ示サレ 以テ半島ノ統治
  カ帝國憲法ノ條章ニ遵據
  スルヲ要セサルコトヲ明ニシ 後
  日ノ争議ヲ豫防スルコト

   㐧二、韓國皇室處分ノ件

一、韓國ノ併合ト同時ニ 同皇室ヲ
  シテ名実共ニ全然 政権ニ關係
  セザラシメ 以テ韓人異図ノ根
  本ヲ絶ツコト

二、韓國皇帝ハ全然 之ヲ廢位ト
  シ 現皇帝ヲ大公殿下ト称スルコ
  ト

三、大皇帝、現皇太子 及 義親王ハ 之
  ヲ公殿下ト称スルコト

四、大公殿下、公殿下 及 其一門ハ 之ヲ東
  京ニ移住セシムルコト

五、大公殿下、公殿下 及 其一門ニ対シテハ
  我皇族 及 華族ノ例ヲ参酌
  シ 特別ノ施遇 及 特典ヲ與フ
  ルコト

六、大公家 及 公家ニ対シテハ 雅費トシ
  テ國庫ヨリ一定ノ金額ヲ支
  給スルコト 但シ大公家 及 公家ニ
  關スル一切ノ事務ハ 宮内大臣

  ニ於テ之ヲ管理スルコト

七、併合実行ノ際 韓國皇室ニ属
  スル財産ニシテ皇室私有ノ性質
  ヲ有スルモノハ 之ヲ大公家 又ハ公家
  ノ所有トナシ 私有ノ性質ヲ有
  セサルモノハ 之ヲ帝國政府ノ所
  有ニ移スコト

   㐧三、韓半島統治ノ件

    (甲)中央官廳

一、韓半島総督府ヲ置クコト

二、総督府ニ総督ヲ置キ 親任トシ
  内閣総理大臣ノ监督ヲ承ケ諸般
  ノ政務ヲ統理セシムルコト 但シ外交
  ニ關係アル事務ニ付テハ外務大
  臣ノ区處ヲ受ケシムルコト

三、半島ニ守備軍ヲ置クコト
  総督ハ安寧秩序ヲ維持スル為
  必要ト認ムルトキハ半島守備軍
  ノ司令官ニ対シ兵力ノ使用ヲ命
  スルヲ得ルコト

四、総督府ニ諮政院ヲ置キ 総督ノ
  諮詢ニ応シ半島ノ施政ニ關
  スル意見ヲ具申セシムルコト
  諮政院ニ顧問官 若干名ヲ置キ
  學識經験アル韓人中ヨリ之ヲ
  勅任スルコト 尤 議長 副議長ハ日
  本人ヲ以テ之ニ充ツルコト

五、総督府ニ総務長官ヲ置キ 且 総督
  府ヲ左ノ四部ニ分チ 部ニ部
  長ヲ置クコト
  (イ) 総務部
  (ロ) 財務部
  (ハ) 工務部
  (ニ) 殖産部
  右ノ外 尚 総督府ニ警務総监ヲ置キ
  総督ニ直隸シ半島ノ警察事
  務ヲ総攬セシムルコト

    (乙)地方廰

一、現在ノ十三道ヲ改メ従前ノ八道
  トナシ 道ニ観察使ヲ置キ 観察使
  廰ニ総務部、收税部 及 殖産
  部ノ三部ヲ置クコト

二、道ヲ分チテ府郡トナシ 府ニ府長
  郡ニ郡守ヲ置クコト

三、観察使ハ必ス日本人ヲ以テ之ニ充テ
  府長、郡守ハ日本人 又ハ韓人ヲ
  以テ之ニ充ツルコト

    (丙)裁判所

一、裁判所ハ 併合後ハ勿論 其以前
  ト虽 治外法権ノ廢絶セラルヽ
  コトアルヘキヲ豫想シ 其準備ト
  シテ今ヨリ外國人ノ裁判ヲ引受
  クルモ差支ナキ組織トナシ置クコト

二、現在ノ大審院ヲ以テ最高裁
  所トシ 同裁判所ヨリ東京大審
  院ヘノ上告ヲ許サヽルコト

三、韓人相互間ノ民事ニ付テハ韓人
  ニ關スル特別法令 及 𦾔慣ヲ適
  用スルコト

四、刑事 並 鮮人ト日本人 又ハ外國人
  間 及 日本人 外國人相互間ノ民事ニ
  付テハ日本法令ヲ適用スルコト

五、㐧三項ノ民事ヲ裁判スル塲合ニ於
  テハ韓人裁判官ヲ用フルコトヲ得
  ルモ 其他ノ塲合ニ於テハ常ニ日本
  人裁判官ノミヲ用フルコト

   㐧四、対外關係ノ件

一、韓國ト諸外國トノ條約ハ併合
  ト同時ニ消滅ニ帰シ 法権 及
  税権ハ全ク我ニ帰スルニ至ルヘ
  キニ依リ 詔勅ヲ以テ併合ヲ宣
  布セラルヽト同時ニ帝國政府ヨリ
  關連諸國ニ併合ノ趣ヲ通告
  シ 且 左ノ事項ヲ宣言スルコト
  (イ) 帝國ト諸外國トノ條約ハ 韓
    半島ニ適用シ得ル限リ 其
    効力ヲ同半島ニ及ホスコト
  (ロ) 外國人ニ關スル司法事務ハ
    在韓日本裁判所ニ於テ之
    ヲ取扱フコト
  (ハ) 輸出税ハ併合ト同時ニ之ヲ全
    廢シ 輸入税ハ当分ノ間 現行
    輸出税率ト同一ノ率ニ依リ
    之ヲ徴收スルコト
  (ニ) 外國人ノ既得権ハ 併合ニ依
    テ生シタル新事態ト両立スヘ
    カラサルモノヲ除クノ外 十分 之ヲ
    保護スヘキコト
  (ホ) 半島内地ヲ外國人ニ開放シ
    居住 及 営業ヲナスノ自由ヲ
    享有セシムヘキコト
  (ヘ) 半島ニ於ケル土地ノ所有権ハ
    之ヲ外國人ニ供與スルコト
  (ト) 日本ト韓國間 及 韓國各
    港間ノ沿岸貿易ハ 當分ノ
    間 従前ノ通リ之ヲ外國舩舶
    ニ許スコト

二、清國ニ於テハ我ニ対シ内地雜居ト
  土地所有権トヲ許ササルヲ以テ 同
  國人ニ対シテハ右ニ關シ相當ノ
  制限ヲ設クルコトヽシ 其趣旨ニ
  依リ前項ノ宣言ヲ發スルコト

 

↑公文別録・韓国併合ニ関スル書類・明治四十二年~明治四十三年・第一巻・明治四十二年~明治四十三年
韓国併合ニ関スル閣議決定書・其三
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