Ob-La-Di Oblako 文庫

帝国日本の侵掠戦争と植民地支配、人権蹂躙を記憶し、再現を許さないために、ひたすら文書資料を書き取る。姉妹ブログ「歴史を忘れる民族に未来はない!」https://obladioblako.hateblo.jp/ のデータ·ベースを兼ねる。

朝鮮国内乱に関し兵員派遣に関する方針 1894. 6. 2

             【下□】
【覧】

 朝鮮国内乱に関し兵員派遣に関する方針
右御覧に供す
  明治二十七年六月六日
    内閣総理大臣伯爵伊藤博文[花押]

局甲六七
明治二十七年六月二日
内閣総理大臣 博文 内閣書記官長 花押[伊東 巳代治]
 外務大臣 [陸奥 宗]光 内務大臣 [芳川 顕]正
 大蔵大臣 [渡辺] 国武 陸軍大臣 [大山] 巌
 海軍大臣 西[郷 従道] 司法大臣 [芳川 顕]正
 文部大臣 [井上] 馨  農商務大臣 [榎本] 武揚
 逓信大臣 花押 [黒田 清隆]

 朝鮮国、乱民内に起り、京城駐在公使館よりの来電によるに、官兵頻りに敗れ、乱民ますます猖厥を窮むるの勢ひありといひ、将来、乱民京城またはその他の日本人居留地に侵入することなきを保ち難く、したがって公使館および国民を保護するために兵員を派遣するの必要あり。
 天津条約第三款によるに、朝鮮国、変乱または重大事件あるに当り、日支両国または一国、兵を派するときは、行文知照すべしとの明文あり。故に出兵に当り、将来あるいは清国と往復関係すべきの [×必要あり×] <時機を生ずるも料るべからず> といへども、今度の事は急速の事変に係り、わが兵をもってわが国民を保護するを怠るべからざるがために清国と連合派兵するを待たず、条約の明文に従ひ行文知照し、直ちに出兵するを適当とす。
 京城駐在公使館、杉村書記官よりの来電によれは朝鮮政府はすでに応援を清国に求めたりといへり。清国のこれに応じたるや否やは未だ報知を得ずと雖、将来、清国もその兵員を派遣し、両国の軍隊、あるいは連合の働きをなし、あるいは朝鮮政府の要求により臨機に応援防護するの必要を生ずるもまた料るべからず。これまたあらかじめ算画の中に置かざるべからず。
 今はさらに詳報を得るを待たず、まづ第一に公使館および国民を保護するの必要を主とし、機先に後れざるために、及ぶだけ速やかに出兵の准備をなすべし。

 

https://www.digital.archives.go.jp/img/636982 1/5 左(右空白、前文書)

             【下□】
【覽】

 朝鮮國内乱ニ關シ兵員派遣ニ關スル
 方針
右御覧ニ供ス
  明治二十七年六月六日
    内閣總理大臣伯爵伊藤博文[花押]

 

https://www.digital.archives.go.jp/img/636982 2/5 左(右空白)

局甲六七
明治二十七年六月二日
內閣總理大臣 博文 內閣書記官長 花押[伊東 巳代治]
 外務大臣 [陸奧 宗]光 內務大臣 [芳川 顯]正
 大藏大臣 [渡邊] 國武 陸軍大臣 [大山] 巖
 海軍大臣 西[鄕 從道] 司法大臣 [芳川 顯]正
 文部大臣 [井上] 馨  農商務大臣 [榎本] 武揚
 遞信大臣 花押 [黑田 淸隆]

 

https://www.digital.archives.go.jp/img/636982 3/5 左(右空白)

朝鮮国亂民内ニ起リ京城駐在公使馆ヨリノ来
電ニ據ルニ官兵频ニ敗レ亂民益〻猖厥ヲ窮ムルノ
㔟アリト云 将来亂民京城又ハ其他ノ日本人居留
地ニ侵入スルコト無キヲ保チ難ク従テ公使馆及國
民ヲ保䕶スル為ニ兵員ヲ派遣スルノ必要アリ
天津條約第三款ニ依ルニ朝鮮国変亂又ハ重大

 

https://www.digital.archives.go.jp/img/636982 4/5 右

事件アルニ当リ日支両國又ハ一國兵ヲ派スルトキハ
行文知照スヘシトノ明文アリ 故ニ出兵ニ当リ<将来或ハ>清國ト
徃復關係スヘキノ [×必要アリ×] <時機ヲ生スルモ料ルヘカラズ> ト雖、今度ノ事ハ急速ノ
事変ニ係リ我カ兵ヲ以テ我カ國民ヲ保䕶スルヲ
怠ルヘカラザルカ為ニ清國ト聨合派兵スルヲ待タズ
条約ノ明文ニ従ヒ行文知照シ直チニ出兵スルヲ適当

 

https://www.digital.archives.go.jp/img/636982 4/5 左

トス
京城駐在公使馆杉村書記官ヨリノ来電ニ依レハ
朝鮮政府ハ已ニ應援ヲ清國ニ求メタリト云ヘリ 清國
ノ之ニ應シタルヤ否ヤハ未タ報知ヲ得ズト雖、将来
清國モ其ノ兵員ヲ派遣シ両國ノ軍隊或ハ聨合
ノ働ヲ為シ或ハ朝鮮政府ノ要求ニ由リ臨機ニ

 

https://www.digital.archives.go.jp/img/636982 5/5 右(左は次文書)

應援防䕶スルノ必要ヲ生スルモ亦料ルヘカラズ此レ亦
豫メ算画ノ中ニ置カザルヘカラズ
今ハ更ニ詳報ヲ得ルヲ待タズ先ツ㐧一ニ公使馆及
國民ヲ保䕶スルノ必要ヲ主トシ機先ニ後レザル為ニ
及フダケ速ニ出兵ノ准備ヲ為スベシ

 

↑「朝鮮国内乱ニ関シ兵員派遣ニ関スル方針ノ件」JACAR (アジア歴史資料センター) Ref.A03023061500 /公文別録・内閣・明治十九年~大正元年・第一巻・明治十九年~大正元年国立公文書館 別00165100)