Ob-La-Di Oblako 文庫

帝国日本の侵掠戦争と植民地支配、人権蹂躙を記憶し、再現を許さないために、ひたすら文書資料を書き取る。姉妹ブログ「歴史を忘れる民族に未来はない!」https://obladioblako.hateblo.jp/ のデータ·ベースを兼ねる。

「南京·杭州付近、また奪略·強姦の声を聞く。幕僚を特派して厳に取締を要求するとともに、責任者の処罰など厳重、各軍に要求せしむ。」 松井石根 戦陣日誌 1937.12.26

   12月26日、27日  晴
   28日  雨

 東京と諸般の連絡ならびに意見具申のため、塚田参謀長を派遣す。
 上海兵站病院を視察す。設備も漸次整い、現在、傷病兵約五千名に過ぎず。赤十字看護班の協力により、大体好成績に衛生諸設備行われつつあり、安心す。なお慰耤の手段に欠くる所あり、研究を促しおけり。

《パネー号事件解決》

 26日、パネー号事件解決の報あり。十分の出来にはあらざれど、これにて一段落となれば、支那の各地方に対する影響、相当大なるべく、今後、上海付近謀略工作などにも一層進展を期し得べし。
 南京·杭州付近、また奪略·強姦の声を聞く。幕僚を特派して厳に取締を要求するとともに、責任者の処罰など厳重、各軍に要求せしむ。

 27日、中[ママ]支那軍、済南を占領すとの報あり。今後 中[ママ]支那軍は更に南方へ作戦し、山東を全然孤立せしむるの要あり。これがため、我が軍において江北地方の作戦を徐州付近まで進むること更に有効なりと信じ、前述塚田少将に対し右意見を東京に具申せしむ。浙江方面に対する作戦は右作戦の関係もあり、しばらく時機を待つこと有利なりと考えあり。

秩父宮妃殿下より御手製の靴下2足、将校婦人会を経て下賜せらる。御付武官に御礼の電報を出す》

https://obladioblako.hatenablog.com/entry/2020/09/13/175032

 

  十二月二十六日、二十七日  晴
  二十八日  雨

東京ト諸般ノ連絡 幷 意見具申
ノ為メ塚田参謀長ヲ派遣ス
上海兵站病院ヲ視察ス 設備モ
漸次整ヒ 現在 傷病兵 約五千名
ニ過キス 赤十字看護班ノ協力ニ依
リ大体 好成績ニ衛生諸設備 行
ハレツヽアリ安心ス 尚 慰耤ノ手段ニ欠クル
所アリ 研究ヲ促シ置ケリ

[上欄]パネー号事件解決

二十六日 パネー号事件 解決ノ報アリ 十分
ノ出来ニハアラサレト 之ニテ一段落トナレハ
支那ノ各地方ニ対スル影響、相當
大ナルヘク 今後 上海附近謀略工作
ナトニモ一層 進展ヲ期シ得ヘシ
南京杭州附近 又 奪略 強姦ノ
聲ヲ聞ク 幕僚ヲ特派シテ厳ニ取
締ヲ要求スルト共ニ 責任者ノ處罰
ナト厳重<各軍ニ
    要求セシム

二十七日 中[ママ]支那軍 済南ヲ占領ストノ
報アリ 今後 中[ママ]支那軍ハ更ニ南方ヘ
作戦シ 山東ヲ全然孤立セシムルノ要ア
リ 之レカ為 我軍ニ於テ江北地方ノ
作戦ヲ徐州附近 迠 進ムル事 更ニ有
効ナリト信シ 前述 塚田少将ニ對シ右
意見ヲ東京ニ具申セシム 浙江方面
ニ対スル作戦ハ右作戦ノ関係モアリ暫ク時
機ヲ待ツ事 有利ナリト考ヘアリ

秩父宮妃/殿下ヨリ御手/製ノ靴下/
 二足 将校/婦人會ヲ経/テ下賜セラル、/
 御附武官ニ/御礼ノ電報/ヲ出ス》

https://obladioblako.hatenablog.com/entry/2020/09/13/173104