18. 9. 15
㊙ 日本人審判令 (案)
第一條 日本人及日本法人(以下單ニ日本人ト称ス)ニ對スル民事刑事ノ審判竝ニ檢察ニ付テハ本令ノ定ムル所ニ依ル
日本法人ニ非ザル法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半數以上又ハ資本ノ半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ日本人又ハ日本法人ニ屬スルモノハ本令ノ適用ニ付テハ日本法人ト看做ス
第二條 日本人相互ノ間ノ民事關係ニ付テハ軍政令竝ニ民法、商法其ノ他ノ日本ノ民事法令ニ依ル
日本人ト日本人ニ非ザル者トノ間ノ民事關係ニ付テハ日本ノ法律ニ依ル
第三條 日本人罪ヲ犯シタルトキハ軍政令及刑法其ノ他ノ日本ノ刑罰法令ニ依ル
第四條 民事及刑事ノ第一審ノ審判ハ高等法院之ヲ行フ
高等法院ニ於ケル訴訟手續ハ區裁判所ノ訴訟手續ニ依ル
第五條 高等法院ノ審判ニ對スル控訴及抗告ハ最終審トシテ最高法院之ヲ審判ス
又第四條第一項ノ規定ハ之ヲ適用セズ
第六條 裁判所構成法第五十條第二號ニ依リ大審院ノ特別權限ニ屬スル職務竝ニ刑事訴訟法ニ定タル非常上告ニ關スル大審院ノ職務ハ最高法院之ヲ行フ
前項ノ場合ニ於テハ檢事總長ノ職務ハ最高検察局長之ヲ行フ
第七條 本令ノ審判ハ日本ノ判事タル資格ヲ有スル審判官之ヲ行ヒ 檢察ノ事務ハ日本ノ檢事タル檢察官之ヲ行フ
第八條 民事ニ關シ紛爭ヲ生シタルトキハ當事者ハ調停ノ申立ヲ爲スコトヲ得
調停ニ付テハ戰時民事特別法第四章ノ規定ニ依リ日本
ノ判事タル資格ヲ有スル審判官ヲ以テ調停ノ主任トス
第九條 調停、民事訴訟法ニ定ムル強制執行、非訟事件手續、競賣法ニ依ル競賣、刑事訴訟法ニ定ムル略式手續ノ管轄裁判所ニ付テハ高等法院ヲ以テ其ノ管轄裁判所トス
第十條 法院ハ許可ヲ受クルニ非レバ何人ト雖モ訴訟代理人又ハ辯護人タルコトヲ得ズ 刑事訴訟法第三百三十四條ノ規定ハ當分ノ間 之ヲ適用セズ
裁判ノ執行其ノ他執達吏ニ屬セシメタル職務ハ高等法院ノ日本人職員ヲシテ之ヲ行ハシムルコトヲ得
第十一條 審判、檢察、調停其ノ他ノ手續ハ本令ニ別
段ノ定アルモノヲ除クノ外 民事訴訟法、刑事訴訟法其ノ他日本ノ手續法規二準ジテ之ヲ爲スコトヲ要ス 但シ占領地ニ於ケル在来ノ手續法ニ依ルヲ相當トスル場合其ノ他特別ノ事情アル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第十二條 本令ノ施行ニ關シ必要ナル事項ハ軍政監之ヲ定ム
附則
本令ハ昭和 年 月 日ヨリ施行ス
本令ハ本令施行前ニ生シタル事項ニモ亦之ヲ適用ス
占領地ニ或ル日本人ニ關スル非訟事件ノ取扱ハ當分ノ間非訟事件手續法第二編第二章乃至第五章ニ規定スル事項
ニシテ占領地ニ於テ取扱フヲ相當トスルモノニ限ル
左ノ事項ハ當分ノ間之ヲ行ハズ
人事訴訟
日本人ニ對スル破産竝ニ和議ノ手續
督促手續
↑司令部会同関係書類 昭和18.9.15
日本人審判令(案) https://www.jacar.archives.go.jp/das/image-j/C14060669200