Ob-La-Di Oblako 文庫

帝国日本の侵掠戦争と植民地支配、人権蹂躙を記憶し、再現を許さないために、ひたすら文書資料を書き取る。姉妹ブログ「歴史を忘れる民族に未来はない!」https://obladioblako.hateblo.jp/ のデータ·ベースを兼ねる。

「一億玉砕の心がまえ、これが日本の戦争生活です。」 情報局編集『週報』361 号 「通風塔」 1943. 9. 15

情報局編集 週報 九月十五日号 361号

【通風塔】

   イタリア降伏に感あり

 イタリア降伏の報にいい知れぬ憤りと憫みを感じました。
 憤りはパドリオ首相以下、指導者へのものです。その裏切行為に対してです。
 憫みはイタリア国民一般に対してです。苛烈な戦争生活に堪え得なかった彼等に対してです。戦争する以上は苦しいにきまっています。
 彼等の降伏のあとの生活に、果して真の幸福があるでしょうか。敵に頭を下げて生を求めようとは何という情ないことでしょう。
 われわれには国敗れて山河なしです。アッツの玉砕がよいお手本です。
 一億玉碎の心構え、これが日本の戦争生活です。
 降伏したイタリアを教訓として、あらゆる困難を排除してどしどしと戦争施策の遂行をお願いし、我々は一億火の玉となってこれに協力し、聖戰完遂に驀進しましょう。    (横浜市 多田年夫)

 

https://www.digital.archives.go.jp/img/1260387 2/22 左

  情報局編輯
   週 報
九月十五日號

 361號

https://www.digital.archives.go.jp/img/1260387 19/22 左

【通風塔】

 

  イタリア降伏に感あり
 イタリア降伏の報にいひ知れ
ぬ憤りと憫みを感じました。
 憤りはパドリオ首相以下、指
導者へのものです。その裏切行
爲に對してです。
 憫みはイタリア國民一般に對
してです。苛烈な戰爭生活に堪
へ得なかつた彼等に對してで

 

す。戰爭する以
上は苦しいにき
まつてゐます。
 彼等の降伏の
あとの生活に、
果して眞の幸福があるでせうか。
敵に頭を下げて生を求めようと
は何といふ情ないことでせう。
 われ/\には國敗れて山河な
しです。アッツの玉砕がよいお手
本です。
 一億玉碎の心構へ、これが日

本の戰爭生活です。
 降伏したイタリアを敎訓とし
て、あらゆる困難を排除してどし
どしと戰爭施策の遂行をお願ひ
し、我々は一億火の玉となつてこ
れに協力し、聖戰完遂二驀進
しませう。(横濱市 多田年夫)

 

週報 第361号」JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.A06031052300、週報(国立公文書館