午後四時五十一分開議
〔賀陽宮邦寿王殿下御台臨〕
◯議長 (岡田忠彦君) ただ今、賀陽宮邦寿王殿下、御台臨あらせられました。諸君の御起立を願います。
〔総員起立敬礼〕
◯議長 (岡田忠彦君) 休憩前に引続き、会議を開きます。内閣総理大臣より発言の通告があります。ーー内閣総理大臣、小磯国昭君。
―ーーーーーーーー―
〔国務大臣小磯国昭君登壇〕
◯国務大臣 (小磯国昭君) 不肖、さきに米内海軍大将とともに図らずも組閣の大命を拝し、国政爕理の重任を承ることに相成りましたが、まことに恐懼感激に耐えませぬ。真に非常重大なる時局下、渾身の努力を捧げて大御心に副い奉らんことを期しております。ここに第八十五回帝国議会に臨み、政府の所信を披瀝するの機会を得ましたことは、私の最も欣幸とする所であります。畏くも天皇陛下におかせられましては、本日の開院式に当り特に優渥なる 勅語を賜わり、まことに感激にえませぬ。私は諸君とともに謹みて 聖旨を奉戴し、蹇々匪躬の誠を致し、決戦下重大なる職務の遂行を期し、速やかに戦争目的を達成し、もって 宸襟を安んじ奉りたいと存じております。(拍手)
私は今皇国の興廃を決すべき重大時局の関頭に立ち、高祖皇宗の神霊のまにまに世界に比類なき皇国国体を護持し、光輝ある悠久の歴史をいよいよ顕揚すべきは正に今日にあることを顧い、一億同胞とともに堅確なる必勝の信念を把持して、大和一致、総力を結集し、近く断乎、米英撃滅の挙に出でんとする第一線皇軍の壮図に索応して、国務の運営を飽くまでも戦争目的の完遂に吻合せしめたいと存じます。(拍手)
そもそも大東亜戦争は、宣戦の詔勅に昭示せらるるごとく皇国の自存自衛のため蹶起を余儀なくせられたるものであります。と同時に、大東亜復興という大目標を有するものでありまして、真に大和民族の死活を賭する戦争であるのみならず、アジア十億の運命を決する大決戦であります。(拍手) 古来一難の加わる毎にますます奮起するわが国民性の長所は、既に本戦争の経過中においてもしばしば実証せられた所でありますが、わが本土に対する敵の来襲はようやく頻繁かつ大規模ならんとし、また敵の本土上陸をも考慮すべき現段階におきましては、真に総力を結集し一切を捧げて国体を護持するの一念に燃え、飽くまで戦い抜く決意を新たにし、斎戒神に祈り人事の限りを尽くすべきであります。(拍手)
このときにあたり、想いを遥かに前線に馳せまするならば、わが第一線将兵は日夜勇戦力闘、敵の物量攻勢下に毫も怯む所なく、士気ますます旺盛、真に鬼神を哭かしむる底の健闘を続け、随所に敵の野望を破砕しておるのであります。私はここに諸君と共に皇軍将兵の健闘に対し、満腔の謝意を表しますると共に、不幸戦歿せられましたる勇士の忠誠に対し、謹んで敬弔の誠を捧げ、また傷痍の将兵ならびに遺族の方々に対し、衷心より同情の意を表するものであります。(拍手) さらにまた私は、この重大なる戦局下、生産に、国土防衛に、日夜奮闘しつつある一億同胞諸君に対し、深甚なる敬意を表すると共に、同胞諸君が自ら第一線将兵の壮烈なる奮戦に応うる所あるべきを信じて疑わざるものであります。(拍手)
今や戦局は真に危急、皇国の興廃正に繫って今日にあります。この危局を打開せんがためには、国政運営の基本を大東亜戦争の目的完遂に帰一せしめ、文武相通じ、統帥と国務との密接なる吻合を図ることにより、強力なる戦争指導に万遺憾なきを期すべきこともまた当然であります。これ先般、最高戦争指導会議が設置せらるるに至った所以でありまして、今後における国政の運営はこの会議において、統帥と国務との綜合せられたる上にその根本の方針を決定し、万般の施策、これに基いて決戦的展開を図ることと相成ったのであります。
当面の戦局に即応する決戦施策の第一は、戦意の昂揚と必勝国家態勢の確立であります。戦意の昂揚には徹底せる国体観念の振作をも基調とせねばならぬこと、今さら申すまでもなく、いかなる苦難をも突破して万邦無比の国体を護持せんとする灼鉄のごとき決心は、即ち必勝信念の源泉でありまして、鞏固なる国体観念こそは、取りも直さず最も偉大なる戦力であります。(拍手) しかも戦意の昂揚は、一面また民意の暢達なくしてこれを期すること不可能であります。(拍手) 政府は即ち決戦段階に臨むに際し、内外の実情を遍く国民に周知せしめ、戦争に対する共同の責任感を振起せしめて、憂国の至情を頒つと共に、深く国民の忠誠心に信頼して、その公正なる言論に聴き、一億明朗、国難に赴くの風あらしめたい所存であります。(拍手)
一切を挙げて天壌無窮の皇運を扶翼し奉るということは、一億同胞に取りては悠久幾千年来の信仰でありまして、一億国民の血となり肉となっておる所であります。この大精神の発する所、凛冽万古を貫く国民的気魄となり、外、敵の思想謀略を粉砕し、内、滅私奉公の底力となり、盤石の国内態勢となるのであります。必勝国家態勢の確立上、実施すべき諸施策は固より多々ありますが、要は新奇を衒はず旧套に泥まず、一意生産を阻碍しつつある隘路を打開するため、有効適切なる措置は躊躇なく断行し、かくして人心を一新して同胞の全幅的協力を求め、さらに国民道義の振作に一段の留意をいたしたいと存じております。
なお同胞の全幅的協力を要するに当り、朝鮮おろよび台湾は皇国の有効なる一部としておのおのその地域の持つ特質を発揮しつつ、皇国の興隆と戦争目的達成に寄与貢献しておりますが、さきには陸海軍特別志願兵として成果を挙げ、今また徴兵制の施行を見るに至り、既に多数の同胞、聖戦に参加して挺身、奉公の誠をいたしておりますることは、国家のため慶幸とする所であると同時に、その処遇につき十分考慮する所がなければならぬと存ずるのであります。(拍手)
ビルマ国は既に独立一周年を迎えたのでありますが、バー・モウ国家代表の熱誠なる指導の下挙国一致、幾多の困難を克服しつつ、その健全なる発達と、戦争完遂の決意の熱烈旺盛なるものあるは、まことに頼もしき限りであります。
フィリピン国も近く独立一周年を迎える訳でありますが、ラウレル大統領の陣頭指揮により、戦時下食料および治安等の問題に対してもよくこれに善処し、着々戦時体制を整備しつつありますことは、まことに力強き友邦なりと申すべきであります。
自由インド仮政府首班スバス・チャンドラ・ボース氏以下のインド独立に関する必死の奮闘に対しましては、衷心敬意を表するものでありまして、皇国といたしましては今後ともますますこれに強力なる支援を寄せ、その独立目的達成に協力すべきこと勿論であります。
次に東インドにおきましては、帝国は昨年原住民の念願に基き、その政治参与に関する措置を取って参ったのでありますが、この間これら各地の原住民はよく帝国の真意を解し、終始一貫大東亜戦争完遂のため多大の努力を続けて参ったのでありまして、現地軍政に対する協力またまことに見るべきものがあります。この実情に鑑みまして、帝国は東インド民族永遠の福祉を確保するため、将来その独立を認めんとするものなることをここに声明するものであります。(拍手)
かくのごとく帝国政府といたしましては、大東亜地域に対する従来の政策を将来に向って堅持するは勿論、今後ますます大東亜共同宣言の精神を強力に展開して、大東亜諸国家諸民族の信頼に応へんことを期するものであります。
(拍手)
かくして皇国を中核とする大東亜が堅確なる必勝信念の下いよいよ一致結束を固くし、物心両面にわたる一切の総力を結集し、大東亜復興の聖戦に邁進する時、必ずや米英の野望を粉砕し、もって万古不滅の皇国の世界理念を、悠久に顕揚し得ることを確信するものであります。(拍手)
以上重大なる戦局に鑑み、一億同胞とともに決戦に邁進すべき政府の所信を披瀝いたしたのでありますが、諸君におかれましても政府の決意を諒とせられ、一億国民の先頭に立ち、大和一致、飽くまでも戦争完遂に向って邁進せられますよう希望してやみませぬ。
午後四時五十一分開議
〔賀陽宮邦壽王殿下御台臨〕
◯議長 (岡田忠彥君) 只今賀陽宮邦壽
王殿下御台臨アラセラレマシタ、諸君
ノ御起立ヲ願ヒマス
〔總員起立敬禮〕
◯議長 (岡田忠彥君) 休憩前ニ引續キ
會議ヲ開キマス、內閣總理大臣ヨリ發
原ノ通告ガアリマスーー內閣總理大臣
小磯國昭君
―ーーーーーーーー―
〔國務大臣小磯國昭君登壇〕
◯國務大臣 (小磯國昭君) 不肖曩ニ米
內海軍大將ト共ニ圖ラズモ組閣ノ大命
ヲ拜シ、國政爕理ノ重任ヲ承ルコトニ
相成リマシタガ、洵ニ恐懼感激ニ耐ヘ
マセヌ、眞ニ非常重大ナル時局下、渾
身ノ努力ヲ捧ゲテ大御心ニ副ヒ奉ラン
コトヲ期シテ居リマス、茲ニ第八十五
囘帝國議會ニ臨ミ、政府ノ所信ヲ披瀝
スルノ機會ヲ得マシタコトハ私ノ最モ
欣幸トスル所デアリマス、畏クモ
天皇陛下ニ於カセラレマシテハ、本日ノ
開院式ニ當リ特ニ優渥ナル 勅語ヲ賜
ハリ、洵ニ感激ニ堪ヘマセヌ、私ハ諸
君ト共ニ謹ミテ 聖旨ヲ奉戴シ蹇々匪
躬ノ誠ヲ致シ、決戰下重大ナル職務ノ
遂行ヲ期シ速カニ戰爭目的ヲ達成シ、
以テ 宸襟ヲ安ンジ奉リタイト存ジテ
居リマス (拍手)
私ハ今皇國ノ興廢ヲ決スベキ重大時
局ノ關頭ニ立チ、高祖皇宗ノ神靈ノマ
ニマニ世界ニ比類ナキ皇國國體ヲ護持
シ、光輝アル悠久ノ歷史ヲ愈〻顯揚スベ
キハ正ニ今日ニ在ルコトヲ顧ヒ、一億
同胞ト共ニ堅確ナル必勝ノ信念ヲ把持
シテ、大和一致、總力ヲ結集シ、近ク
斷乎米英擊滅ノ擧ニ出デントスル第一
線皇軍ノ壯圖ニ索應シテ、國務ノ運營
ヲ飽クマデモ戰爭目的ノ完遂ニ吻合セ
シメタイト存ジマス (拍手)
抑〻大東亞戰爭ハ、宣戰ノ詔勅ニ昭示
セラルヽ如ク皇國ノ自存自衞ノ爲メ蹶
起ヲ餘儀ナクセラレタルモノデアリマス
ト同時ニ、大東亞復興ト云フ大目標ヲ
有スルモノデアリマシテ、眞ニ大和民
族ノ死活ヲ賭スル戰爭デアルノミナラ
ズ、「アジア」十億ノ運命ヲ決スル大決
戰デアリマス (拍手) 古來一難ノ加ハル
每ニ益〻奮起スル我ガ國民性ノ長所ハ、
旣ニ本戰爭ノ經過中ニ於テモ屢〻實證
セラレタ所デアリマスガ、我ガ本土ニ
對スル敵ノ來襲ハ漸ク頻繁且ツ大規模
ナラントシ、又敵ノ本土上陸ヲモ考慮
スベキ現段階ニ於キマシテハ、眞ニ總
力ヲ結集シ一切ヲ捧ゲテ國體ヲ護持ス
ルノ一念ニ燃エ、飽クマデ戰ヒ拔ク決
意ヲ新タニシ、齋戒神ニ祈リ人事ノ限
リヲ盡クスベキデアリマス (拍手)
此ノ秋ニ方リ、想ヲ遙カニ前線ニ馳
セマスルナラバ、我ガ第一線將兵ハ日
夜勇戰力鬪、敵ノ物量攻勢下ニ毫モ怯
ム所ナク、士氣益〻旺盛、眞ニ鬼神ヲ
哭カシムル底ノ健鬪ヲ續ケ、隨所ニ敵
ノ野望ヲ破碎シテ居ルノデアリマス、
私ハ茲ニ諸君ト共ニ皇軍將兵ノ健鬪ニ
對シ、滿腔ノ謝意ヲ表シマスルト共ニ、
不幸戰歿セラレマシタル勇士ノ忠誠ニ
對シ、謹ンデ敬弔ノ誠ヲ捧ゲ、又傷痍ノ
將兵竝ニ遺族ノ方々ニ對シ、衷心ヨリ
同情ノ意ヲ表スルモノデアリマス (拍
手) 更ニ又私ハ、此ノ重大ナル戰局下、
生產ニ、國土防衞ニ、日夜奮鬪シツヽ
アル一億同胞諸君ニ對シ、深甚ナル敬
意ヲ表スルト共ニ、同胞諸君ガ自ラ第
一線將兵ノ壯烈ナル奮戰ニ應フル所ア
ルベキヲ信ジテ疑ハザルモノデアリマ
ス (拍手)
今ヤ戰局ハ眞ニ危急、皇國ノ興廢正
ニ繫ツテ今日ニ在リマス、此ノ危局ヲ
打開センガ爲ニハ、國政運營ノ基本ヲ
大東亞戰爭ノ目的完遂ニ歸一セシメ、
文武相通ジ、統帥ト國務トノ密接ナル
吻合ヲ圖ルコトニ依リ、强力ナル戰爭指
導ニ萬遺憾ナキヲ期スベキコトモ亦當然
デアリマス、是レ先般最高戰爭指導會
議ガ設置セラルヽニ至ツタ所以デアリ
マシテ、今後ニ於ケル國政ノ運營ハ此
ノ會議ニ於テ、統帥ト國務トノ綜合セラ
レタル上ニ其ノ根本ノ方針ヲ決定シ、
萬般ノ施策、之ニ基イテ決戰的展開ヲ
圖ルコトト相成ツタノデアリマス
當面ノ戰局ニ卽應スル決戰施策ノ第
一ハ、戰意ノ昂揚ト必勝國家態勢ノ確
立デアリマス、戰意ノ昂揚ニハ徹底セ
ル國體觀念ノ振作ヲモ基調トセネバナ
ラヌコト今更申スマデモナク、如何ナル
苦難ヲモ突破シテ萬邦無比ノ國體ヲ護
持セントスル灼鐵ノ如キ決心ハ、卽チ
必勝信念ノ源泉デアリマシテ、鞏固ナ
ル國體觀念コソハ、取リモ直サズ最モ
偉大ナル戰力デアリマス (拍手) 而モ戰
意ノ昂揚ハ、一面又民意ノ暢達ナクシ
テ之ヲ期スルコト不可能デアリマス
(拍手) 政府ハ卽チ決戰段階ニ臨ムニ際
シ、内外ノ實情ヲ遍ク國民ニ周知セシ
メ、戰爭ニ對スル共同ノ責任感ヲ振起
セシメテ、憂國ノ至情ヲ頒ツト共ニ、
深ク國民ノ忠誠心ニ信賴シテ、其ノ公
正ナル言論ニ聽キ、一億明朗、國難ニ
赴クノ風アラシメタイ所存デアリマス
(拍手)
一切ヲ擧ゲテ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼
シ奉ルト云フコトハ、一億同胞ニ取リ
テハ悠久幾千年來ノ信仰デアリマシ
テ、一億國民ノ血トナリ肉トナツテ
居ル所デアリマス、此ノ大精神ノ發ス
ル所凛冽萬古ヲ貫ク國民的氣魄トナ
リ、外敵ノ思想謀略ヲ粉碎シ、內滅私
奉公ノ底力トナリ、盤石ノ國內態勢ト
ナルノデアリマス、必勝國家態勢ノ確
立上實施スベキ諸施策ハ固ヨリ多々ア
リマスガ、要ハ新奇ヲ衒ハズ舊套ニ泥
マズ、一意生產ヲ阻碍シツヽアル隘路
ヲ打開スル爲メ、有效適切ナル措置ハ
躊躇ナク斷行シ、斯クシテ人心ヲ一新
シテ同胞ノ全幅的協力ヲ求メ、更ニ國
民道義ノ振作ニ一段ノ留意ヲ致シタイ
ト存ジテ居リマス
尚ホ同胞ノ全幅的協力ヲ要スルニ當
リ、朝鮮及ビ臺灣ハ皇國ノ有効ナル一
部トシテ各〻其ノ地域ノ持ツ特質ヲ發
揮シツヽ、皇國ノ興隆ト戰爭目的達成
ニ寄與貢獻シテ居リマスガ、曩ニハ陸
海軍特別志願兵トシテ成果ヲ擧ゲ、今
又徴兵制ノ施行ヲ見ルニ至リ、旣ニ多
數ノ同胞聖戰ニ參加シテ挺身奉公ノ誠
ヲ致シテ居リマスルコトハ、國家ノ爲
メ慶幸トスル所デアルト同時ニ、其ノ
處遇ニ付キ十分考慮スル所ガナケレバ
ナラヌト存ズルノデアリマス (拍手)
「ビルマ」國ハ既ニ獨立一周年ヲ迎ヘ
タノデアリマスガ、「バー・モウ」國家
代表ノ熱誠ナル指導ノ下擧國一致、幾
多ノ困難ヲ克服シツヽ、其ノ健全ナル
發達ト、戰爭完遂ノ決意ノ熱烈旺盛ナ
ルモノアルハ、洵ニ賴モシキ限リデア
リマス
「フイリピン」國モ近ク獨立一周年ヲ
迎ヘル譯デアリマスガ、「ラウレル」大
統領ノ陣頭指揮ニ依リ、戰時下食料及
ビ治安等ノ問題ニ對シテモ能ク之ニ善
處シ、着々戰時體制ヲ整備シツヽアリ
マスコトハ、洵ニ力强キ友邦ナリト申
スベキデアリマス
自由「インド」假政府首班「スバス・チ
ヤンドラ・ボース」氏以下ノ「インド」獨
立ニ關スル必死ノ奮鬪ニ對シマシテハ、
衷心敬意ヲ表スルモノデアリマシテ、
皇國ト致シマシテハ今後トモ益〻之
ニ强力ナル支援ヲ寄セ、其ノ獨立目的
達成ニ協力スベキコト勿論デアリマス
次ニ東「インド」ニ於キマシテハ、帝
國ハ昨年原住民ノ念願ニ基キ、其ノ政
治參與ニ關スル措置ヲ取ツテ參ツタノ
デアリマスガ、此ノ閒是等各地ノ原住
民ハ克ク帝國ノ眞意ヲ解シ、終始一貫
大東亞戰爭完遂ノ爲メ多大ノ努力ヲ續
ケテ參ツタノデアリマシテ、現地軍政
ニ對スル協力亦洵ニ見ルベキモノガア
リマス、此ノ實情ニ鑑ミマシテ、帝
國ハ東「インド」民族永遠ノ福祉ヲ確保
スル爲メ、將來其ノ獨立ヲ認メントス
ルモノナルコトヲ茲ニ聲明スルモノデ
アリマス (拍手)
斯クノ如ク帝國政府ト致シマシテ
ハ、大東亞地域ニ對スル從來ノ政策ヲ
將來ニ向ツテ堅持スルハ勿論、今後益〻
大東亞共同宣言ノ精神ヲ强力ニ展開
シテ、大東亞諸國家諸民族ノ信賴ニ
應ヘンコトヲ期スルモノデアリマス
(拍手)
斯クシテ皇國ヲ中核トスル大東亞ガ
健吾ナル必勝信念ノ下愈〻一致結束ヲ
固クシ、物心兩面ニ亘ル一切ノ總力ヲ
結集シ、大東亞復興ノ聖戰ニ邁進スル
時、必ズヤ米英ノ野望ヲ粉碎シ、以テ
萬古不滅ノ皇國ノ世界理念ヲ、悠久ニ
顯揚シ得ルコトヲ確信スルモノデアリ
マス (拍手)
以上重大ナル戰局ニ鑑ミ、一億同胞
ト共ニ決戰ニ邁進スベキ政府ノ所信ヲ
披瀝致シタノデアリマスガ、諸君ニ於
カレマシテモ政府ノ決意ヲ諒トセラ
レ、一億國民ノ先頭ニ立チ、大和一致、
飽クマデモ戰爭完遂ニ向ツテ邁進セラ
レマスヤウ希望シテ已ミマセヌ
↑官報号外 昭和十九年九月七日 第八十五回帝国議会 集議院議事速記録第一号 https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/#/detail?minId=008513242X00119440907¤t=3