Ob-La-Di Облако 文庫

帝国日本の侵掠戦争と植民地支配、人権蹂躙を記憶し、再現を許さないために、ひたすら文書資料を書き取る。姉妹ブログ「歴史を忘れる民族に未来はない!」https://obladioblako.hateblo.jp/ のデータ·ベースを兼ねる。

歩兵第41連隊陣中日誌所収、第2軍司令官、東久邇宮稔彦王の訓示と北支那方面軍参謀長、岡部直三郎の通牒 1938.7.13                     

 

《7月13日 晴 宿県》
1.森田隊は8時出発、固鎮に向ひ前進、19時到着す。

〈日々命令〉

2.左の日々命令下達す。

    日々命令 7月13日 於宿県部隊本部

  一、  陸軍軍医中尉  望月策夫

    連隊本部付きを命ず。(7月12日付)

〈軍司令官訓示〉

3.本日、右の通り第2軍司令官よりの訓示を受く。

 依て之が写しを印刷、配布す。

   訓示

 稔彦、先に閫外の重任を拝し、武勲赫々たる第2軍を統率して徐州会戦に臨むや、各隊克く有形無形の戦力を発揮し、衆敵堅陣を撃砕して偉大なる戦果を収めたり。是れ固より御陵威の然らしむるところなりと雖も、亦以て将兵の奮戦健闘に由る。茲に深く其の労を多とすると共に、此の間陣没の英霊に対し衷心敬弔の意を表す。

 惟ふに戦局の前途、尚遼遠にして、暴戻なる敵軍に更に一大鉄槌を加ふるの要あるは、敢て贅言を要せざる所、之が為、今回作戦の転機に際し軍の戦斗序列改変の大命に接し、或は死生を倶にせる部隊と袂を別ち、或は依然相携へて新任務に就き、或は新たに麾下に精強なる部隊を迎ふる等、陣容の変更を見るに至れり。

 抑々本次事変は大日本国民に課せられたる天の試練にして、軍は既に幾多光輝ある戦績を収め得たりと雖も、敵の死命を制し能く聖戦の目的を達成し得ると否とは、寧ろ懸りて今後作戦に存す。是を得を以て出でな、他に転ずる者と、依然軍に留まる者と、将た又、新たに軍に入る者とを問はず、愈々志気を高揚し、益々軍紀を振作し、征戦長期に亘るも有ゆる難局を打開して戦捷の一途に邁進し、彼をして屈服せしめずんば止まざるの気迫を堅持せざるべからず。劣弱なる支那軍にして尚且つ長期交戦を呼号し、執拗なる抵抗を持続す。我にして堅忍不抜の意志を欠くるところあらんか、安んぞ能く聖戦の目的を貫徹し得んや。今や新陣容を以て乾坤一擲次期作戦に向わんとす。将兵一同愈々尽忠報国の精神を砥礪して、一度作戦行動を再興するや前途に横たはる天嶮地障を踏破し、炎暑瘴癘を克服し、勇躍奮進、敵をして余喘からしむるの諸準備に遺憾なきを期すべし。

     昭和13年7月10日

         第2軍司令官 稔彦王

4.軍人·軍隊の対住民行為に関する注意の件ありたるに付き印刷配布し、之が徹底を計る。其の内容、左の如し。

 方軍参2密第161号

  軍人·軍隊の対住民行為に関する

  注意の件、通牒

   北支那方面軍参謀長 岡部直三郎

1. 軍占拠地域内の治安は徐州会戦の結果、一時好転せしやに看受けられしも、最近に至り山東省方面に於ける交通線の破壊復び盛んとなり、又、北部京漢線西方地区共産遊撃隊の活動は北京北方地区を経て、従来の平和境、冀東方面に迄拡大せらるる等、再び逆転の傾向を示しつつあり、治安回復の前途、実に多難なるを覚えしむ。

2. 治安回復の進捗遅々たる主なる原因は、後方安定に任ずる兵力の不足にあること勿論なるも、一面、軍人及び軍隊の住民に対する不法行為が住民の怨嗟を買ひ、反抗意識を煽り、共産抗日系分子の民衆扇動の口実となり、治安工作に重大なる悪影響を及ぼすこと少なしとせず。

 而して諸情報に依るに、斯くの如き強烈なる反日意識を激成せしめし原因は、各所に於ける日本軍人の強姦事件が全般に伝播し、実に予想外の深刻なる反日感情を醸成せるにありと謂ふ。

3.  由来、山東、河南、河北南部等に在る紅槍会大刀会及び之に類する自衛団体は、古来、軍隊の略奪·強姦行為に対する反抗熾烈なるが、特に強姦に対しては各地の住民一斉に立ち、死を以て報復するを常としあり。(昭和12年10月6日、方面軍より配布せる『紅槍会の習性に就て』参照)

 従て各地に頻発する強姦は単なる刑法上の罪悪に留まらず、治安を害し、軍全般の作戦行動を阻害し、累を国家に及ぼす重大反逆行為と謂ふべく、部下統率の責にある者は国軍·国家の為め泣いて馬稷を斬り、他人をして戒心せしめ、再び斯かる行為の発生を絶滅するを要す。若し之を不問に付する指揮官あらば、是、不忠の臣と謂はざるべからず。

4. 右の如く軍人個人の行為を厳重取締まると共に、一面、成るべく速かに性的慰安の設備を整へ、設備の無きため不本意乍ら禁を侵す者無からしむるを緊要とす。

5. 右の外、討伐部隊が戦闘上の必要に基くに非ずして、単に敵兵の存在せし故に、或は住民地付近の交通を匪賊が破壊せりとの理由に依り、住民の家屋を焼却するが如きは、徒に無辜の住民をして自暴自棄に陥り匪賊に投ぜしむる結果となるを以て、住民地の焼却は厳に之を禁止するを要す。

 近時、各遊撃部隊は県政府を作り、相当組織ある行政を布きあるを以て、討伐部隊の行為、住民を庇護するの態度に出でざるに於ては、住民をして日本軍よりも反つて遊撃部隊を徳とするに至らしむべし。

6. 前述の諸項は従来屡々注意せられし所なるが、其の徹底、特に実行部隊たる中隊以下に対する徹底、十分ならざる憾みあり。此の際、特に下級部隊へ徹底を期し、信賞必罰を以て臨まれたく、命に依り通牒す。

5.加給品を左の如く分配す。

   加給品 朱広 各人1本

〈糧秣補充〉

6.本日、左の如く糧秣補充を受く。

内訳

品目/数量 精米/95俵 精麦/29俵 味噌/29樽 梅干/9樽 干白菜/4個 干削鰢/四個 携帯缶詰/6個 福神漬/7樽 醤油/29樽 ポレー米/1個 煙草/35個 干油揚/4個 昆布巻/4個 豆麺/4個 干野菜/4個 羊肉野菜缶詰/11個 燕麥/100俵 石油/2缶 魚?用?干野菜煮/11個 干貝肉/4個 干馬苓薯/4個 豚肉缶詰/11個 携帶砂糖/5個 落花生油/4個 酢/1個 茶/1個 乾パン/21個 ガソリン/1個 恤兵品{鰹節/3個 鰑/4個 軍馬栄養食/1個 蜜柑缶詰/19個} ビール(2打入)/24個 サイダー(4打入)/24個 酒(1打入)/13個 羊羮(242本入)/5個

 

《七月十三日 晴 宿縣》
一、森田隊ハ八時出発固鎭ニ向ヒ前進十九時到着ス

〈日々命令〉

二、左ノ日々命令ヲ下達ス

    日々命令 七月十三日 於宿縣部隊本部

   一、  陸軍軍醫中尉  望月策夫

   聯隊本部附ヲ命ス (七月十二日附)

〈軍司令官訓示〉

三、本日右ノ通リ第二軍司令官ヨリノ訓示ヲ受ク

依テ之カ寫ヲ印刷配布ス

   訓示

稔彦曩ニ閫外ノ重任ヲ拝シ武勲赫々タル第二軍ヲ統率シテ徐州会戰ニ臨ムヤ各隊克ク有形無形ノ戰力ヲ発揮シ衆敵堅陣ヲ擊碎シテ偉大ナル戰果ヲ収メタリ是レ固ヨリ御陵威ノ然ラシムルトコロナリト雖モ亦以テ將兵ノ奮戰健鬪ニ由ル茲ニ深ク其ノ勞ヲ多トスルト共ニ此ノ間陣歿ノ英靈ニ對シ衷心敬弔ノ意ヲ表ス惟フニ戰局ノ前途尚遼遠ニシテ暴戾ナル敵軍ニ更ニ一大鐵槌ヲ加フルノ要アルハ敢テ贅言ヲ要セサル所之カ爲今囬作戰ノ轉機ニ際シ軍ノ戰斗序列改変ノ大命ニ接シ或ハ死生ヲ倶ニセル部隊ト袂ヲ別チ或ハ依然相携ヘテ新任務ニ就キ或ハ新ニ麾下ニ精强ナル部隊ヲ迎フル等陣容ノ変更ヲ見ルニ至レリ

抑々本次事変ハ大日本國民ニ課セラレタル天ノ試練ニシテ軍ハ旣ニ幾多光輝アル戰績ヲ収メ得タリト雖敵ノ死命ヲ制シ能ク聖戰ノ目的ヲ達成シ得ルト否トハ寧ロ懸リテ今後作戰ニ存ス是ヲ得テ以テ出テナ他ニ轉スル者とト依然軍ニ留ル者ト將タ又新ニ軍ニ入ル者トヲ問ハス愈々志氣ヲ昂揚シ益々軍紀ヲ振作シ征戰長期ニ亙ルモ有ユル難局ヲ打開シテ戰捷ノ一途ニ邁進シ彼ヲシテ屈服セシメスンハ止マサル気魄ヲ堅持セサルヘカラス劣弱ナル支那軍ニシテ尚且長期交戰ヲ呼號シ執拗ナル抵抗ヲ持續ス我ニシテ堅忍不拔ノ意志ヲ缺クルトコロアランカ安ンソ能ク聖戰ノ目的ヲ貫徹シ得ンヤ今ヤ新陣容ヲ以テ乾坤一擲ノ次期作戰ニ向ワントス將兵一同愈々盡忠報國ノ精神ヲ砥礪シテ一度作戰行動ヲ再興スルヤ前途ニ横ル天嶮地障ヲ踏破シ炎暑瘴癘ヲ克服シ勇躍奮進敵ヲシテ餘喘ナカラシムルノ諸準備ニ遺憾ナキヲ期スへシ

     昭和十三年七月十日

         第二軍司令官 稔彦王

四、軍人軍隊ノ對住民行為ニ関スル注意ノ件アリタルニ付印刷配布シ之カ徹底ヲ計ル其ノ内容左ノ如シ

 方軍参二密第一六一號

  軍人軍隊ノ對住民行為ニ關スル注意ノ件通牒

       北支那方面軍参謀長 岡部直三郎

一、軍占據地域内ノ治安ハ徐州會戰ノ結果一時好轉セシヤニ看受ケラレシモ最近ニ至リ山東省方面ニ於ケル交通線ノ破壞復ヒ盛トナリ又北部京漢線西方地區共産遊擊隊ノ活動ハ北京北方地區ヲ経テ從來ノ平和境冀東方面ニ迄擴大セラルヽ等再ヒ逆轉ノ傾向ヲ示シツヽアリ治安囘復ノ前途實ニ多難ナルヲ覺エシム

二、治安囘復ノ進捗遅々タル主ナル原因ハ後方安定ニ任スル兵力ノ不足ニアルコト勿論ナルモ一面軍人及軍隊ノ住民ニ對スル不法行為カ住民ノ怨嗟ヲ買ヒ反抗意識ヲ煽リ共産抗日系分子ノ民衆扇動ノ口実トナリ治安工作ニ重大ナル悪影響ヲ及ホスコト尠シトセス

而シテ諸情報ニ依ルニ斯ノ如キ强烈ナル反日意識ヲ激成セシメシ原因ハ各所ニ於ケル日本軍人ノ强姦事件カ全般ニ伝播シ實ニ豫想外ノ深刻ナル反日感情ヲ釀成セルニアリト謂フ

三、由来山東 河南 河北南部等ニ在ル紅槍會大刀會及之ニ類スル自衞団体ハ古来軍隊ノ略奪强姦行為ニ對スル反抗熾烈ナルカ特ニ强姦ニ對シテハ各地ノ住民一齊ニ立チ死ヲ以テ報復スルヲ常トシアリ(昭和十二年十月六日方面軍ヨリ配布セル紅槍會ノ習性ニ就テ参照)

從テ各地ニ頻發スル强姦ハ單ナル刑法上ノ罪悪ニ留ラス治安ヲ害シ軍全般ノ作戰行動ヲ阻害シ累ヲ國家ニ及ホス重大反逆行為ト謂フヘク部下統率ノ責ニアル者ハ國軍國家ノ為泣テ馬稷ヲ斬リ他人ヲシテ戒心セシメ再ヒ斯ク行為ノ発生ヲ絕滅スルヲ要ス若シ之ヲ不問ニ附スル指揮官アラハ是不忠ノ臣ト謂ハサルヘカラス

四、右ノ如ク軍人個人ノ行為ヲ嚴重取締ルト共ニ一面成ルへク速ニ性的慰安ノ設備ヲ整ヘ設備ノ無キタメ不本意乍ラ禁ヲ侵ス者無カラシムルヲ緊要トス

五、右ノ外討伐部隊カ戰鬪上ノ必要ニ基クニ非スシテ單ニ敵兵ノ存在セシ故ニ或ハ住民地附近ノ交通ヲ匪賊カ破壊セリトノ理由ニ依リ住民ノ家屋ヲ燒却スルカ如キハ徒ニ無辜ノ住民ヲシテ自暴自棄ニ陷リ匪賊ニ投セシムル結果トナルヲ以テ住民地ノ燒却ハ嚴ニ之ヲ禁止スルヲ要ス

 近時各遊擊部隊ハ縣政府ヲ作リ相當組織アル行政ニ[→ヲ]布キアルヲ以テ討伐部隊ノ行爲住民ヲ庇護スルノ態度ニ出テサルニ於テハ住民ヲシテ日本軍ヨリモ反ツテ遊擊部隊ヲ德トスルニ至ラシムベシ

六、前述ノ諸項ハ從来ル屢々注意セラレシ所ナルカ其徹底特ニ實行部隊タル中隊以下ニ對スル徹底十分ナラサル憾アリ此ノ際特ニ下級部隊ヘ徹底ヲ期シ信賞必罰ヲ以テ臨マレ度ク命ニ依リ通牒ス

五、加給品ヲ左ノ如ク分配ス

   加給品 朱廣 各人一本

〈糧秣補充〉

六、本日左ノ如ク糧秣補充ヲ受ク

内譯

品目/数量 精米/九五俵 精麥/二九俵 味噌/二九樽 梅干/九樽 干白菜/四個 干削鰢/四個 携帶缶詰/六個 福神漬/七樽 醬油/二九樽 ポレー米/一個 煙草/三五個 干油揚/四個 昆布巻/四個 豆麺/四個 干野菜/四個 羊肉野菜缶詰/一一個 燕麥/一〇〇俵 石油/二缶 魚?用?干野菜煮/一一個 干貝肉/四個 干馬苓薯/四個 豚肉缶詰/一一個 携帶砂糖/五個 落花生油/四個 酢/一個 茶/一個 乾パン/二一個 ガソリン/一個 恤兵品{鰹節/三個 鰑/四個 軍馬栄養食/一個 蜜柑缶詰/一九個} ビール(二打入)/二四個 サイダー(四打入)/二四個 酒(一打入)/十三個 羊羮(二四二本入)/五個

 

陣中日誌 自昭和13年7月1日至昭和13年7月31日 歩兵第41連隊(2) https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/C11111221900 p.14~p.23