Ob-La-Di Oblako 文庫

帝国日本の侵掠戦争と植民地支配、人権蹂躙を記憶し、再現を許さないために、ひたすら文書資料を書き取る。姉妹ブログ「歴史を忘れる民族に未来はない!」https://obladioblako.hateblo.jp/ のデータ·ベースを兼ねる。

「内外に対し各方面官憲は鮮人問題に対しては左記事項を事実の真相として宣伝に努め、将来、之を事実の真相とすること」 臨時震災救護事務局警備部 鮮人問題に関する協定 1923.9.5

朝鮮問題に関する協定
【極秘】    警備部


【極秘】 鮮人問題に関する協定

 一、鮮人問題に関し外部に対する官憲の採るべき態度につき九月五日、関係各方面主任者、事務局警備部に集合、 取りあへず左の打合せをなしたり。

 第一、内外に対し各方面官憲は鮮人問題に対しては左記事項を事実の真相として宣伝に努め、将来これを事実の真相とすること。したがって(イ)一般関係官憲にも事実の真相としてこの趣旨を通達し、外部へ対してもこの態度を採らしめ、(ロ)新聞紙等に対して調査の結果、事実の真相としてかくのごとしと伝ふること。

    左記

 朝鮮人の暴行、または暴行せむとしたる事例は多少ありたるも、今日は全然危険なし。しかして一般鮮人はみな極めて平穏·順良なり。朝鮮人にして混雑の際、危害を受けたるもの少数あるべきも、内地人も同様の危害を蒙りたるもの多数あり。みな混乱の際に生じたるものにして、鮮人に対しことさらに大なる迫害を加へたる事実なし。世上伝ふる所はすべて根拠なき流言·浮説に過ぎず。

 第二、朝鮮人の暴行、または暴行せむとしたる事実を極力捜査し、肯定に努むること。なほ左記事項に努むること。

 イ、風説を徹底的に取調べ、これを事実として出来得る限り肯定することに努むること。

 ロ、風説宣伝の根拠を充分に取り調ぶること。

 第三、・・・・・・・・

 第四、・・・・・・・・・・・・・

 第五、・・・・・・・・・・・・・

 第六、朝鮮人らにして朝鮮·満洲方面に悪宣伝をなすものは、これを内地または上陸地において適宜、確実阻止の方法を講ずること。

 第七、海外宣伝は、特に赤化日本人および赤化鮮人の背後に暴行を煽動したる事実ありたることを宣伝するに努むること。

 一、爾後、鮮人問題につき各方面、絶へず連絡を取り、協議を行ひ、応急の措置を進めをりたるが、なほ今後の措置につき九月十六日、別紙諸項につき協議を遂げたり。

   (一)鮮人問題に関する事実の発表

 鮮人問題については、彼らの不法行為および彼らに対する暴行の事実に関し、目下、関係各方面において調査中に属すといへども、事件の詳細なる真相を闡解にするにはなほ相当の日子を要すべく、その間、あるいは世上種々の憶測をたくましうし、あるいはこれに関する意見·詮議の行はるるものあるに至るべきをもって、なるべく速やかに極めて概略の事実のみに関して適当の方法をもってこれを一般に発表し、種々の疑惑を一掃し、かつ帝国に不利なる宣伝·風評の内外に行はるることを防止するの必要ありと認めらるるにつき、去る九月五日の会合の際打合せの趣旨により、概略、左記の範囲·程度において発表するをもって適当と認む。なほ事件の発表に関しては、官庁名をもってすることを避け、関係各官に談話等の形式をもってするを適当と思料す。

   発表すべき事件の範囲および程度

 第一、災害当時、朝鮮人の放火をなし、流言·浮説を流布し、その他、井水に毒物を投入し、掠奪、強姦等をなしたるの事実あるを認め、目下調査中なり。

 第二、不法行為をなしたる一部朝鮮人を除き、一般朝鮮人は順良にして、なんら容疑すべきの言動ありたるものにあらず。したがってそれらに対しては震災後、直ちに出来得る限りの手段を尽くして軍隊、警察、団体、個人等において十分なる保護を与へ、適当の場所に収容して食物その他の給与をなし、充分なる救護をなすに努めつつあり。目下、各方面において収容保護を加へつつあるもの約五千人に達す。

 第三、大震災およびこれに引き続き起りたる大火災の当時は、民衆の昂奮、その極みに達し、各処に諸種の混乱を生じたり。あるいは放火、掠奪等の現行ありたるがため、あるいは諸種の誤解·風説のため、雑踏せる民衆間において闘争·混乱を生じ、その際、一般罹災民にして傷害せられたる者少なからず。その中において朝鮮人にして放火、掠奪等の現行その他の事情に基づき傷害せられたる者あるべき見込なり。また災害地に接続せる地方においても朝鮮人の犯行に関する盛なる風説、陸続として来れる避難民により宣伝せられ、民心著しく不安に陥り、その極み避難鮮人との間に騒擾を生じ傷害せられたる者あり。これら混乱の際に生じたる騒擾、暴行等については目下、極力調査中に属す。

 第四、鮮人が放火その他の暴行をなすとの風説は、一時に震災地およびその付近を掩ひ、極度に昂奮せる人心に非常なる刺戟を与へ、鮮人に対する警戒·疑惑の念を起こさしめ、これがために混乱を増大せしめたるは事実なり。従来、内地在留の朝鮮人中の一部不良の徒が、上海·満州方面の不逞鮮人と気脈を通じ、内地の不穏の分子もこれと連絡し、なんらかの機会において暴逆の行動に出でむとすとの説は、一部民衆の間に信ぜられたる所にして、たまさかに今回の災変に際し一部鮮人の放火その他の暴行と相まって、一時に人身の不安を増大し、鮮人に対する非常なる疑惑の念を昂騰せしめたるにほかならず。

 前記要項により、発表要旨案文は別に記草すること。

   (二)鮮人に対する措置 

 第一、災害地における鮮人の措置

 一、官憲において保護収容中の鮮人

 1.収容方法

 イ、要視察鮮人その他の要注意鮮人は、これを一般鮮人と区別して収容すること

 ロ、鮮人学生は一般鮮人と区別してなるべく少数宛、収容すること。

 ハ、要視察鮮人その他要注意鮮人は、警察官署所属の留置場に収容し、取り調べの上、時期を見て解放し、なほ容疑の者は検束し、またはこれに監視、尾行を付すること。

 2.鮮人に対する施療方法  

 イ、負傷·疾病に罹れる鮮人に対しては、その程度によりて、あるいは病院に収容し、あるいは収容所に於て、なるべく隔離して施療·保護を与ふること。

 ロ、前項の施療は全部無料とし、済生会赤十字その他の施設、または収容所所管官署において負担すること。

 3.鮮人学生に対する措置(本項学生·生徒に対する措置は、文部省、総督府に□□□…)
 鮮人学生は文部省、朝鮮総督府および同府督学部と協議し、

 a. 既に開校せるものなは通学せしむること。

 b. 未だ開校せざりものは、適宜、督学部にて監督し、希望者にはそれそれ授産の途を講ずること。

 4.鮮人労働者に対する処置

 イ、鮮人に対しては当分の間、出来得る限り労働その他授産の途を講じ、労働者に対しては公共事業に属する労働および内地人労働者不足の場合に使用することとし、各種紹介所および公共団体等に照会し、鮮人労働者就業の便を計ること。必要ある場合においては適当に警察官を配置して保護を加ふること。

 ロ、一般事業にして労力不足する面を調査し、これに対して鮮人労働者を就業せしむるの方法を講ずること。
 ハ、鮮人労働者就業の斡旋は当分の間、地方庁、警視庁においてこれを行ふこと。

 二、保護収容中にあらざる鮮人保護の方法

 イ、鮮人雇用者に対してはこの際、濫りに鮮人を解雇することなき様、注意を与へ、やむを得ず解雇する者に対してはなるべく授産の途を講ずること。

 ロ、災害に起因して負傷したる鮮人に対しては、地方官憲において施療の途を講ずること。

 ハ、鮮人失業者に対して当分の間、第一の一の4に記載したる方法により労働その他授産の途を講ずること。

 第二、災害地以外における鮮人の措置

 一、保護方法

 現に保護収容中の者に対しては、第一の一に準じて取り扱ひ、保護収容せざる鮮人に対しては第一の二に準じて取扱ふこと。

 二、取り締まり方法

 第一の一の2、及び第一の二の2に準じて取り締まりを行ふこと。

  (三)収容鮮人解放の時期および方法

 第一、解放

 一般民心沈静し、鮮人に対する危害の惧なきに至る[に]従ひ、漸次、収容保護を解くこととし、その際、なるべく前雇用者を求め、その者の引き取りし場合はこれに任かし、しからざる者に対してなるべく職業を与へて、しかる後に解放すること。

 第二、帰還希望鮮人に対する措置

 鮮人の帰還に対しては、目下、阻止の方法を講じつつあるも、現在においても帰還を切に希望する者は多きをもって、朝鮮総督府と打合せの上、やむを得ざる事情あり、かつ帰還せしむるも治安上、差し支へなき者に限り、適宜、帰還せしむるの方法を講ずること。

  (四)災害に起因する朝鮮人に関する

     事件の調査

(本件は警保局において各方面の調査資料を敏速に収集し、 宣伝資料として良好なるものは速やかにこれを各方面に配布することに協定)

第一、鮮人の犯罪に関する調査

1.司法処分として検挙し得る犯行の調査

2.殺害せられたる鮮人に関する犯罪事実の調査

3.犯罪事実として明確ならざるものといへども、その疑ありと想像し得る事実の調査

4.鮮人の犯行に関する風評、噂等にして特に注意を要するものの調査

第二、災害前後における鮮人の陰謀計画等に関する調査

1.鮮人の要視察人、要注意人の言動において容疑すべき事実の調査

2.内地人主義者と鮮人との連絡関係に関する調査

第三、鮮人に対する内地人迫害の事実の調査

 附、鮮人と誤認せられたる内地人および支那人に対する迫害事実

第四、鮮人の救護に関する調査

 附、鮮人を労働に従事せしめたる事実

第五、鮮人問題に関する各方面の感想、意向および態度の調査

1.内地人の一般的感想

イ、新聞雑誌等に現れたる論評

ロ、一般社会の感想·態度

ハ、特殊階級(社会主義労働運動、水平社等)の感想·態度

ニ、朝鮮および在外外国人の感想·態度

2.鮮人の感想·態度

イ、内地における鮮人の感想·態度

 a. 有識階級の感想·態度

 b. 一般鮮人の感想·態度

ロ、朝鮮および満洲等における鮮人の感想·態度

 a. 有識階級の感想·態度

 b. 一般鮮人の感想·態度

3. 外国人の感想·態度

イ、内地における外国人の感想·態度

 a. 新聞雑誌等の論評

 b. 外国公使館員感想·態度

 c. 一般外国人の感想·態度

 d. 一般支那人の感想·態度

ハ、一般外国に於ける論評

第六、鮮人の処置等に関する良好宣伝資料の収集(写真、個人の救護したる美事等の類)

第七、帰還したる鮮人および保護収容を解きたる鮮人に関する調査
                    (了)


f:id:ObladiOblako:20200911213747j:image

朝鮮問題ニ関スル協定
【極秘】    警備部

f:id:ObladiOblako:20200911203736j:image
【極秘】 鮮人問題ニ関スル協定

一、鮮人問題ニ関シ外部ニ對スル官憲ノ採ルヘキ態度ニ付 九月五日 関係各方面主任者 事務局警備部ニ集合 取敢エズ左ノ打合ヲ為シタリ

苐一、内外ニ對シ各方面官憲ハ鮮人問題ニ對シテハ左記事項ヲ事實ノ眞相トシテ宣傳ニ努メ 将来之ヲ事實ノ眞相トスルコト 從テ(イ)一般関係官憲ニモ事實ノ眞相トシテ此ノ趣旨ヲ通達シ 外部ヘ對シテモ此ノ態度ヲ採ラシメ、(ロ)新聞紙等ニ對シテ調査ノ結果 事實ノ眞相トシテ斯ノ如シト傳フルコト

   左記

f:id:ObladiOblako:20200911214100j:image
朝鮮人ノ暴行 又ハ暴行セムトシタル事例ハ夛少アリタルモ 今日ハ全然危険ナシ 而シテ一般鮮人ハ皆 極メテ平穏順良ナリ、朝鮮人ニシテ混雑ノ際 危害ヲ受ケタルモノ少数アルヘキモ 内地人モ同様ノ危害ヲ蒙リタルモノ夛数アリ、皆混乱ノ際ニ生シタルモノニシテ 鮮人ニ對シ故ラニ大ナル迫害ヲ加ヘタル事實ナシ、世上 傳フル所ハ凡テ根據ナキ流言浮説ニ過キス

苐二、朝鮮人ノ暴行 又ハ暴行セムトシタル事實ヲ極力捜査シ 肯定ニ努ムルコト 尚 左記事項ニ努ムルコト

イ、風説ヲ徹底的ニ取調ヘ、之ヲ事實トシテ出来得ル限リ肯定スルコトニ努ムルコト

f:id:ObladiOblako:20200911214626j:image
ロ、風説宣伝ノ根據ヲ充分ニ取調フルコト

苐三、・・・・・・・・

苐四、・・・・・・・・・・・・・

苐五、・・・・・・・・・・・・・

苐六、朝鮮人等ニシテ朝鮮 満洲方面二悪宣傳ヲ為スモノハ 之ヲ内地 又ハ上陸地ニ於テ適宜 確実阻止ノ方法ヲ講スルコト

苐七、海外宣傳ハ特ニ赤化日本人 及 赤化鮮人ノ背後ニ暴行ヲ煽動シタル事實アリタルコトヲ宣傳スルニ努ムルコト

一、爾後 鮮人問題ニ付 各方面 絶ヘス連絡ヲ取リ協議ヲ行ヒ 應急ノ措置ヲ進メ居リタルカ 尚 今後ノ措f:id:ObladiOblako:20200911214807j:image置ニ付 九月十六日 別紙諸項ニ就キ協議ヲ遂ケタリ

f:id:ObladiOblako:20200911215000j:image

  (一)鮮人問題ニ関スル事実ノ發表

鮮人問題ニ就テハ 彼等ノ不法行為 及 彼等ニ對スル
暴行ノ事実ニ関シ 目下 関係各方面ニ於テ調査中ニ属スト雖モ 事件ノ詳細ナル眞相ヲ闡解ニスルニハ尚 相当ノ日子ヲ要スヘク 其ノ間 或ハ世上 種々ノ憶測ヲ逞ウシ 或ハ之ニ関スル意見詮議ノ行ハルヽモノアルニ至ルヘキヲ以テ 成ルヘク速ニ極メテ概畧ノ事実ノミニ関シテ適当ノ方法ヲ以テ之ヲ一般ニ發表シ 種々ノ疑惑ヲ一掃シ 且ツ帝國ニ不利ナル宣傳風評ノ内外ニ
f:id:ObladiOblako:20200912132658j:image
行ハルヽコトヲ防止スルノ必要アリト認メラルヽニ付 去ル九月五日ノ会合ノ際 打合ノ趣㫖ニ依リ 概畧 左記ノ範囲程度ニ於テ發表スルヲ以テ適当ト認ム、尚 事件ノ發表ニ関シテハ 官廰名ヲ以テスルコトヲ避ケ関係各官ニ談話等ノ形式ヲ以テスルヲ適当ト思料ス

  發表スヘキ事件ノ範囲 及 程度

苐一、災害当時朝鮮人ノ放火ヲ為シ 流言浮説ヲ流布シ 其他 井水ニ毒物ヲ投入シ 掠奪 強姦等ヲ為シタルノ事実アルヲ認メ 目下調査中ナリ

苐二、不法行為ヲ為シタル一部朝鮮人ヲ除キ 一般朝鮮人ハ順良ニシテ何等 容疑スベキノ言動アリタルモノニ非ズ、

f:id:ObladiOblako:20200912133058j:image
従テ其等ニ對シテハ震災後 直ニ出来得ル限リノ手段ヲ尽シテ軍隊、警察、団体、個人等ニ於テ十分ナル保護ヲ與ヘ 適当ノ場所ニ收容シテ食物其ノ他ノ給與ヲ為シ 充分ナル救護ヲ為スニ努メツヽアリ、目下各方面ニ於テ收容保護ヲ加ヘツヽアルモノ約五千人ニ達ス、

苐三、大震災 及 之ニ引続キ起リタル大火災ノ当時ハ民衆ノ昂奮 其ノ極ニ達シ 各處ニ諸種ノ混乱ヲ生シタリ、或ハ放火 掠奪等ノ現行アリタルガ為メ 或ハ諸種ノ誤解 風説ノ為メ 雑踏セル民衆間ニ於テ闘争 混乱ヲ生シ 其ノ際 一般罹災民ニシテ傷害セラレタル者 尠ナカラズ、其ノ中ニ於テ朝鮮人ニシテ
f:id:ObladiOblako:20200912133216j:image
放火 掠奪等ノ現行 其ノ他ノ事情ニ基キ傷害セラレタル者アルベキ見込ナリ、又災害地ニ接続セル地方ニ於テモ朝鮮人ノ犯行ニ関スル盛ナル風説 陸続トシテ来レル避難民ニ依リ宣傳セラレ 民心 著シク不安ニ陥リ其ノ極 避難鮮人トノ間ニ騒擾ヲ生シ 傷害セラレタル者アリ、是等混乱ノ際ニ生ジタル騒擾暴行等ニ付テハ目下 極力調査中ニ属ス

苐四、鮮人ガ放火其ノ他ノ暴行ヲ為ストノ風説ハ 一時ニ震災地 及 其ノ附近ヲ掩ヒ 極度ニ昂奮セル人心ニ非常ナル刺戟ヲ與ヘ 鮮人ニ對スル警戒 疑惑ノ念ヲ起サシメ 之カ為メニ混乱ヲ増大セシヘタルハ事実ナリ、従来 内地在留ノ朝鮮人中ノ一部不良ノ
f:id:ObladiOblako:20200912133329j:image
徒ガ 上海 満州方面ノ不逞鮮人ト気脈ヲ通ジ内地ノ不穏ノ分子モ之ト連絡シ 何等カノ機會ニ於テ暴逆ノ行動ニ出テムトストノ説ハ 一部民衆ノ間ニ信ゼラレタル所ニシテ 偶ニ今回ノ災変ニ際シ一部鮮人ノ放火 其ノ他ノ暴行ト相俟テ 一時ニ人身ノ不安ヲ増大シ 鮮人ニ對スル非常ナル疑惑ノ念ヲ昂騰セシメタルニ外ナラズ、

前記要項ニ依リ 發表要旨案文ハ別ニ記草スルコト、

f:id:ObladiOblako:20200912133454j:image
  (二)鮮人ニ對スル措置

苐一、災害地ニ於ケル鮮人ノ措置

一、官憲ニ於テ保護收容中ノ鮮人

1. 收容方法、

イ、要視察鮮人 其ノ他ノ要注意鮮人ハ 之ヲ一般鮮人ト区別シテ收容スルコト、

ロ、鮮人学生ハ一般鮮人ト区別シテ成ル可ク少数宛 收容スルコト、

ハ、要視察鮮人 其ノ他 要注意鮮人ハ警察官署所属ノ留置場ニ收容シ 取調ノ上 時期ヲ見テ解放シ 尚 容疑ノ者ハ検束シ 又ハ之ニ監視 尾行ヲ附スルコト、

f:id:ObladiOblako:20200912133700j:image
2. 鮮人ニ対スル施療方法

イ、負傷、疾病ニ罹レル鮮人ニ對シテハ 其ノ程度ニ依リテ 或ハ病院ニ收容シ 或ハ收容所ニ於テ 成ルヘク隔离シテ施療保護ヲ與フルコト、

ロ、前項ノ施療ハ全部無料トシ 濟生会 赤十字 其ノ他ノ施設 又ハ收容所々管官署ニ於テ負担スルコト

3. 鮮人學生ニ対スル措置(本項学生々徒ニ対スル措置ハ、文部省、總督府□□□…)
鮮人學生ハ文部省、朝鮮總督府 及 同府督學部ト協議シ

a. 既ニ開校セルモノニハ通學セシムルコト

f:id:ObladiOblako:20200912133910j:image
 b. 未タ開校セサルモノハ 適宜 督學部ニテ監督シ 希望者ニハ夫々授産ノ途ヲ講スルコト

4.鮮人労働者ニ対スル處置

イ、鮮人ニ対シテハ当分ノ間 出来得ル限リ労働其ノ他 授産ノ途ヲ講シ 労働者ニ対シテハ公共事業ニ属スル労働 及 内地人労働者不足ノ場合ニ使用スルコトヽシ 各種紹介所 及 公共団体等ニ照會シ 鮮人労働者就業ノ便ヲ計ルコト、必要アル場合ニ於テハ適当ニ警察官ヲ配置シテ保護ヲ加フルコト、

ロ、一般事業ニシテ労働力 不足スル面ヲ調査シ之ニ對シテ鮮人労働者ヲ就業セシムルノ方法ヲ
f:id:ObladiOblako:20200912134155j:image
講スルコト、
ハ、鮮人労働者就業ノ斡旋ハ当分ノ間 地方廳、警視广ニ於テ之ヲ行フコト、

二、保護收容中ニアラサル鮮人保護ノ方法

イ、鮮人雇用者ニ対シテハ此ノ際 濫リニ鮮人ヲ解雇スルコトナキ様 注意ヲ與ヘ 已ムヲ得ス解雇スル者ニ対シテハ成ル可ク授産ノ途ヲ講スルコト、

ロ、災害ニ起因シテ負傷シタル鮮人ニ對シテハ 地方官憲ニ於テ施療ノ途ヲ講スルコト

ハ、鮮人失業者ニ対シテ当分ノ間 苐一ノ一ノ4ニ記
f:id:ObladiOblako:20200912140317j:image
載シタル方法ニ依リ労働 其ノ他 授産ノ途ヲ講スルコト、

苐二、災害地以外ニ於ケル鮮人ノ措置

一、保護方法

現ニ保護收容中ノ者ニ対シテハ 苐一ノ一ニ準シテ取扱ヒ 保護收容セサル鮮人ニ対シテハ苐一ノ二ニ準シテ取扱フコト、

二、取締方法

苐一ノ一ノ2 及 苐一ノ二ノ2 ニ準シテ取締ヲ行フコト、

  (三)收容鮮人解放ノ時期 及 方法、

苐一、解放

一般民心 沈静シ 鮮人ニ対スル危害ノ惧ナキニ
f:id:ObladiOblako:20200912140531j:image
至ル從ヒ 漸次 收容保護ヲ解クコトトシ 其際 可成 前雇用者ヲ求メ 其ノ者ノ引キ取リシ場合ハ之ニ任カシ、然ラサル者ニ対シテ可成 職業ヲ與ヘテ然ル後ニ解放スルコト、

苐二、帰還希望鮮人ニ対スル措置

鮮人ノ帰還ニ対シテハ目下 阻止ノ方法ヲ講シツヽアルモ 現在ニ於テモ帰還ヲ切ニ希望スル者ハ多キヲ以テ 朝鮮总督府ト打合セノ上 已ムヲ得サル事情アリ 且ツ帰還セシムルモ治安上 差支ナキ者ニ限リ適宜 帰還セシムルノ方法ヲ講スルコト

f:id:ObladiOblako:20200912140659j:image
  (四)災害ニ起因スル朝鮮人二関スル

     事件ノ調査

(本件ハ警保局ニ於テ各方面ノ調査資料ヲ敏速ニ蒐集シ 宣傳資料トシテ良好ナルモノハ速ヤカニ之ヲ各方面ニ配布スルコトニ協定)

第一、鮮人ノ犯罪ニ関スル調査

1. 司法處分トシテ検擧シ得ル犯行ノ調査

2. 殺害セラレタル鮮人ニ関スル犯罪事実ノ調査

3. 犯罪事実トシテ明確ナラサルモノト雖 其ノ疑アリト想像シ得ル事実ノ調査

4. 鮮人ノ犯行ニ関スル風評 噂等ニシテ特ニ注意ヲ要スルモノノ調査

苐二、災害前後ニ於ケル鮮人ノ陰謀計画等ニ関
f:id:ObladiOblako:20200912141356j:image
スル調査

1. 鮮人ノ要視察人 要注意人ノ言動ニ於テ容疑スヘキ事実ノ調査

2. 内地人主義者ト鮮人トノ連絡関係ニ関スル調査

苐三、鮮人ニ対スル内地人迫害ノ事実ノ調査
附、鮮人ト誤認セラレタル内地人 及 支那人ニ対スル迫害事実

苐四、鮮人ノ救護ニ関スル調査
附、鮮人ヲ労働ニ従事セシメタル事実

苐五、鮮人問題ニ関スル各方面ノ感想 意嚮 及 態度ノ調査

1. 内地人ノ一般的感想

イ、新聞雑誌等ニ現レタル論評

f:id:ObladiOblako:20200912141523j:image
ロ、一般社会ノ感想 態度

ハ、特殊階級(社会主義労働運動 水平社等)ノ感想 態度

ニ、朝鮮 及 在外外国人ノ感想 態度

2. 鮮人ノ感想 態度

イ、内地ニ於ケル鮮人ノ感想 態度
 a. 有識階級ノ感想 態度
 b. 一般鮮人ノ感想 態度

ロ、朝鮮 及 満洲等ニ於ケル鮮人ノ感想 態度
 a. 有識階級ノ感想 態度
 b. 一般鮮人ノ感想 態度

3. 外国人ノ感想 態度

f:id:ObladiOblako:20200912141652j:image
イ、内地ニ於ケル外国人ノ感想 態度
 a. 新聞雑誌等ノ論評
 b. 外国公使館員感想 態度
 c. 一般外国人ノ感想 態度
 d. 一般支那人ノ感想 態度

ハ、一般外國ニ於ケル論評

苐六、鮮人ノ処置等ニ関スル良好宣伝資料ノ蒐集(写眞、個人ノ救護シタル美事等ノ類)

苐七、皈還シタル鮮人 及 保護收容ヲ解キタル鮮人ニ関スル調査
                    (了)


↑大正12年 公文備考 巻155 変災災害
情報(2) https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/C08050970000 p.14-p.31