訓 示
集団上陸以来、赫々たるの戦績を収め、敵の戦意を粉砕するの日、将に目睫に迫る。是、一に御稜威の然らしむる所なりと雖も、隷下将兵が克く其の使命を自覚し、尽忠報国の誠を効せる結果に他ならざるを信じ、衷心、其の労を多とす。
惟ふに皇軍は起つては疾風の戦を張ると雖も、苟も無辜の民に対しては暴を戒め仁を垂れ、能く皇軍の名を辱しめざるを要す。
明治天皇御製
国の為仇なす仇は砕くとも
いつくしむべきことな忘れそ
然るに窃かに聞く所に拠れば、最も忌むべき婦女暴行、金品強奪の犯行、二三に止まらずと謂ふ。斯くては集団の戦績を汚辱し、皇軍の威武を涜すものにして、寔に痛嘆に堪へず。
隷下将兵、克く自省自戒し、軍記厳正、益々士気を振起し、各々其の任務に邁進すべし。
右、訓示す。
昭和十二年十一月十七日
丁集団司令官 柳川平助
訓 示
集團上陸以來 赫々タルノ戰績ヲ收メ 敵ノ戰意ヲ粉碎スルノ日 將ニ目睫ニ迫ル 是一ニ御稜威ノ然ラシムル所ナリト雖 隷下將兵カ克ク其使命ヲ自覺シ 盡忠報国ノ誠ヲ効セル結果ニ他ナラサルヲ信シ 衷心 其労ヲ多トス
惟フニ皇軍ハ起ツテハ疾風ノ戰ヲ張ルト雖 苟モ無辜ノ民ニ対シテハ暴ヲ戒メ仁ヲ垂レ 能ク皇軍ノ名ヲ辱メサルヲ要ス
明治天皇御製
國の爲仇なす仇は砕くとも
いつくしむべきことな忘れぞ
然ルニ窃ニ聞ク所ニ據レハ 最モ忌ムヘキ婦女暴行 
金品強奪ノ犯行 二三ニ止マラスト謂フ 斯テハ集團ノ戰績ヲ汚辱シ皇軍ノ威武ヲ瀆スモノニシテ 寔ニ痛嘆ニ堪ヘス
隷下將兵 克ク自省自戒シ 軍記厳正 益々士氣ヲ振起シ 各々其任務ニ邁進スヘシ
右 訓示ス
昭和十二年十一月十七日
丁集団司令官 柳川平助
↑第１０軍作戦指導に関する参考資料 其２（４）
https://www.jacar.archives.go.jp/das/image/C11111742800 p.22-p.23
